突然腕を引っ張られたと思ったらいつの間にか電車から降りており、横を見ると1人のサラリーマンらしきおじさんが尻もちを着いていた。

何が起こったかわからない俺は自分の腕を掴んでた人の方を見ると俺と同じ制服を着た男だった。

「ねえおじさん、あんたこの子に痴漢したよね」

「な、何言ってんだ！俺は先にそいつに！」

俺の腕から手を離すとその男はふらっとおじさんに近づき耳打ちしながらなにかスマホ画面を見せていた。それを見たおじさんは顔色を変えて先程の態度が嘘のように土下座していた。どうやらこいつが俺に痴漢していたらしい。

「俺に謝るんじゃなくてさ、他に謝んなきゃいけない人がいるんじゃない」

男は顔はにこにこしていたが目が笑ってないのがわかる。そう言われておじさんは小さく悲鳴をあげて地面に頭を擦り付ける勢いで俺に向かって土下座をしてきた。女だからと舐められたら終わりだと思った俺はおじさんに前にしゃがみこんでこう言った。

「お前、もし次俺の前に現れたらぶっ殺してやるからな。消えろ」

俺もここまでされて頭にきていたので思い切りガン飛ばして最後に顎で向こうに消えろと合図しておじさんは急いで立ち上がりその場を走り去っていった。

走り去ってくおじさんの背を見送っているとそのすぐ後ろからヒューという声が聞こえた。

「君小さいのになかなか度胸と迫力があるね。喋り方も男の子みたいだし」

ギクッとしたが笑って誤魔化した。顔を上げると先程助けてくれた男がにこにこしてこちらを見ていた。今はほんとに笑ってるというのがわかる。

「…あんたも、中々迫力のある笑顔だったと思うけど」

「あはは、よく言われる～」

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