第5話 薬草採取を続けて10日・・・

朝起きて、宿で朝御飯を食べる。

朝御飯を食べたら武器と防具を身に付けてギルドに行く。

ギルドで薬草採取の依頼を受ける。

昼の時間になったらガチャスキルを使用する。


もちろん出るのは・・・・パン。


出たパンは昼ごはんになった。

薬草採取が終わるとギルドに報告して、報酬をもらう。

報酬をもらったら宿に帰って、晩御飯を食べて寝る。


ラッキーの冒険者生活はこうして日々を忙しく過ごしていた。


始めは薬草を見つけるのにも苦労したし、見つけたと思ったら薬草じゃなかったり、魔物を見つけると、岩場に隠れたりしながら薬草採取を毎日毎日行った。


1週間も経てば慣れてきて、薬草採取だけで1日の宿代以上のお金を稼げるようになった。


「ようやく薬草採取にも慣れてきたな。といってもその日の宿代を稼ぐので精一杯だけど・・・。もっとたくさん薬草を取る為にはやっぱり森に行かないとな~。でも魔物がいるもんな・・・」


ラッキーは今までに魔物を倒した事がないわけではなかった。だが、ラッキーが魔物を倒した時は必ず誰かが一緒にいて、護衛の騎士が弱らせた魔物をラッキーが剣で止めを刺すだけだった。


「草原でちょっと魔物と戦ってみるか・・・案外すんなり倒せるかもしれないしな。俺だって剣の訓練はずっと続けてたんだ。やれるはずだ。いややれる!!・・・やれるよな・・・」


それから更に3日程薬草採取に精を出し、宿代以上に稼いだお金で回復薬の下級ポーションを二つ購入した。


「よし!念のためのポーションも買った。剣も問題なく振れてる。明日は草原で薬草を採取しながら魔物の討伐もしてみよう。」


ラッキーは更にお金を稼ぐ為に魔物を討伐する事を決めて、眠りについた。

ラッキーの中では【ゼンパン】のスキルはすでに昼ご飯のパンを出してくれるスキルという認識になっていた。


素質を得てから30回ガチャスキルを使ったが、パン以外に出るものがなかったからだ。パンの種類はたくさん出たが、種類が変わるだけでパンが出る事に変わりはなかったからだ。


それでもラッキーは前向きに昼ご飯代が浮いたぜ!ぐらいにしか思っていなかった。


だが、この日ラッキーに転機が訪れた。


眠りについたラッキーは夢を見た。

綺麗な黒髪の少女が【ゼンパン】の素質について教えてくれるというモノだった。


少女は自身の事を神と名乗った。そしてこれは神託であると・・・


眼が覚めたラッキーは夢で見た少女の事、そして【ゼンパン】の素質の事、ガチャスキルの事を思い出しテンションを上げたのだった。


「やったぞ!!やっぱり【ゼンパン】の素質はすごかったんだ!!これで俺にも希望が見えた!!父さんとメルトを見返す事ができる!!そうと決まれば早速魔物討伐だ!!」


ラッキーは気合を入れて、魔物討伐に向かうのだった。


◆◇◆◇◆◇


一方、ラッキーに【ゼンパン】の素質について説明したミラは・・・


「ミラ?ラッキーにちゃんと説明できたみたいね。朝からラッキーのテンションがすごく高いわ。」


「姉さん・・・うん。確率的に1年に1回、ガチャスキルから素質が出るって伝えた。それだけでラッキーさんすごく喜んでくれたよ。」


「まあそうでしょうね。1年に1回素質が出れば10年で10個の素質を得る事ができるもの。ガチャスキルチートすぎでしょ!!」


「でも、いつでるかわからないから・・・。薬草採取ばっかりしてるラッキーさんも楽しそうだけど、ラッキーさんにはもっと有名になってほしい。」


「そうね。追放した父親にはざまぁしてほしいわね。」


「そこまでは・・・」


「あら?そうなの?ミラは優しいわね。それで?デイリーガチャだけじゃなくてモンスターガチャの事も話したんでしょ?ラッキー魔物を倒すんだ!ってさっきから何度も叫んでるし・・・」


「うん。ラッキーさん。それを聞いた時、目がキラキラしてた。」


「でしょうね。まあでもそれなら安心ね。すぐに素質を得て成り上がるわ。温かく見守りましょう。」


「うん。」


ラッキーのテンションが上がり、ほっとしたミラはいつものようにラッキーを見守るのだった。


ちなみに、


ミラがラッキーに説明した【ゼンパン】の素質についての内容は、


【ゼンパン】の素質を持つ者はガチャという特別なスキルを使う事ができる。

ガチャはデイリーガチャ、モンスターガチャ、プレミアムガチャの三種類ある。


デイリーガチャは文字通り、毎日1回する事ができる。

0.3%の確率で、素質を得る事ができる。ハズレの場合はパンが出る。


モンスターガチャは、モンスターを10体倒す事にガチャを引く事ができる。

ガチャからは10%の確率で素質かアイテムを得る事ができる。

ただし、レアな素質・レアなアイテムが出る確率は低い。


レアな素質とは勇者や剣聖、賢者などの複数のスキルを使う事ができる素質である。

逆にノーマルな素質とは、剣術や火魔法、水魔法、体力強化や敏捷強化などの素質である。


プレミアムガチャは現在はまだ使用できないので説明していなかった。


ラッキーが朝からハイテンションで魔物討伐にむかったのはこういった事が夢の中で起きていたからであった。

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