第70話 王都武道会に向けて・・・
マリアと再会し、王都武道会に参加する事を決めたラッキーはフロンダールの宿屋にいた。
王都武道会は王都で3年に一度行われる大会で、優勝すると王様より褒章がもらえる。そのまま王国の騎士になる人や、観戦している貴族から勧誘されたりする人など、参加し上位に入賞しただけで、今後の人生が大きく変わるイベントである。
次回の開催は6か月後なので、ラッキーは当初、王都に行き開催までレベル上げや剣術の鍛錬をしようと思っていた。
だが、公爵家を無能だからという理由で追放されたラッキーが王都で目立ってしまうと王都武道会で不利になるかもしれないと、ユリウスから言われたので、開催まではフロンダールで目立たない様に鍛錬する事にしていた。
朝からラッキーとシルフィーとリルは6ヶ月間をどのように過ごすか話し合っていた。
『俺はオークを狩りたいんだぞ。』
相変わらずシルフィーには、リルの言葉はキャンキャンキャンとしか聞こえない。
「リルはなんて言ってるの?」
「ああ。リルはオークを狩りたいんだって。」
「オークね。たしかリルはオークが好物だったわね。」
『そうだぞ。オークは美味しいんだぞ。』
「まあリルの食事の事もあるし、魔物を狩るのはレベル上げに、モンスターガチャにと旨みも多いから問題ないよな。」
「そうね。問題はどこでレベルを上げるのかって事よね。」
「そうだな。」
そうして、今後の活動を話し合ってると、
「ちょっと!私を除け者にするなんてひでいじゃない!!」
ドタドタと宿屋の食堂に入ってきたのはマリアだった。
「どうしたのマリア?血相かえて?」
「どうもこうもないわよシルフィー。ラッキー様は私の為に頑張ろうとしてくれてるんでしょ。なのに私が何もしないなんてありえないわ。私だって力になりたい!!」
「マリア・・・。ラッキー?」
(そうだな。これはマリアも加えて話した方が良さそうだな。味方は多い方がありがたい。6ヶ月もある。とは言ったが6ヶ月なんてすぐだ。6ヶ月しかない。って考えて行動しないとな。)
「マリア。ありがとう。マリアが協力してくれると心強いよ。」
『マリアよろしくだぞ。俺はリルだぞ。』
マリアが加わり、再度今後の事を話し合った。マリアはラッキーの素質の事を詳しく知らないので、ラッキーの秘密を先に話して情報を共有した。
「・・・。」
話しを聞いたマリアは絶句して言葉が出なかった。
「マリアもこれでわかったでしょ。いくら剣聖が強いかもしれないって言ってもラッキーの方が規格外なのよ。」
「マリア?」
「ラッキー様!今改めて思いましたわ。やはり私の婚約者はラッキー様しかありえません。必ず王国武道会で結果を出しましょう。」
「お、おう。」
(あれ?マリアってこんな子だったっけ?てゆうかいつのまにか婚約者になってるし・・・。ただ助けてあげたかっただけなんだけど・・・。まあ・・・いいか。)
「それで?どうするかは決まってるんですか?」
「いや。まだ全然だ。」
「そうね。それを話してとらマリアが来たから、まだ全然決まってないわ。だけどやる事は決まってるわ。ラッキーが武道会までにしないといけないのは剣の腕を磨く事とレベルを上げる事。それはわかるわよね。」
「ああ。」
「でしたらフロンダールの近くのダンジョンに行くのはどうですか?」
「フロンダールにもダンジョンがあるの?」
「はい。近くにフロンと言う初級ダンジョンがあります。」
「初級ダンジョンならダメね。私とラッキーはリスボンで初級ダンジョンを攻略してるわ。レベルを上げるなら格上の所に行かないといつまでたってもレベルが上がらないわ。」
「だけどシルフィー?格上の魔物を倒すより、格下の方がより多くの魔物が倒せるんじゃないか?数多く倒した方が俺のスキルも使えるし、何か良い素質が手に入るかもしれないぜ?」
「そうね。それを考えると難しい所なのよね。」
(だよな〜。武道会には魔法使いだって出てくる。俺が魔法を使えるようになれば剣と魔法で勝率はかなり上がるはずだ。だけどどの素質が手に入るかわからないのがな〜。)
ラッキー達は迷っていた。レベル上げを優先して剣術中心に活動するのか。それとも、魔法の素質を手に入れて魔法と剣術の両方を使えるようにするのか・・・
さんざん話しあったが結論は出なかった。まだまだ情報が足りないと言う事で、話し合いは次回に持ち越された。
レベルを上げると言っても、どこに格上の魔物がいるのか?フロンのダンジョンならより多くの魔物が倒せるのか?剣術の腕を磨くと言っても、教えてくれる人はいるのか?何もかも全くわからない状況だった。
とりあえずマリアをパーティメンバーにする為ギルドに向かい、それぞれが情報を集める事から始める事にした。
王国武道会への参加と、参加者の情報はユリウス子爵がしているので、魔物の生息地や剣術の指導者、使えそうな素質など、ギルドで可能な限り情報収集に精を出していた。
そして・・・
ある程度情報が集まったので、マリアの実践経験と、パーティメンバーの連携確認、更にリルのご飯の為、オークを狩る為に、オークの生息地へと向かうのだった。
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