第85話 銀のスライムと金のスライム
ラッキー達はサフィーネやリルクルと模擬戦をしたり、リルの為にオークを狩ったり、ダンジョンに向かう為の食料を購入したり、リルに言われてオークを狩ったり、と数日間を過ごした。
アクアマリンの街に来てから2週間程経過してその間にラッキー、シルフィーのレベルは上がっていないのでステータスに変化はなかった。
だが、『黄昏の誓い』のサフィーネ達と出会って、Cランク冒険者の戦い方を学び、模擬戦をして自身の技術が上がった事で、目に見えない成長を感じていた。
「今回は11階層から20階層を中心に魔物を狩っていくのよね?」
「ああ。剣術の技術とか戦い方みたいにステータスに現れない所も大事だが、基本のステータスももちろん大事だからな。今回はレベル20を目指して行動しようと思う。」
「ならEランクの魔物を中心に狩るの?」
「それも思ったんだが、折角だから11階層~19階層までの魔物を順番に狩って行こうと思ってる。レベル上げは大事だけど俺達はまだまだ経験が足りてない。ここなら出る魔物の対策も立てれるだろ?色んな魔物と戦う事で戦闘の幅が広がると思うんだ。」
「そうですね。確かにラッキー様の言う通りです。」
「だから10階層で場所取りしたら今日は19階層で狩りをして、帰りに17階層でカラースライムを狩る。そうだな。カラースライムは1000体にしようかと思ってる。それを順番に18階層、16階層と毎日挑戦する階層を変えて行って11階層の魔物まで倒すのを今回のダンジョン探索の流れにしようと思う。」
「やっぱりカラースライムは狩るのね。」
「ああ。なんだかんだ言ってあそこは俺にとってかなりおいしいからな。」
「そうですね。1000体のカラースライムを倒すと言っても2時間ぐらいあれば倒せますもんね。」
「そうだな。それに1000体倒せばDランクにランクアップさせた10連ガチャスキルが1回使えるからな。」
「なるほどね。だから11階層~19階層までの魔物の情報を詳しく調べてたのね。」
「そういう事。シルフィーもマリアも頭に入ってるだろ?」
「ええ。もちろんよ。」
「私も大丈夫です。」
「よし。ならアクアのダンジョンに行こうか。」
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それから、ラッキー達は事前に決めていたように初日は20階層で魔物を狩り、その次は19階層、18階層というように魔物を倒して行った。だいたい毎日50体程倒したら17階層でカラースライムを1000体狩るという毎日を過ごした。
ちなみに11階層から19階層までの魔物は以下の通りだ。
11階層はミニドラゴン
12階層はスケルトン
13階層は突撃アニマル
14階層はムームーファントム
15階層はダークトレント
16階層はスターウィッチ
17階層はカラースライム
18階層はビックゴブリン
19階層はポイズンフロッグ だった。
もちろんそれぞれに通常ドロップとレアドロップがあり、平均してラッキーが30体程倒し、シルフィーとマリアで20体程の魔物を倒していた。
なので、ドロップ関係は、だいたい通常ドロップがそれぞれの魔物で2~3個、レアドロップがそれぞれの魔物で3~4個手に入れていた。
激レアドロップは英雄の種、ステータスの種をそれぞれ1個手に入れていた。
ステータスの種はどれかの能力が10上昇するアイテムで、英雄の種は1時間、全ての能力が10倍になるアイテムだ。ステータスの種はラッキーが使用し、当然のように運の数値が10上がっていた。
ガチャスキルは毎日ランクアップして使用していた。カラースライムを1000体倒した事で、Dランクの10連モンスターガチャスキルが1回、11階層から19階層の魔物を倒す事で合計で5回EランクもしくはFランクの10連モンスターガチャスキルを使っていた。
Dランクの10連ガチャからは、トラップの素質を手に入れた。これは罠を作ったり罠を回避したりする事が得意になる素質だ。そしてEランク、Fランクの10連ガチャスキルからは料理の素質が出た。すでにラッキーは持っていたので、運の数値が50上昇した。
今は、最後のカラースライム狩りに向かう前の小部屋で今回の成果を確認し合っている所だ。今日はすでに9部屋分のカラースライムを倒していた。
「長かったけどここでカラースライム倒したら帰還するのよね?」
「ああ。レベルも無事に20まで上がったし、素質も手に入った。新しいアイテムも手に入ったしな。それに、今日カラースライムを倒せば1万体だしタイミングも丁度いいからな。」
「今日で1万体になるんですね・・・。」
「ああ。この部屋のカラースライムを倒せば見事1万体達成だな。」
「よし。これで最後だし出し惜しみ無しで行くわ。サクッと倒しましょ。早く帰ってゆっくりしたいわ。」
シルフィーがそういうと、カラースライム達がいる部屋へと入っていく。ラッキー、マリアはそれに続いて大部屋に入っていった。
「いつみても多いですね。」
「やっぱり金色のスライムも銀色のスライムもいないわね。1万体も倒すのに1体も出ないなんて所詮噂って事ね。」
「そうだな。まあ俺にとってもボーナスエリアだから出なくても問題ないけどな。」
ラッキー達はいつものように、ラッキーがカラースライムに向かって行き、シルフィーとマリアがカラースライム目掛けて魔法をぶっ放した。
「終わりね。さあ帰りましょ。」
シルフィーの言葉に頷き、ラッキー達はカラースライム部屋を出ようとした。
だが・・・
「どうしたの?」
「ああ。いつもならカラースライムを倒せば部屋の扉が開いているはずなんだけど、閉まったままで出れないんだ。」
「本当ですね。なら倒し忘れたカラースライムがいたんでしょうか?」
ラッキー達は振り返って、大部屋を見回した。
「どこにもいないわ。」
「そうだな。倒し忘れはなさそうだな。」
カラースライムが1体もいないのに、外に出れない事に戸惑っていると、
目の前に金色の光が現れた。
「何!?」
ラッキー達は身構えていた。光が収まると・・・
部屋の真ん中に金色のスライムと、銀色のスライムが現れたのだった。
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