お前実は泳げないんだろ?
グリーナが杖で砂浜に何か描きはじめた。
「お前なにしてんだよ」
「うん、船を出すんだよ」
と、グリーナは砂浜に魔法陣を描き呪文を唱えはじめた。
砂浜の魔法陣は回転すると光りはじめ、地響きが起こる。グリーナ達の空の上だけが曇り、海風が突風に変わり回転する魔法陣と共に渦巻きハリケーンをつくる。
グリーナは杖を砂浜に突き叫ぶ。
「いでよ!我が召喚獣」
魔法陣から轟音と砂風を撒き散らし召喚獣は徐々にその姿を見せた。
→【巨大ヒトデ 危険なアバンチュールが現れた】
「でた、あいつかよ」
「わたしも、ちょっとあの人苦手ですねぇ、、」
軽く嫌な面するムジナとチャンドラをよそに、巨大ヒトデは下目遣いで眉毛をあげる。
「賢者の子よ何用だ?あと魔法陣が狭すぎるぞ。まぁ貴様のレベルではあれが限界だろうがな」
「相変わらず嫌な野郎全開だな」
「ですね」
グリーナは巨大ヒトデの足元に詰め寄る。
「頼みがある、アバチーよ」
「アバチー?」
「長くて面倒くさいから、アバチー」
「まぁよい名前など、わかるぞその願い。弱者集団の貴様達が浜辺の最強と言われたアバチー様に敵を倒せと言うんだろ。わたしを崇めるがよい、どこだその敵は」
「アバチーって認めましたね」
「けっこう気に入ってんじゃねえのか」
グリーナは杖で島を刺した。
「ほぅ、あの島に居るってわけだな。良かろう。
秒殺で仕留めてくれる」
アバチーが海に入ろうとするところ、グリーナはアバチーのスネを杖でフルスイングした。
アバチーの悲鳴が砂浜に響き渡る。
呻き声と共に砂浜でしばらく転げ回っていた。
「な、何をする。卑怯者。お前には卑怯しかないのか」
「何に1人で行こうとしてんのよ、うちら乗せてくの!」とグリーナはやれやれと両手を広げた。
「貴様達などいらん、足手まといだ。わたし1人で十分だ」
グリーナは仰向けに横たわるアバチーの眉間を杖でぐりぐりした。
「何わけのわかんない事言ってんのよ。敵なんかいないって。わたしはあの島に服買いにいくの、あとスイーツ食べてフェスに参加すんの」
「敵たぶん、いますよね」
「いや、グリーナは観光メインだ」
アバチーはスネの痛さも忘れて、怒りに任せて立ち上がった。
「何を!貴様。このアバチー様をボートがわりに呼び出したと」
グリーナはそのまま逆のスネを杖でグリーンヒットさせアバチーをうつ伏せに海に倒れさせた。
「むごい」
「グリーナさん、強いんだか弱いんだかわかりませんね」
グリーナはアバチーの背中に乗りムジナとチャンドラを手招きした。
ムジナはなんかすみません的な薄ら笑いを浮かべ、恐る恐るアバチーに乗り、チャンドラも続いた。
「貴様らぁ、お、降りんか!!浜辺の最強者であるぞ」
アバチーは怒りは背中越しからも伝わった。
「あれ?アバチー。もしかして泳げないんじゃ」
グリーナはアバチーの後頭部を杖でぐりぐりして
ニヤニヤした。
「ば、馬鹿者!わたしに海で出来ぬ事などない。シャチよりも速いわ。見ておれ」
アバチーは高速船のような速さで浜辺を出発した。
グリーナはアバチーの頭に足をかけ、杖を島に向かい「行くのだ、我がしもべよ」と高らかに叫んだ。
「グリーナさんって、、」
「あぁ、めんどくさい奴には最強だな」
アバチー船は水しぶきを巻き上げ、島へと急いだ。
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