第36話 シルフィーとパーティを組む事を知った神界では・・・

「ラッキーさん。パーティ組めてよかった。」


「えっ?ミラ?ラッキーがパーティ組めてうれしいの?てっきり他の女の人とは仲良くなってほしくないって思うんだと思ってた。」


「そんな事ない。だって・・・ラッキーさん。うれしいそう。」


「たしかにうれしそうね。ラッキーはずっと一緒に冒険できる仲間をほしがってたから当然かもね。それに、ラッキーの素質の事もシルフィードは知ってるし、色々相談できる仲間がいるのって大事よね。」


「うん。」


ミラとマイはラッキーがシルフィードを助けて、辺境伯家に一緒に向かい、シルフィードが鑑定を使って、ラッキーの素質の事を話す所をリアルタイムで見ていた。


「それにしてもシルフィードがダンジョンを目標にしててよかったわね。ラッキーもダンジョンに行きたがってたから丁度よかったじゃない。」


「うん。でも貴族って大変・・・。」


「本当にそうね。まさかダンジョンを攻略する理由が結婚しない為とはね。」


シルフィードがダンジョン攻略に気合を入れている理由は、父親のリスボン辺境伯より、1年以内にリスボン近辺のダンジョンを攻略できない場合は、婚約者を見つけて家を継ぐように言われていたからだ。


シルフィードは天職の儀で森の魔導士という素質を授かっていた。当然魔法に適正があるので、シルフィードは魔法を使って自由に冒険をしてみたいと思っていた。だが、辺境伯といえば上級貴族である。


リスボン辺境伯の後継者がいない中で、シルフィードは大事な後継者だ。自由に冒険などなかなか難しい。そこでリスボン辺境伯は冒険を続けたいなら、それなりの実績を作れ。とシルフィードに言っていた。


それが、ダンジョン攻略なのだ。シルフィードもその条件を飲んだ。シルフィードにとって、1年以内にダンジョンを攻略しないと、冒険者をやめないといけない。なので、ダンジョン攻略にこだわっていて、ラッキーにもそのことを伝えていた。


「まあシルフィードを助けた事で、仲間もできたし、隠蔽の魔道具も購入できそう。それに図鑑もちゃんと使えてるようだしよかったわ。ミラもラッキーと話せてよかったでしょ。」


「うん・・・でも・・・緊張した。」


「何言ってるのよ。これからラッキーが実績を上げればもっとラッキーと会う機会が増えるかもしれないのよ。なんていったって上位神様からの依頼なんだから。」


「うん。」


「それにあの図鑑は本当にわかりやすいわ。パンは写真付きで載ってるし今までに何個出たかも書かれていたわ。ガチャスキルで出たパン、アイテム、素質がちゃんとページ毎にまとめられてるしさすが上位神様ね。


「うん。私もそろそろ覚えきらなくなってきてた。」


「そりゃそうよ。毎日毎日増えていくんだもの。さすがに何かに記録しないと無理だわ。ミラもここからラッキーの持つ図鑑を見れるわけだし自分の素質の事がわかってうれしいんじゃない?」


「うん。ラッキーさんも楽しんでた。よかった。」


(それにしても、とても順調に物事が進んでるわね。これもラッキーの運の数値の高さのせいかしら。でもそれなら公爵家を追放されたのも実は何か意味があったりするのかしら?)


「シルフィードと二人なら、オークも確実に倒せるわ。なんといってもシルフィードの素質は森の魔導士、激レアランクだしね。あの素質を授けたのってジュンよね?」


「うん。ジュン姉さん。」


「そういえばジュンは何してるのかしら?又、森で引きこもってるのかもしれないわね。」


「私も最近会ってない・・・」


シルフィードに素質を授けたのは、マイの妹で、ミラの姉のジュンだった。

ちなみに、父ゼウスが勇者系の素質を、長女マイが聖女系の素質を、次女ジュンは森の魔導士系の素質を、そして、ミラがゼンパンの素質をそれぞれ下界の人間に授けている。


森の魔導士はジュンの与える素質の中で最上級に位置するものだった。


「ジュンが最上級の素質を与えるなんて珍しいわね。いつもいつもめんどくさがってる子なのに・・・」


「いつも森にいるね・・・」


「そうね。でもまあ、ラッキーとパーティを組む子だし今度森に行ってジュンに会って来ようかしら。」


(まあでも今回はジュンのお手柄ね。ラッキーと釣り合う人なんて、聖女マリアぐらいしか思いつかなかったし、マリアは剣聖の婚約者にされて、教会との事なんかで今は身動きがとれないもの。)


「森の魔導士なら天職の儀の時にステータスが300は上がってるはずよ。正直一人でもオークを倒せるぐらいには強いはずだわ。」


「うん。」


ラッキーは超激レアの素質を授かり、ステータスが500上昇していたがその数値はすべて運の数値だったため、単純な強さを図る力、体力、敏捷、器用、魔力のステータスはレベル5で平均55程だ。


それに対し、転職の儀で森の魔導士の素質を得た、シルフィードはステータスが300上昇し、レベル1でも平均ステータスが70程ある。もちろん魔法職なので、魔力が高く、力や体力は低いのだが、それでもラッキーよりも恵まれてるステータスをしていた。


そうして、ミラとマイは隠ぺいの魔道具を購入するラッキーとシルフィードを温かく見守るのだった。

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