第50話お昼休憩の屋台達!

 大会お昼休憩、第一回戦の全ての試合が終わり、お昼の休憩が今回はなんと八百万監修の屋台達が勢ぞろいしたのである。 

 

 協力してくれる各店舗の料理人には、そのまま八百万のレシピをお店の名物として出す事が許されている、この大会で売り上げや味で目立てばまたその味を求めてお客さんが大漁に来ることになるだろう。 

 

 そして各店舗の料理人達も八百万のメニューにただ従うだけではなく、自分の店としてレシピにアレンジを施してある自信作である! 

 

 これに観客はさらに熱狂的になった。 

 

 それでは屋台達を見ていこう! 

 

 ひと際長い列を作っていたのは、海鮮焼きそばの屋台だった。 

 

 話を聞いてみると。 

 

 「ここの焼きそば!見てみろよ!麺が普通の物よりちょっと太いんだ!これがまたむっちりごわごわして食感が良くてのど越しがたまんないんだ!それだけじゃないんだ!味も濃厚で濃くがあり、甘味と酸味に海苔の風味もあり美味いんだよ!食いごたえもあってエビにイカもごろごろ入ってる!八百万で食った奴より美味いかもしれないんだ!いや~親父さんがんばってるんだなぁ!これならまたこれ食いに店に通っちゃうよ!」 

 

 「知ってるか?茹で上げるのも麺を焼くときも、おやじさん特製の出しを足して蒸し焼きにしてるんだ!だから味かな?旨味って奴がぎゅっとしていてなぁ!たまんないんだこれ!よく見ると麺も普通の麺じゃなく何か練り上げられているのと、食感の為か何本か溝や切れ込みが入ってるんだ!手間がかかってるよこれは!!」 

 

 「ここ!油多めにすると背油足してくれるんだよ!!まるで雪の様に背油をちゃっちゃちゃっちゃして、濃厚なソースの甘味と脂のこってり感がまじで美味いんだ!キャベツともやしの甘味もいいし、最高だよ!こりゃ新しい名物が生まれたもんだってみんな大喜びだよ!レシピを公開している八百万も更に自分風にアレンジしたおやじさんも最高だよ!街の宝だ!」 

 

 との事で海鮮焼きそばは大繁盛!屋台一筋だった親父さんがめでたく店舗を構える事となり、名前を絆亭にするとの事、この親父さん海鮮やきそばのレシピで只管練習していたが次第にそれだけじゃ物足りなくなり、わざわざ八百万まで頭を下げにきて、今日の日の為に斗真と一緒に最高の海鮮焼きそばを作ろうと試行錯誤してきたのである。 

 

 親父さんの話を聞いて、他の屋台の人も修行をつけてくれと何人か訪れたので、ずっと付きっ切りではなかったが、親父さん達は斗真に物凄く感謝して、油断するとたまに師匠と呼んでしまうほど、中が良い関係が構築されていた。 

 

 お客さんの好みに合わせて、野菜多め、海鮮多めや油多め、味濃いめ更には限定数食の特性イカ墨焼きそばなんかも販売している。 

 

 これがこの後、国にも広がる程の名物になる。 

 

 ウェールズに訪れたら、一日じゃ足りないから一週間は逗留しろと言われるほど、料理や娯楽の名産地になる。 

 

 絆亭のイカ墨焼きそばを食った事のない奴は可哀そうな人生だと言われる程評判になるのは、もっと先の話で、これは始まりの狼煙である。 

 

 屋台はまだまだある。 

 

 次の屋台はスリーピーシープのケバブサンドである。  

 

 羊であり赤身の旨味はもちろんのこと、脂身がまた豊かで甘く美味い、赤身に筋の様に綺麗に入っている様は高級牛を想像させる見た目をしている。 

 

 それらをグリルで豪快に焼き、削いで、玉ねぎやレタスなどサラダもたっぷり挟んで、スパイシーな香辛料をふりかけピタパンの様なもっちりサクサクしたポケットのパンに挟んで食べるのである。 

 

 見た目で楽しんで匂いで楽しんで味でも楽しむ!なんと言っても安くて驚くほど豪華!! 

 

 「ここのサンド!めちゃくちゃ美味いよ!肉がとろける様に美味いんだ!こんな肉食ったことないよ!さらにシャキシャキの野菜!知ってる?自分で好きな野菜選べるんだってさ!トマトの細切れとチーズも足して!これがまたちょっと辛い味付けにも合うんだ!めっちゃうまっ!」 

 

 「ノーマルのでも肉がまず美味い!肉肉しいのに脂がとろける!そんでもってパンだ!サクサクなのに内側はもっちり!全てが一体となっていてかなり完成されたクオリティのサンドだ!しかも自分で選べる組み合わせは無限大ってなぁ!飽きる事なんてないだろうな!」 

 

 「こんだけ美味いもん、腹いっぱい食ったら王都じゃ結構な値段するんだ!これ一つでも満足度は高いのに驚くほど安い!ついつい二個も三個も買っちまう!しかも店側が新しいスパイスなんか考えるもんだから、味のバラエティーも沢山あるんだ!当分は通っちゃうね!ポテトに飲み物も美味いし!ここ一つの店で事足りるよ、しかも酒と肉の相性がマジで最高なんだ!まだ知らない奴多いみたいだけど、酒と一緒だとまた一味違ってたまんないよ!」 

 

 当分は屋台でやっていくと言っていたケバブサンドのお店も、店舗を持つ日は近いのかもしれない。 

 

 さぁまだまだあるぞ、日本の屋台の大定番と言えばタコ焼きだ。 

 

 関東のタコ焼きもうまいが、タコ焼きと言えば関西!右に出るものはいないと断言できるぶっ飛んだ美味しいたこ焼きが、何店舗も存在する!そう一つだけじゃないのだ!本当に美味いと唸る店が何店舗も存在するのが関西である! 

 

 そしてこちらは異世界のタコ焼き!異世界の海産物には非常に面白い存在もいる、その一つがデビルシュリンプ!タコとエビを合体させたかの様な見た目で味はタコのさっぱりこりこりとした特徴もありながら、尻尾はエビの様にぷりぷりして、本来の日本のタコより身に歯が入りやすくジャキジャキサクサクといった柔らかいスナック菓子の様な食感が特徴的なデビルシュリンプ、これを半分に切ってタコ焼きの具にするのである! 

 

 通常のタコ焼きより一回り大きくなるが、中の具と異世界の大振り昆布の出しの入った生地と相性が良く、食べ歩きとは思えない高級感のある味を演出するのである。 

 

 気軽に一口食べたはずが、食感の妙と合わさり気が付けば手が止まらなくなる美味さ!一口食べればその味に驚き!もっと噛んで味わいたいのに!喉奥に口が勝手に運んでしまう!気が付けば二個目三個目と口に入れて味わってしまう美味さ抜群のタコ焼き! 

 

 そして添える様に存在していたはずの紅ショウガや青のりが、何故かこうも存在を主張して味わってみればなくてはならない存在になっていたりと、本当に奥が深い味わい深いたこ焼きである。 

 

 初めて食べて、あまりの美味さに空を眺め続けてたなんて事があるほど美味いのである。 

 

 みんなもあるだろう、ふと今日のご飯何にしようと思った時、ああっ今日はどうしても何処何処の!何々が食いたい!胃がそれを求めているんだ!と言う時が、まさに匂いを嗅げば胃が自然と求めてしまう味。 

 

 「俺も思ったよ、デビルシュリンプってあんまり食べるのに向かないってか小さいしさ、なんとも言えないじゃない?安いし、それが!ここのタコ焼き食ってから考えがかわったね、まさに主役!誰にも譲ることのない大舞台の主役、それがデビルシュリンプだってね。こんなの真似したくてもできないだろうさ!平凡な味をだしちゃったら、デビルシュリンプの本来の旨味を出してない事になっちゃうから、料理人からしたら未熟な腕だと公表しちゃうことになるからね。それを見てよ!この大行列!並んでも食いたい!夢にまで見るくらい美味いたこ焼きってね」 

 

 「おっとっとここの美味いのはデビルシュリンプだけじゃないんだぜ!他の味だってそりゃ夢に見る程美味いよ!生地と具の組み合わせに、青のりやショウガの組み合わせが完璧なんだろうな!中の具が違うだけで全然別の食い物みたいに新鮮な味わいになっちまうんだ!とんでもない食いものを開発したもんだよまったく!」 

 

 「俺なんてもう二回目だよ!結構量あるのに一回食ったら胃が開いちゃって!」 

 

 「俺なんかもう三回めよ!二人前くらいまとめて頼もうか考えてんだ!」 

 

 「子供にも食べやすくて、とんでもなく美味しいって幸せだよなぁ!」 

 

 バトルの間の屋台達は大繁盛で、ウェールズ名物がどんどん増えていく、相手にされなかった食材達も再度見直され、お祭り文化のない異世界の街ウェールズは大いににぎわっていた。 

 

 そして第二開戦が始まる!

 

 

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