第42話 定期報告をする神界では・・・
「フライパンが出た・・・。」
ラッキーの事を見守っていたミラとマイは、デイリーガチャスキルからフライパンが出たことに驚いていた。
「ゼンパンの素質って食べるパン以外にも出るのね。」
「私も知らなかった。」
「そりゃそうよね。上位神様でも全てを把握してないんだから。でもラッキーには図鑑があるから徐々にわかるようになるわ。ほら?ラッキーも図鑑を確認してるわ。」
「うん。ステータスも種も出てたし。」
「そうね。あれにも驚いたわ。モンスターガチャスキルもやばいスキルね。ステータスの種ってかなりのレアアイテムよ。あっ!?早速食べるみたいね。」
ミラとマイはラッキーがステータスの種を食べる所をリアルタイムで見ていた。
「上がったのは運の数値・・・残念。」
「そうでもないわよ。運以外の数値ってレベルが上がれば自然に上昇するわ。でも運の数値は別よ。生まれ持った数値から変動する事はほとんどないわ。上がったとしても1とか2だもの。それを考えれば運の数値が10も上がるのはすごいわよ?」
「そうなの?」
「ええ。ラッキーは気づかないでしょうけど、運が上がったのは絶対、ラッキーの運が高いからだと思うわ。」
「そっか・・・。ならよかった。」
この世界では、レベルが上がれば運以外の能力値は1~10の間でランダムで上昇する。そして、日ごろの鍛錬によっても力や敏捷などの能力値を上げる事はできる。つまり、ステータスの種を使わなくても運以外の能力値は人々の努力次第で上昇していく。
だが、運の数値は別だ。生まれながらにもった運の数値が上がる事はめったにない。上がる可能性があるのは転職の儀の時と、時たま気づいたら上がってる事があるぐらいだった。
(ラッキーがこれから運の数値を上げていけば、何か起こるかもね。今でも520もあるもの。きっとこの先ステータスの種を手に入れたら、又運の数値が上がるわ。検討もつかないけど運を上げる必要がある??まあこの事はおいておきましょ。それよりもフライパンね。パンと名が付くものが出るのは正直やばいわ。父さんに急いで報告しなくちゃ。)
「ミラ?私はちょっと父さんの所に行ってくるわね。食べるパン以外が出たことを報告しなくちゃ。」
「うん。私も行く?」
「別にフライパンの事を伝えるだけだから私一人で構わないわ。」
「わかった。」
マイはミラと別れて、父であるゼウスの元へ向かった。
「父さん。ちょっといいかしら?」
「おおマイか。どうしたんだ?」
マイは、先ほどミラとともに見ていた、ラッキーのデイリーガチャスキルから出たフライパンについて話をする。もちろんステータスの種の事も話した。
「なるほどな。急いでここに来たのはパンドラの箱の事か?」
「ええ。ミラのゼンパンの素質は全ての素質が出る可能性があるわ。つまりアイテムだってパンと名の付くものは何でも出る可能性があると思うの。だからパンドラの箱だって出る可能性があるかもしれないと思って・・・」
「うむ。あれは地下に封印しておるし、あそこにある物以外は存在せん。一つしか存在せんものは現れない気がするが・・・。」
「そんな事ないわ。だって素質だって何でも出るのよ?父さんの勇者の素質だって普通は1人しか授けることができないでしょ?でもラッキーなら同時期に同じ素質を手に入れる事ができるはずよ。」
「そう言われれば・・・たしかにな。」
「パンドラの箱だけじゃないわ。パンデミック。もしかしたら災厄がスキルから現れる可能性もあるわ。ラッキーのガチャスキルからは色々なパンが出てたからそんな事考えた事もなかったけど、パンと名がつくものはどんな物でも出る可能性が出たわ。それで、パンの名前がつく物を考えてみたら・・・」
「マイ・・・落ち着け。そうだな。一度上位神様に報告してみるとしよう。」
(もしかして、そういったモノを出さないようにラッキーの運の数値が高いのかしら?だって最高値が99なのに520って今考えてもおかしすぎるわ。なら運の数値が高いとそういった事が起きない?だから今回のステータスの種も運の数値が上昇した?
ダメ・・・考えれば考える程、わからなくなる。)
「わかった。お願いね。」
(今は考えてもしょうがないわね。父さんに思ってる事は話したから後は任せるしかないわ。私の思い違いだったらいいんだけど・・・。)
そういって、マイは父ゼウスにラッキーの事を報告したのだった。
そして、マイが去った後のゼウスは、
「なるほどな。あれほど運が高いのになかなか素質が現れないのはどういう事かと思っていたが、運の数値が異様に高いのはその為か。運の高さで、不吉な物を出さないようにしているからこそ。なかなか素質が出ないんだな。なるほど合点がいったわ。それにしてもパンドラの箱か・・・。大丈夫だとは思うわ上位神様に報告して、マイにも大丈夫だと安心させないとな。」
そういって、ゼウスは上位神であるゼロへの報告書を作成するのだった。
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