第45話 初級ダンジョン『リスボーン』

「今日は初めてだから予定通り日帰りで行こう。」


「わかったわ。日帰りだと5階層ぐらいかしら?」


「どうだろう?地図はあるから道には迷わないと思うけど・・・。」


「まあ行ってみればわかるわね。じゃんじゃん倒してドロップアイテムゲットよ。ついで宝箱を見つけてお宝もゲットよ。」


「そうだね。魔物は素材を残さず消えるみたいだから魔石は当然とるとして、ドロップアイテムか宝箱がないと稼ぎが厳しいもんね。」


ラッキーとシルフィーはリスボンの街の近くにあるダンジョン。通称『リスボーン』のダンジョンに来ていた。


ダンジョンの情報は事前に調べていて、地図も持っている。日帰りの予定だが、テントもマジックバッグに入れてきていた。


ちなみにリスボンにあるダンジョンは初級ダンジョンでEランク以上の冒険者なら誰でも入る事ができる。


この世界には


Eランクから入れる初級ダンジョン

Dランクから入れる中級ダンジョン

Cランクから入れる上級ダンジョン

Bランクから入れる超級ダンジョン

Aランクから入れる地獄級ダンジョン


と5種類のダンジョンがある。ダンジョンは不定期に現れたりする。一説には神が地上の人間への試練として与えてる。なんて言われている。現れたダンジョンは入口に『〇級ダンジョン』と書かれており、新しく表れてもどんな難易度かはわかるようになっている。


初級ダンジョンは30階層

中級ダンジョンは50階層

上級ダンジョンは70階層

超級ダンジョンは90階層

地獄級ダンジョンは120階層となっている。


初級ダンジョン『リスボーン』は30階層のダンジョンだ。ギルドの資料室には地図と魔物の情報が保管されており、Eランクに上がった冒険者はこぞって挑戦している。


『リスボーン』のダンジョンでは

1階層はスライム

2階層はゴブリン

3階層はブラックバット

4階層はグリーンキャタピラー

5階層はレッドマンティスが現れる。


どのダンジョンにも共通するのだが、1階層毎に現れる魔物は1種類のみだ。『リスボーン』のダンジョンの1階層ではスライムしか現れない。


「1階層はスライムだったわね。」


「うん。スライムだったら楽勝だな。」


「ええそうね。ドロップアイテムはスライムゼリーね。」


「うん。レアドロップがレッドスライムゼリーみたいだね。」


「たしかにレッドスライムゼリーの方がおいしいもんね。」


「俺はレッドスライムゼリーは食べた事ないな。スライムゼリーも十分おいしいと思うけど。」


ラッキーとシルフィーは地図をたよりに1階層を進んでいく。


(さて、ダンジョンの魔物を倒してもモンスターガチャスキルはカウントしてくれるよな?してくれなかったらダンジョンには行けなくなる。大丈夫だとは思うけど・・・)


「全然スライム出てこないわね。」


「まあ2階までの最短距離で進んでるからね。他の冒険者も同じ道を通るだろうし、倒されてるんじゃない?すぐにリポップするわけじゃないだろうから。」


「それもそうね。じゃあちょっと違う道を行きましょ。せっかくダンジョンに来たんだもの。それも経験よ。それに回り道すれば宝箱があるかもしれないわ。」


2階層へ繋がる最短距離を移動していたが、一向にスライムが現れないのでラッキー達は遠回りする事にした。


すると・・・


「おっいたぞ!スライムだ。」


ラッキーの目の前には草原でよく見たスライムがいた。


「ようやく出たわね。」


「スライムだし俺が倒すよ。」


ラッキーはスライムに駆け寄り、剣を振り下ろす。草原で何体も倒してきた魔物だ。今更苦戦するはずがなかった。


「スライムなら楽勝ね。ってスライムゼリーが出たわ。幸先がいいわね。」


スライムを倒すと、魔石とスライムゼリーが落ちていた。


「ドロップアイテムってこんな感じで現れるのね。なんかラッキーのガチャスキルみたいね。」


「ああ。たしかに。」


そして、ラッキーの頭の中ではいつものアナウンスが流れていた。


『Fランクの魔物一体討伐を確認しました。モンスターガチャスキルの使用まであと9体です。』


(よし。ダンジョンでも魔物を倒せばカウントされるぞ。これでモンスターガチャスキルも使えるな。)


「やっぱりドロップしたのってラッキーの運が関係してるのかしら?だったら魔物はラッキーが倒した方がいいの?それともパーティ組んでるから私が倒しても大丈夫なのかな?」


「そういえばその辺はどうなんだろ?わからないな。色々試してみるしかないか。」


「そうね。まあマジックバッグもそんなに容量があるわけじゃないし、それに、たくさん持って帰るとそれはそれで色々聞かれそうで面倒だわ。」


「たしかにそうだな。まあそんなにポンポン出るもんじゃないし大丈夫だろ。たしかドロップアイテムを落とす確率は10%ぐらいだったよな?」


「ええ。10回に1回って言ってたわ。それでレアドロップが100回に1回、1%の確率ね。」


道を変えてからスライムが定期的に表れるようになった。2階層に行くまでにスライムと10回遭遇した。


「ありえないわ!?」


「そう言われても・・・」


あれからシルフィーが倒してもラッキーの運が作用されるか調べる為に交代でスライムを倒していったのだが、シルフィーは5体のスライムを倒してドロップアイテム0個。それに対しラッキーは、5体倒してドロップアイテム4個という結果になったのだった。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る