第14話

「先輩らいつも部室でご飯食べてるんすか?」


「いえ、今日はたまたま次の練習試合に向けてのミーティングがあったのでお昼休みに集まることになってたんです」


どうやら今週の土曜に練習試合があるらしくスタメン+ベンチメンバーでのミーティングをするらしい。


「…いや、金本はともかく全然関係ない俺がいたらまずくねぇか」


「別に良いんじゃねぇの。聞かれて困るような話をする訳じゃねぇしな」


天童は部室に着く前から購買で購入したパンを食い始めていてすでに2個目に突入している。


「ここがバスケ部の部室です、どうぞ」


そう言って火山が扉を開けると、普通の部室とは思えないほど遥かに立派な内装だった。


「は?で、でか…」


「ここは主にレギュラーメンバーが使ってる部室です。こことあと隣2つがバスケ部の部室です」


ここのバスケ部は部員数が多く、大会で結果も出しているのでなにかと優遇されているらしい。妹がゲームしてるところを見た時はただの恋愛ゲームだと思っていたのでここがそんな設定だとは知らなかった。


「もうすぐ他の人達も集まると思うので好きなところに座ってゆっくりして下さい」


そう言われて金本と隅っこの方に腰をかけてもらった焼きそばパンにかぶりついた。するとパンを口いっぱいに詰め込んでリスみたいになってる天童がくるっとこちらを向いてきた。


「そういえばなんでお前、自分のこと俺って言ってんだ。なんか話し方も男みてぇだしよ」


「んぐっ?!げほっげほっ!」


「ちょ、自分しっかりしいや。ほら水飲み」


急にそんなことを言うもんだから焼きそばが変なところに入ってむせてしまった。隣にいた金本が俺の背中をさすって飲み物を渡してくれた。


「げほっげほっ、い、いや、それはそのゲームの影響というか、癖というか、なんというか…」


天童は頭を傾げ、俺は咳き込みながらあたふたしていると部室のドアが開く音がした。


「待たせたね」


「いえ、僕達も今来たところです」


陽華だ。まだ咳が止まらず涙目になってる俺とバチっと目が合う。普通ならなんでここにいるんだとか関係ない人は出ていけと言われそうなもんだが、ニコッとされてそのまま陽華は椅子に座った。


「勝手に連れてきてしまってすいません、少し事情がありまして」


「ああ、彼女なら別に構わないよ」


小さい声でこれから関係者になるからねという声が聞こえた気がしたが今はスルーすることにした。


これは一刻も早くパンを食べ終えてここを出ようと思いパンを口に詰め込んだ。


「ふがふがっ、ふがっ」


「なんや?ちゃんと飲み込んでから喋りぃや。また喉につまるで」


金本の腕を引っ張って早くここから出ようと入口の方まで促す。パンを飲み込んでみんなの方に向き直る。


「急にきて悪かったな!それじゃ俺達はこれでぶほっ!」


俺がお礼の挨拶をしていると部室のドアが開き、俺の背中にドンっと何かがぶつかってきた。


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