とある事件

お題：オチは微笑み 制限時間：15分

　駆けつけたとき、彼女は言葉を失ってた。

　ショックによるものだと医者は話してたが、実際のところはよくわからない。

　彼女に性欲暴行を加えたという集団はいずれもひどい状態で見つかっており、証拠らしい証拠が残ってない。

　ただわかってるのは、彼女の身体には大量の精子がかかっており、それらは集団のDNAと一致するということだ。これが証拠になることはなるのだが、本当にそういうことをしたのかはわからない。

　というのも見つかったとき彼女は服を着ており、その服に精子がかかってた。ついで彼女の周りにいた人物は皆壊滅しており、性器はひん曲がってた。

　それらを考えると、とても性的暴行をしたとは思えてこない。

　彼女が意図的に誘惑し、射精を促し、暴力によって制裁を加えたのではないか。

　親しい友人や、警察はそのようなことを話す。

　ただ。

　ただだ。

　彼女がそんなことをする人間には思えない。

　かれこれ5年の付き合いだが、力で僕に勝ったことは一度もない。もちろん同意のもと押し倒してるわけだが、彼女の伸ばした手で僕の身体は動かせることなかった。

　それに性器が曲がるほどの道具を彼女は持ってない。所持してたのは、化粧品、スマホ、メモ帳、財布類といったごく普通のものだ。

　いずれかを利用したとしても性器を変形させることはとてもできない。

　詳細は彼女が知ってる。

　そのはずだが、彼女は言葉を失ってる。

　筆談による会話では、あまり情報を得られなかった。

　僕であっても、レイプされたと書くばかりでそれ以上は書いてくれない。

　ここは被害者であり加害者でもあるはずの集団が意識を取り戻してくれるのを願うしかない。

　彼らは面会拒絶のエリアで厳重に保護されてる。警察も待機してることもあり、重々しいものがある。

　いつ目覚めるのか、はたして真実に到達できるのか。

　わからない。

　彼女が言葉を取り戻すかどうかさえもわからない。

　病室で笑う彼女がいったい何をみて、いったい何をされ、そうなったのか。

　今は答えがない。