第62話 ダンジョン攻略達成を見ていた神界では・・・
「ミラ!あれってフェンリルじゃない?」
「うん。フェンにとても似てる。」
いつものようにミラとマイは神界からラッキーの事を見ていた。
ちょうど、ラッキーがリスボーンダンジョンを攻略し、ボス部屋を出た所で白い小さな犬を発見した所だった。
「そうよね。私も思ったわ。もしかしてフェンの子供じゃない?でもどうしてダンジョンにいるのかしら?」
「あれはフェンの子供でまちがいない。でもなんでいるのかわからない。ただ・・・今のラッキーさんならテイムできる。」
「たしかにそうね。ってラッキーもテイムするみたいね。しかし、デイリーガチャスキルからテイムを手に入れて、いきなりフェンリルの子供と出会うとかどんだけ運がいいんだよ。」
「きっと運命。私の時もそうだった。」
「そうね。フェンは今頃元気にしてるかしら?」
「時々見てるけど森で元気に暮らしてる。私はいつでも見れるから大丈夫だけどフェンの方は時々さみしそう。」
「そう・・・。あなたがフェンを見つけてきてから100年ぐらいかしら?あんまり時間の感覚がわからないけど、私はしばらくフェンの事見てないわね。」
ミラは昔フェンリルの子供を神界で見つけ、保護していた。なぜ神界にフェンリルがいたのかは謎だが、その時は血だらけになっている小さな狼をミラが介護した形だ。その後、ミラとフェンリルは一緒に過ごしていたが、魔物が神界にいる事が問題になり、なくなくミラはフェンリルを下界へと送り、別れていた。
別れた後のフェンリルは神界で何十年と過ごしたことにより魔物の中でも上位の存在となっていた。周りと違うと認識したフェンリルは強い魔物のいる原初の森へと自然と足を運んだ。
そこで、瞬く間に主となり現在に至っていた。今回フェンリルの子供がなぜダンジョンにいたかは謎である。だが、原初の森は魔素が濃く、不可思議な事がよく起こる。突然消えたりする事も都度あった。
「テイム素質でよかった。フェンの子供も救われる。」
「そうね。ってミラ!ようやくデイリーガチャスキルから素質が出たじゃない。やったわね。出た時はラッキーが望んでいた、魔法の素質じゃないかったから心配だったけど、フェンリルの事を考えるとテイムはピッタリだったわね。」
「うん。」
「それにフェンの子供なら能力も申し分ないわね。正直今のラッキーよりも強いだろうし。」
「ラッキーさんもすぐに強くなる。」
「そうね。ダンジョンも攻略したし、一安心だわ。これでシルフィーと別れることもなくなったわね。」
「うん。次はマリアさんの番。」
「そうね。今はフロンダール領に戻ってるみたいだから、そこにいけばなんとかなる気がするわ。」
「ラッキーさんならうまくやってくれる。」
(それにしても、テイムを覚えて、覚えたすぐにフェンリルをテイムするなんてできすぎてるにも程があるわ。誰かが裏で糸を引いてるって思ってしまうほどだけど・・・。でも誰が??上位神様?一体なんの為に?)
ラッキーの運がこの世界で飛びぬけて高いとはいえ、タイミングも良すぎな状況にマイは何かがどこかで動いているのではと考えていた。
ゼンパンという、この世界で最もレアな素質
ゼンパンの素質により、普通の人なら無理な素質をどんどん手に入れるラッキー
素質を授かった事により、運の数値が人類限界の99を大きく超えてしまったラッキー
まるで何かが動いているかのようにタイミングよくテイムを使えるようになり、フェンリルをテイムしたラッキー。
この世界では今までになかった事が次々と起こっていた。
そんな事を考えてミラとマイの元にジュンが現れた。
「マイ、ミラ、見てたよ。ラッキーは無事にダンジョンを攻略したみたいだね。それにテイムの素質が出たのも見てたよ。おめでとう。」
「ジュン!」
(マイ。大変な事が起きた。ちょっと父さんの所に来れるかい?)
「ミラ!デイリーガチャスキルから素質が出たし、父さんに報告してくるわ。」
「わかった。」
そうして、マイとジュンは父であるゼウスの元へ向かった。
「父さん!大変な事が起こったってどうしたの?」
「ああ。ちょっと待ってくれ他の者に聞かれるとまずい。」
そうして、ゼウスは結界をはり、話を外部に漏れないようにした。
「よし。これで大丈夫だな。先ほどジュンには言ったんだが、マイがラッキーのスキルの事を気にしていたから儂も気になって地下のパンドラの箱を見に行ったんじゃ。そしたら・・・地下の封印の間からパンドラの箱が消えていたんじゃ。」
「えっ!?・・・消えていた?」
「ああ。」
「誰かに盗まれたの?」
「いや封印の間へは儂以外に入れぬ。だから盗まれてはおらぬ。」
「じゃあなんで消えたの?」
「わからぬ。上位神様に報告したのじゃが、こっちで調べておくと言われての・・・上位神様は何か知っているようじゃったが・・・」
「そんな・・・」
「もしかしたらラッキーが関係しているのかもしれないからマイ達には知らせておこうと思っての。」
「そういう事ね・・・。わかったわ。教えてくれてありがとう父さん。」
(一体何が起こってるの・・・そして何が起ころうとしているの・・・)
ラッキーの事を温かく見守るミラと、この世界の今後とラッキーの今後を心配するマイ達だった。
第一章 完
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