第142話八百万 ラーメン週間 初日 竹岡式ラーメン ドティ

 八百万の新たな行事 

 

 ラーメン週間の日! 

 

 ラーメンがどうしても食いたい!頼むから作ってくれ!とのお客さんからの強い要望に応えて、味の違うラーメンを日ごとに出していこうと考えた結果のイベントである。 

 

 初日の今日は醬油ラーメン、さて醬油ラーメンといっても醬油一つで山ほど味の違うラーメン、来々軒から始まったこれでいいんだよってラーメンから北は旭川から、南は九州宮崎ラーメンまでとそれはそれは、醬油に拘った地域独自の醬油ラーメンが存在している。 

 

 元祖大本の懐かしい味から、ハイブリットに進化を重ね、個人に磨かれ、よくぞここまで!といった絶品ラーメンまで、もう掘り起こせばそればキリがない程存在する醬油ラーメン。 

 

 今回模倣するのに斗真が選んだラーメンは、関東は千葉!冨津竹岡発祥!そう皆さんご存じ、竹岡式ラーメンである。 

 

 さぁここで竹岡式ラーメンのご紹介、通常は鳥、豚、魚介などで出汁を取り、野菜や果物なんかもいれたスープに塩、醬油、味噌などあわせるのだが、竹岡式が使うのはただのお湯である。 

 

 そう出汁を使わずに醬油のみに変化をもたらせるのが竹岡式、濃い色の味のある醬油にチャーシューなど肉の旨味をこれでもかと移し、その醬油にお湯をかけ頂くのが竹岡式である。 

 

 トッピングの刻み玉ねぎがトレードマークのまさに小細工のない肉と醬油で勝負する!このシンプルさを追求したのが竹岡式である。 

 

 これがまた下手にいじくられた醬油ラーメンなんぞ、なんのその!美味いのである!!! 

 

 ラーメンと言えば!沢山の骨!鳥や魚!野菜の山!それらを長時間煮込めば煮込むほど!正義と思われてきたラーメン界に、一筋の流星否!隕石として爆誕したのが、肉を!チャーシューを漬け込んだ醬油をお湯で溶かしただけ!ただそれだけ!!と言い放つシンプル界のド頂点!!!それこそが竹岡式ラーメンなのである! 

 

 シンプルと言えど侮るなかれ!どうしたことか、これが美味い!肉と醬油の鬩ぎあい!まさに味と味の力相撲!人間の味覚の不思議さが際立つ一杯である。 

 

 ならばとラーメンの海に飛び出た斗真が今回選んだ豚は、帝王豚!いつもはステーキで食べられる各国でも超高級で取引される、旨味の特級呪物である皇帝豚を贅沢にチャーシューに仕上げ、宝石シリーズのグレープサファイアと万年大豆で作られた醬油を使う。 

 

 そして本来はお湯に手を付けるのはご法度なのだが、近年では昆布などで出汁をとった竹岡式などもあると聞いたので、今回は真珠昆布で出汁をとったスープを使う。 

 

 ラーメンの上には帝王豚のバラチャーシューが華の様に咲、青蘭竹のメンマ、王玉タマネギを刻み日本産の海苔を乗せれば、斗真式竹岡ラーメンの完成である。 

 

 ラーメン週間と聞き、ラーメン好きな奴らが勢ぞろい!ラーメンクィーンこと、ヒルデガルドはもちろんシグルドリーヴァにエーテル、ドティ、トムソン、レオン、ガウェインにリナリア、ガンダルフにマーリン、ティナにミニャ、アテナを先頭に十二星座団の団長がズラリと並び、まさに英雄達の行進の様になっている。 

 

 エルフの3姫に先頭をとられつつも、ドティは4番目にいて列に並びながら筋肉を揺らしていた。 

 

 ドティもそう何度も経験していないラーメン、はじっこの席から順番に詰める様に座っていくと自然とエーテルの隣に座る事になる。 

 

 苦い顔をされながらも、ハッとドティスマイルを返して致命傷を受けながらも事なきを終える。 

 

 待つ事数分で出されるラーメン、肉のハナ?マサ?刻み玉ねぎが真ん中に鎮座した醬油ラーメン、すんすんと鼻に香りを送りこむと・・・・・・・。 

 

 バーニング!!!!!!!!ハァハアハアハァ(マスキュラーポーズ) 

 

 なんていいスメル!匂いからして期待感が胸の左右の筋肉をバンプアップさせる!!! 

 

 だが、ここで飢えて発情した雄犬の様にがっつかないのがドティ将軍だ!顎に今夜もヒットパレードを食らいつつも、まずは周囲の人間のリアクションを確認する。 

 

 エルフのお嬢様達はそれはもう美味そうに、そしてどこか妖艶に食べ進めている。 

 

 どいつもこいつもそう人前に出せない顔を!本能をさらけ出してラーメンをすすっている。 

 

 キマってるね?キマちゃってるね??そう確認して、しっかりと見極め、さぁ今度は俺の番だ!運命のダイスロール!!!(よし!) 

 

 ぐっと麺をつかみリフトアップさせると、ずずっと一気にすする!目の奥の眼底でパギャーンと音が鳴ったかの様な衝撃!!! 

 

 肉!肉の味!そして醬油!それもただの醬油じゃない!旨味の強く!独立した浮沈艦!だがその船は攻撃してくるにあらず!壮大で巨大で一見攻撃的な浮沈艦が、島国を守るが如く悠々と旋回する怒涛のスケール感!鼻を抜ける香気も伊達じゃない!!! 

 

 コロニーが落ちたっていいじゃない!?ソロモンが落ちたっていいじゃない!?だって伊達じゃないかれが跳ね返してくれるから!!?? 

 

 え!?うめぇ!なんでだ!?豚感もしっかりある!豚のモビルスーツ!醬油と豚のマッハ相撲!! 

 

 チャーシューがまた一瞬のうちに舌から喉へ!押し寄せる快感の波!メンマ!一度でいいからメンマをメンマだけを!死ぬほど食ってみたいとおもわせるサクサクの味わい。 

 

 そして純情派な海苔の味に、人間て海藻でこんな美味いもんつくれるだなぁって夏空を見つめる感じになる。 

 

 そして玉ねぎ!玉ねぎ界の王様だからお「王玉」の称号を得た、野菜の中でもチャンピオンの一人である王玉タマネギが美味すぎる、あるとないとでは何段階も意味合いが違ってくる玉ねぎ。 

 

 もう自分で何がどうなってるかもわからない。 

 

 醬油と肉だけでなんでこんなに美味いのか?説明できる人いる?絶対に他に色々入ってる深みなんかも感じる。 

 

 だからこそ感じる麺の旨味、味なんかもしっかり感じる。 

 

 ラーメンは体にはあまりよくないと言われる、本当にそうなのだろうか?塩分が多いからか?でもなぜか物凄く純粋な味を味わっている感じが体を喜ばせる。 

 

 もう、ひとりで~あるけない~(サイドチェスト)とき~の風が~つよすぎて~(ダブルバイセップス・フロント) 

 

 がつんと脳内に何かが響いて、あたりを見回すがみんなラーメンに夢中だ。 

 

 ふぉ!えばらーぶ!!(アドミナブル・アンド・サイ)ふぉ!えばどぅりーむ!!(アドミナブル・アンド・サイ、力強く顔をしかめて) 

 

 2度目のがつんで目が覚めると、目の前にはねね嬢がいた。 

 

 「座ってたべなさい」 

 

 「ここからがマグマなんです!!??」(素直にすっと座る) 

 

 そんなやりとりもいつもの事の如く、誰もみむきもしないでラーメンを一身に食べ進めていく。 

 

 ラーメン!料理人ならだれもが真似して、自分なりのラーメンを作ってみたと思わせる魅惑の定義を持つ料理、ラーメン!!! 

 

 中国を祖にもつラーメンは、日本でいま万を超える種類の如く色々な地方で咲き乱れている。

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