第49話 5階層の安全地帯には・・・
初めてのダンジョン攻略を無事に終えたラッキーとシルフィーは今日からどうやってダンジョンを攻略して行くか話し合っていた。
「やっぱり1日で攻略は難しいわね。」
「ああ。先に進んでも一旦地上に戻ったら又1階層からだからな。一日5階層進むと仮定しても1週間ぐらいは泊まり込まないと無理だろうね。」
「思ったんだけど、仮に野営するとして寝てる間に魔物に襲われないの?」
「ああそれは、ライアン教官から聞いたんだけど、ダンジョンには魔物が寄り付かない安全地帯っていうのがあるらしい。そこには魔物が入って来れないから冒険者はそこで夜営するみたいだ。」
「安全地帯ね。でもそれってボス部屋の後にあるって聞いたわよ。ボスまでいけなかったらどうするの?」
「ボスがいる10階層以外にも5階層事に安全地帯があるみたいなんだ。そこで冒険者は野営をするのが基本らしい。リスボーンは駆け出しの冒険者に人気だから場所を抑えるのが大変らしい。もし場所を取れなかったら帰還玉で帰るか交代で見張りをしながら夜営をするみたいだよ。」
「交代で見張りね・・・。それは4人とか5人のパーティなら可能だけど、私達には無理ね。という事は場所取りが重要になるわね。」
「まあどんな感じなのか行ってみないとわからないから、今日は5階層まで行ってみようか?地図に安全地帯の場所も書かれてるし。」
「そうね。安全地帯がいっぱいだったら帰還玉で帰ればいいし、空いてたから夜営の練習をしておくのもいいわね。」
(夜営か・・・。シルフィーと2人っきりだよな・・・。それぞれに寝袋があるとはいえテントの中では二人きり・・・。緊張するな。シルフィーは自然な感じだけど、何も思わないのか?まあこれからパーティでやっていくならいつかは一緒に寝る事もあるだろうし、早めに慣れないといけないと言えばそうだけど・・・。)
今日の予定を話し合ったラッキーとシルフィーは、夜営に必要な物を確認し、足りなさそうな食料だけ買い込んで、リスボーンのダンジョンに向かった。
「とりあえず、1階層と2階層は最短距離を進みましょ。ドロップアイテムもそんなに高いモノじゃなかったしね。3階層は冒険者の数でどうするか決めましょ。」
「OK。わかった。」
ラッキーとシルフィーはリスボーンのダンジョンの1階層と2階層を最短距離で進んで行った。多くの冒険者が通る道だけあって、予想通りあまり魔物には遭遇しなかった。1階層でスライム3体が一回出て来たのと、2階層でゴブリン1体が2回出て来ただけだった。
「最短距離を進むと魔物も出ないし、移動が早いわね。この分だと、10階層までぐらいなら1日で移動できるかもしれないわね。」
「たしかに。安全地帯はボスがいる階層の方が圧倒的に広いらしいから、10階層なら場所が取れないって事もないのか。攻略する時は最短距離を進んで、魔物を倒す時は目当ての階層で狩りを行うのがダンジョンのセオリーかもしれないな。」
「なるほどね。たしかにラッキーの言う通りかもしれないわね。」
「さてっと、3階層に来たけどどうする?」
「昨日はブラックバットに遭遇しなかったから、1体は倒したいわね。」
「時間もあるし、回り道して様子を見ようか?」
ラッキーとシルフィーは昨日と違い、冒険者がいない道を進んで行った。道中多くの冒険者を見かけたが、いない方に進んでいくと、ブラックバットとも遭遇した。
空を飛んでいるブラックバットだったが、向かってくる所にタイミングを合わせて剣を振るとすんなりと倒す事ができた。シルフィーの場合は風魔法1発だった。
「コウモリの羽がドロップしたね。ブラックバットは強くないし、ドロップアイテムも高値で売れる。人気の階層なのもわかる気がするな。」
「ええ。そうね。あっ!!私も帰還玉をドロップしたわ。幸先がいいわね。」
その後もラッキー達は3階層でブラックバットを狩って行った。ある程度倒した所で4階層へ足を進めた。4階層では昨日、毒針を取り過ぎたので最短距離を進んで、5階層へと進んだ。
「5階層はレッドマンティスよね?」
「ああ。見た事ない魔物だな。」
「ダンジョンしか出てこない魔物だったかしら?」
「いや地上でも出る魔物だね。俺は会った事ないけど・・・」
「そうなのね。気を付けるのは魔法だったわね?」
「ああ。レッドマンティスは風魔法を使ってくるって資料に載ってたからな。まあこっちから先制するか、動き回っていれば大丈夫だと思う。」
ラッキーとシルフィーは安全地帯を目指して5階層を進んでいった。道中レッドマンティスに何度も遭遇するが、シルフィーの土魔法がレッドマンティスに相性が良く、風魔法を使われる前に倒す事ができた。
ラッキーも持ち前のスピードでレッドマンティスの後方に回り込み剣で攻撃する事でレッドマンティスに魔法を使わせずに倒していた。
レッドマンティスの通常ドロップは傷薬で、レアドロップは鎌だった。いつものようにラッキーが傷薬を手に入れて、シルフィーは・・・
何も手に入れる事ができなかった。
そして、地図に示される安全地帯を見つけて、部屋に入ったラッキー達。そこには・・・
赤や青、黄色に黒など色鮮やかなテントが部屋いっぱいに設置されていたのだった。その光景を見たラッキー達は・・・
「これは・・・無理だな。」
「そうね。」
そう言って、ラッキーとシルフィーは帰還玉を使いその日のダンジョン攻略を終えたのだった。
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