第78話 Cランクパーティ『黄昏の誓い』
ダンジョンの12階層でスケルトン狩りを終えたラッキー達は10階層にある安全地帯まで戻ってきていた。10階層に進んだ時と比べ、冒険者の数は増えていた。
「場所取りしといて良かったわね。」
「そうですね。まだ場所は空いてるように見えますがまだまだ増えそうですね。」
「だな。それよりもこの中からサフィーネを探すのか~。それだけで疲れそうだ。」
「まあ見つからなかったら諦めましょ。それよりも早く行きましょ。」
ラッキー達はギルドの職員がいる白いテントに足を運び、戻ってきた事を伝え、場所取りしていた所に向かった。
「さてと。とりあえず食事の準備をしようか。」
「そうね。」
「私も手伝います。」
「じゃあラッキーとマリアが食事の準備をしてるあいだ私がサフィーネを探しに行こうかしら。」
「シルフィー一人じゃ危ないわ。」
『俺も一緒にいくぞー。』
「リルが一緒について行くってさ。」
「それでもダメよ。変な冒険者に絡まれたらどうするの?」
「・・・それもそうね。」
「たしかにな。なら食事の準備が終わったらみんなで探してみようか。」
調理道具を出して着々と料理の準備を進めていくラッキー。料理のレパートリーはそれ程多くないので作るのはお手の物だった。
リルがリクエストするオークの肉のステーキに、簡単なサラダとスープだ。パンはラッキーのマジックバッグにガチャスキルから出たパンが入ってるのでそれを出せば完成だった。
「さすが手早いわね。」
「夜営もだいぶ慣れたからな。」
『ラッキー。早くオーク肉食べたいんだぞー。』
「リル。まだだぞ。肉を焼くのはサフィーネを探してからだ。」
『なら早く探しに行くんだぞー。』
「リルは早くご飯を食べたいようね。言葉はわからないけど大分理解できるようになったわ。」
「そうですね。私もリルちゃんが肉をほしそうにしてるのが分かります。」
「リルが急かすし、じゃあサフィーネを探してみるか。この中から探すのは苦労するけどグルっと回って見つからなかったら諦めるか。」
ラッキー達はサフィーネを探す為に、安全地帯をぐるっと回る事にした。
「ギルド職員がいるだけあってトラブルとかはなさそうね。」
「ええ。それに屋台も出ててけっこうにぎわってるんですね。」
「そうだな。屋台まであるのは予想外だったな。」
『あの串焼きおいしそうなにおいがするんだぞー。』
ラッキー達は屋台で人数分の串焼きを購入し、食べながらうろうろと安全地帯を歩いた。
「見つからないわね。」
「そうだな。」
「まだ他の階層で魔物を狩ってるんじゃないですか?」
「その可能性もあるわね。」
「しょうがない。とりあえず戻って食事にしようか。」
サフィーネが見つからなかったので、探すのを諦めてテントに戻ったラッキー達。
そして自分達のテントに戻って食事の為、オークの肉を焼いていると・・・
「あれ?ラッキー達じゃないか。奇遇だな。」
隣のテントからサフィーネと、仲間と思われる女性が出てきてラッキーに声を掛けた。
「えっ!?サフィーネ!?」
「どうしたんだい?そんな驚いた顔して?アタシ達だって10階層で夜営してるんだお隣さんになる事もあるだろ?」
「それは・・・まあ・・・。」
(なんだよ。隣のテントに居たのかよ!!せっかく探したのに無駄だったじゃん。いや。まあ結局会えたから別にいいか。)
「サフィーネさん達は今からどこか行くんですか?」
「ああ。肉を焼くにおいに釣られてな。アタシ達もそろそろ食事にしようと思ってね。」
「それだったら一緒に食事しない?サフィーネ達の事、色々教えてほしいわ。」
「そうだな。アタシは別にかまわないぞ。他の街の事とかアタシも知りたいからな。」
ラッキー達と、サフィーネ達は一緒に食事をする事にした。
食事をしながら、最初はお互いの自己紹介を行った。
サフィーネ達は女性3人組で、リーダーのサフィーネと、リルクルと、シャインの3人組だった。パーティ名は『黄昏の誓い』という名前で、全員がCランクの冒険者だった。
サフィーネは赤い髪と同じ赤いライトアーマーを身に付けており大剣を使う剣士タイプ、リルクルは黒髪の三つ編みに、眼鏡をしている。黒いローブを着ていて見た目通り魔法使いタイプ。シャインは緑の髪に露出の高い服装をしている。斥候タイプらしい。
「サフィーネ達はCランクパーティなんだな。このアクアのダンジョンは長いのか?」
「そうだね。ダンジョンばかりに入る訳じゃないけど、冒険者になってからずっとこの街を拠点としてるからまあまあ長いよ。」
ラッキーがサフィーネに話しかけたり、
「黄昏の誓いって良いパーティ名ですよね。私達はパーティ名がないからうらやましいです。」
「マリアちゃん達もこれから先今のパーティでやっていくならパーティ名は決めて置いた方がいいわよ。指名依頼とかあるときにパーティ名がないと苦労するから。」
マリアがシャインに話しかけたり、
「リルクルは火魔法が得意なのね。私は風魔法と土魔法の素質があったからそっちをメインにつかってるわ。」
「シルフィードさんは複数の魔法を使えるんですね。私は火魔法以外は全然なのでうらやましいです。」
シルフィーがリルクルに話しかけたりと、食事は盛り上がっていた。
リルは女性陣全員から「かわいい!!」と大絶賛で、今はシャインの膝の上でシャインにモフモフされていた。
その後も、ラッキー達は自分達の事を話し、サフィーネ達からアクアのダンジョンの事を色々と押してもらった。
「もうこんな時間か。明日の事もあるしそろそろお開きにしようか。」
サフィーネが暗くなった空を見上げて提案する。
「そうだな。サフィーネ達はしばらく10階層で夜営しながらダンジョンで狩りをするのか?」
「一応そのつもりだな。」
「よかったら明日は一緒に狩りをしないか?俺達他の冒険者とかってあまり知らないからどんな感じで戦闘するのかとか知りたいんだが?」
「かまわないわよ。私達もラッキー達の戦いには興味あるし。」
「本当か!?じゃあ明日はよろしくね。」
「ええ。」
そういって、サフィーネ達は自分達のテントへ入っていく。
「明日は楽しみね。」
「ああ。Cランク冒険者だし、サフィーネ達から学ぶ事は多いだろう。俺も楽しみだ。」
ラッキー達もテントに入り、明日からのダンジョン探索に備えるのだった。
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