幼馴染と鈍感な僕

@orack

第1話萩原蓮と山﨑楓の春の始まり

 季節は春、そこが僕のラブコメの始まりだった。

 俺は名門高校私立豊広学園、通称豊校の横にあるどこにでもあるような普通の高校に今日から通う。

 俺の名前は萩原蓮はぎわられんだ。そしていま俺の隣にいるのは幼馴染の山崎楓やまざきかえで。二人とも一般的な高校生、なはずだ。

 こいつはなぜかいつも俺と一緒に登校してくる。

 しかし、だ......。

 楓はいつもコンビニでおごってくれる財布程度にしか思っていないと思う。まあ、これも俺の自業自得だと思うが......。

 何があったのか順を追って話をすると、小学校から一緒に登校していたわけだが中学の時、思春期の俺は一緒に登校してはいたもの楓と話すのが面倒くさかったので話さない代わりに毎日コンビニでアイスをおごってやるといったのだ。

 なぜか楓はおごってやっているのにその時から毎日不満そうにしてくる。

 この程度の値段のものでは足りないということなのか......。

「仕方がないので今日は好きなものを好きなだけ買え」と言ったがもっと頬を膨らませ「そんなものはいらない」と言われてしまった。なにがいけなかったのだろうか......。

 今日から高校生となり一番楽しみなクラス替えなのだ。しかしここは中学から遠いこともありその時の同級生もいるわけもなく、しぶしぶ楓とみることにした。

 「最悪だー」思わず口にしてしまった。なんということだろう、俺は楓と同じクラス、しかも隣の席だった。

「何が最悪なのよ!そんなに私の隣の席が嫌だったわけ⁉」俺はとっさに噓をついた。「いや、教科書を忘れたから―ーうんっ」

「ふーん、そう」そんな面倒くさそうな返事をするならそもそも言うなよな、と少しイライラしたが我慢した。俺はこれからどうしていけばいいんだろう......。

 いったいこれはどういう状況だ!教科書を忘れたというから見せたのはいいが、こいつ妙に近いし体と体が少し触れている。俺はいい匂いがして耐えられなくなったので「ちょっと近くないか?」と言ったが、「最近視力が悪くなってきてるのよ」さらに体を近づけてきた。こいつ男の俺に警戒することを知らないだろ!と言いたいところだが、授業中なことに加え、そんなこと考えてるの、キモと冷たい目で見られることはわかっているので言わないことにした。


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