第77話 アクアダンジョン12階層

「ラッキーの予想通りだったわね。」


1週間分の食料を買い込み、アクアダンジョンに来ていたラッキー達。人の多い10階層までは最短距離を進んで10階層にいるボスを倒した。その先の安全地帯を見て、ラッキー達は安堵した。安全地帯にいる冒険者の数が予想の範囲内だったからだ。


ちなみに10階層のボスは、リザードマンだ。このダンジョンのボスはリザードマンがそれぞれ陣取っており、


10階層はリザードマン

20階層はソルジャーリザードマン

30階層はシールドリザードマン

40階層はジェネラルリザードマン

50階層はキングリザードマンだ。


「そうだな。でもこれで安心してダンジョン攻略ができるな。さすがにゆっくり休めなかったらダンジョン攻略をどうするか考える所だったからな。」


「ラッキー様。今はまだお昼だからこの数なのかもしれませんよ。ちょっと早めに夜営の準備をしておいた方がいいのではないですか?」


「そうだな。テントだけ張って先に進んでもいいだけど、場所取りみたいなのは大丈夫なんだろうか?」


「そうね。場所取りできるなら安心して先に進めるけど・・・。」


安全地帯にいる冒険者を眺めながらどうするか考えていると・・・


「あんた達は初めて見る顔だね。大方場所取りできないかな?って悩んでる感じだろ?」


と、女性の冒険者が声を掛けてきた。


「!?どうしてわかるの?」


「はははっ。そりゃみんな同じ事を思うからね。10階層までの冒険者の数、

ボスでの順番待ち、それを体験すりゃ思う事はみんな一緒さ。」


「なるほど。俺はラッキーだ。あんたの言うように場所取りできるならしておきたいんだがそういうのって可能なのか?」


「アタシはサフィーラだ。ああ。アクアダンジョンは場所取りが認められてるよ。まあ10階層だけなんだけどね。」


「それはありがたいな。なら適当に空いてる所にテントを張るか。」


「あそこに真っ白いテントがあるだろ?あそこにギルドの職員がいる。あそこにいけば案内してくれるよ。」


「そうか。ありがとな。でもどうしてわざわざ俺達にその事を教えてくれたんだ?」


「アタシの勘かな・・・。」


「勘か・・・。まあ勘は大事だな。」


「そういう事。アタシは主に10階層~20階層を行き来してるんだ。時間があったらパーティメンバーも紹介するよ。」


「俺達は3人で、ここにはレベル上げの為に来た。さっき話しかけたのがシルフィードで、こっちがマリアだ。」


「よろしくね。」


サフィーネと別れたあと、ラッキー達はギルドの職員がいるテントに向かい場所取りをお願いした。


「ラッキー様。無事に場所取りができてよかったですね。」


「ああ。運がよかったな。サフィーネが話しかけてくれなかったらどうするかわからず最悪勝手にテント立てて下に降りてたかもしれないもんな。」


「ええ。」


「サフィーネはここを拠点に活動してるって言ってたし、今日は10階層で泊まるみたいだし、色々話を聞いて見るのもいいかもな。」


「そうですね。ギルドよりも現場に活動してる冒険者の方が情報も色々持っているでしょうし。」


「だな。なら今日は早めに戻ってきて食事を誘ってみるか?」


「そうね。ラッキーの料理はおいしいからそれは良いわね。」


「まあ一応素質持ちだからな。」


ラッキーは料理の素質を持っているので、夜営での料理担当になっていた。シルフィーは全く料理ができないし、マリアは料理はできるがラッキーの方が腕が上だったからだ。


「なら今日は12階層に行きましょ。」


「そうだな。あそこの魔物はスケルトンだから剣術の訓練にもなるしな。」


「そうですね。たしか、通常ドロップはナイフで、レアドロップは敏捷の腕輪でしたね。」


「ああ。ナイフはどうでもいいけど敏捷の腕輪は敏捷値がアップする腕輪だから是非とも手に入れたいな。」


「ラッキーなら余裕でしょ。」


「はい。ラッキー様なら余裕だと思います。」


ラッキー達は11階層を通り過ぎて12階層にやってきた。


「よかったわ。ここはあまり冒険者がいないみたいね。」


「そうだろうな。ドロップアイテムのナイフはどこにでもあるだろうから、ここで狩りをするより他で狩りをする方が稼げるだろうからな。」


「ラッキー様の場合、今の所ドロップは確定でレアドロップですから、そう考えるとこの階層は私達にピッタリですね。」


ラッキー達はスケルトンを探して、12階層の探索を開始した。スケルトンはガイコツ型の魔物で手には剣を持っている。単体で出現したらラッキーが闘い、複数出現の場合は1体をラッキーが担当し、残りをシルフィーとマリアが倒して行く。時々リルが暴走してスケルトンを倒すのは愛嬌だ。


12階層に出るスケルトンのランクはEランク。ラッキー達の敵ではなかった。ラッキー達はスケルトンをドンドン倒して行き、敏捷の腕輪を3個手に入れた所で狩りを終えた。


「まさか1日で敏捷の腕輪が3つ手に入るとは思わなかったわ。」


「さすがラッキー様ですね。」


「まあ・・・な。だけどどうなんだ?通常ドロップは1個も手に入らなかったぞ?」


「何言ってるのよ。レアドロップの方がいいに決まってるじゃない。普通の冒険者ならレアドロップなんてなかなか手に入らないのよ。」


「まあそういわれればそうなんだけど・・・。」


(今まで、8割ぐらいの確率でドロップアイテムを手に入れてたから、魔物を倒した時にドロップアイテムがないとなんか変な感じなんだよな~。)


「ラッキー様ならこれからレアドロップを手に入れる確率も上がっていくはずですわ。」


「そうね。通常ドロップが8割手に入ってから、今はレアドロップが1割で手に入る。これから運が上がればレアドロップが手に入る確率が、2割3割と上がっていくでしょうね。最終的には確定で激レアドロップを手に入れるようになるんじゃない?」


「さすがにそれは・・・。」


『俺もその腕輪ほしいんだぞー。』


リルが腕輪を装備できるかどうかはわからなかったが、メンバーの中でリルの分だけ腕輪がなかったので明日以降でもう1個手に入れる事を決めて、10階層にある安全地帯へと戻るのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る