第111話リンネ、初めてのお寿司
私の名はリンネ、この斗真と言うこの世界での私の保護者に名前をつけられた。
こちらの世界では女の保護者をママ、男の保護者をパパと呼ぶらしいのだがママに該当する保護者はいなかった。
どうやら斗真と呼ばれる男性体がパパなのだろう。
この男にくっついていれば美味い飯が食えると思ってくっついていたら、何やら私に世話の限りを尽くしてくれる。
私の上位個体の姉なる存在に預けられることもあるが、世話をする為に食事の準備やきっと色々な事があるのだろう。
時々私を柵のあるベットにおいていなくなるのだ。
その間は私と似たような背格好の個体達が、私の世話をするらしい。
どの食事も毎回美味いのだが、特別に美味い食事の時がある。
特別な日の食事らしい。
「今日はお寿司だよ~」
すし?すしとはなんだ?と考えていると、姉なる個体達が物凄い速さで食事をする場に集まってくる。
「やった!お寿司だ!お寿司なら、ねね毎日でもいいよ!」
「毎日はちょっとあれだけど、私もお寿司大好きです!」
「やったああああ!私も寿司は大好きだ!なんでだろうな?米に魚が乗ってるだけに感じるのに、めちゃくちゃ美味いんだよなぁ!!!」
「すし!すし!」
「りんねは初めてのお寿司だねぇ、食べやすい様にてまり寿司にしてあげたからねぇ」
優しい顔で微笑むと私を抱き上げる。
うむ!サイズは小さいが、きっとこれは私の体にあわせて小さく作ったのだろう。
一つ一つが宝珠の様で宝箱の様ではないか。
「「「「いただきま~す」」」」
「えへへ!あたしマグロからいっちゃお~っと!ううむ!お肉みたいな弾力ある食感に濃い味!んおいし~!!!」
「私はちょっと苦手な青魚から・・・・・んんん!不思議!生なのにぜ~んぜん臭くない!扱いの悪い店なら焼いても匂いが気になるのに!お兄ちゃんの作ってくれたお寿司なら全然たべられちゃう!」
「そうなんだよなぁ、扱いの悪い店だと魚って生臭いからなぁ、最初は生なんてとんでもねぇと思ったもん。うむ!イカも甘くて美味いや!!」
「はい、りんね、マグロだよ。あ~ん」
「あんむ、んむんむんむんんん~~~!!!」
なんだこれは!美味いぞ!魚って奴か!!焼いた時と全然違うぞ!ぷりぷりで味が濃いってのも頷ける!体が!勝手に喜んでしまう!
「うんうん、おいしいねぇ、よかったね~、一通り用意してみたから食べてみようねぇ。はい、サーモン、あ~ん」
綺麗な色だ!サーモン!んほほ~~!ねっとりとして濃厚な味!うんまぁ~い!マグロもサーモンも私は好きだ!!!」
「お兄ちゃんこれもマグロ?」
「ああ、漬けマグロ、特製の出汁に漬けたんだ」
「うわぁあああ、ねっとりとして美味しい!・・・・・・・てかさ、なんか変じゃない?リリお姉ちゃん、ニーアお姉ちゃん」
「ねねもわかったんだ。私は今えんがわ食べて気が付いたんだけど」
「私はブリ!でも前とちがうんだもんよ」
前とは違うとは???
「「「お兄ちゃん(斗真)前作ったお寿司より、美味しくなった???」」」
「だよな!だよな!前のも美味かったけど、今回のは明らかに前よりうまいよな!なんでかわかんないけどさぁ」
「前はさぁ、お兄ちゃんあたし達にも作れる様にってプラスチックの型用意してくれた事あるじゃん、あれとは段違いで美味しいよ!人族より私達獣人族の方が敏感な部分もあるし、違いがすっごいわかる!ふんわりしてるのに魚の歯ごたえもあって、妙に癖になる食感とかがあるよ!」
「お寿司一つずつに味の違いなんかもしっかり感じて!おにぎりでも思ったけど、私達が握ったおにぎりとは全然違う、ふっくら感だったり。・・・・そう!熟練の職人さんみたいな?」
「そうそう!それだ!鍛治してるドワーフみてえな、拘りを感じるっつうか?とにかく全然ちがう!!!」
「そうかな?じゃあもしかして最近握った奴はもっと上手くなってるかも??いつか店で出そうと握った端からアイテムボックスにいれていったからね」
「うぞ!これ以上に美味しくなるの!?」
「それはわかんないけど、沢山握ったからなぁ」
「すし!もっと!あ~ん!!あ~ん!!!」
「はいはい、次はブリちゃん食べてみようねぇ、あ~ん」
「むぅ!もう!りんねばっかりお世話してずるい!ねねにも食べさせて!!!」
「いいなぁ・・・・・・」
「んお!!!ウニめちゃめちゃ美味いぞ!!なんじゃこりゃ!ねっとりとろけてまろやか~・・・・・・これあれだろ!?漁港のある街で食われないからって大量にもらってきたとげとげのウニってやつだろ!?あいつら馬鹿じゃん!!めちゃうめぇよこれ!!」
ブリ?これもうんまい!!ねっとりしとるのぅ!濃厚じゃのぅ!赤い身と白い身がまた美しい!
「はいはい、ねねにも食べさせてあげるから、機嫌を直しておくれ。リリも」
「はいは~い!私もウニたべた~い。あ~~ん!ううん!ほんとだ!ねっとりしてトロトロしてる!まろやかだね確かに!」
「あの!あの!あの!私はえんがわ食べたいです!あ~~ん、んんん!!!前食べたえんがわより味が濃い!みっちり身がつまってて贅沢~~!!」
「ほんとだ!なにこのえんがわ!すっごい肉厚でぶりんぶりん!上品な脂の味がしゅる~~」
「おい!これ大トロかと思ったら!地龍だ!地龍の大トロだ!生でもマグロの大トロみたいにとろける!しかもさっぱりしてる!美味い!」
「あうわぁ!地龍の大トロやばぁ!炙らなくてもとろける!!」
「赤身がつまった手巻き!すっごい!色んな味がする!?これって部位が違うのかな?絶妙に違う味がしてたまんないよ!!大好きになる!」
「みろ!このどでけぇアナゴ!しかも折りたたんである!これを思いっきり!んがぁああああんもんもんも!んもおおおおおおおおおお!!!飲みもんかよ!あっという間に飲み込んじまった!」
「ふっくらしてるのに喉奥に簡単に飲み込めちゃう!天ぷらとは全然違うとろけ具合!!これもさいっこう!!!」
「はぅん!甘いタレとじゅんわりした脂もまたすっごい美味しい!贅沢だよぉ~」
「きゃっきゃ!うままままま!!!」
なんじゃこのアナゴとかいうの!ほんとに飲み込めてしまった!!!美味すぎるぞおい!
「まだまだいっぱいあるからね。好きに食べて大丈夫だよ。芽ネギの握りやキュウリの巻物も中々おつなもんだよ」
今日はリンネ、初めてのお寿司記念の日だったはずなのだが、ねね達もみんな初めて食べた時の様に大はしゃぎ。
こっちの世界の人は魔力消費で胃に余裕が作れるから、食べすぎて気持ち悪くなるって事もないんだが、それでも限界はある。
その限界までお寿司パーティーは続くのであった。
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