第49話第五試合 アーサー・フォン・ドラゴン対メフィストフェレス・フォン・ファウスト
第三試合を精霊姫エーテルが勝利し、第四試合ラーメンクィーンが勝利した。
残る試合は一回戦第五試合アーサー・フォン・ドラゴン対メフィストフェレス・フォン・ファウストの試合となった。
「さぁ一度振り返ってみましょう。第三試合レックス対エーテルの試合いかがだったでしょうか?ギムレッドさん!」
「負けたとはいえ、流石は巨人族のハーフ、スルトを顕現するとは思いませんでした。生粋の巨人族でも継承できる者は限られるし、必ずしも継承できるものでもないはずです。ハーフでありながら、スルトの力を引き出すとはすばらしい潜在能力です。その証拠に大精霊のライトニングノヴァを受け止めて相殺する程の技ですからね。対するエーテル選手も流石エルフ高貴なる血筋といった精霊武装でした。精霊武装を真似た技や魔道鎧は多いですからね。オリジナルの効率と威力は流石といった所です」
「素晴らしい試合でしたね!何せ爆心地の中心に我ら観客もいたわけですから、エスメラルダさんの空間結界がなければ確実に我々も死んでいる威力です!その分近くで観戦できた分迫力も物凄いものでした!続いてラーメンクィーン対リナリア選手の試合ですが。非常に読みずらい試合内容だったのを覚えています!あのリナリア選手の技が悉くあしらわれるのにはいまだに驚きを隠せません!」
「グラナダ嬢の技、海神流は見事なものでした。海切りも海砕きの威力も相当なもので地龍はもちろん暗黒種の黒龍も、まぁ一撃では無理ですが、何は使打てば狩れる威力だったと思います。対してラーメンクィーンの独自の体術、あれも素晴らしいものでした。特に最後の絶葬なる技はかなり危険なというか凶悪な技ですね。私も一瞬見失ってしまいましたが、超高速で海砕きを粉砕してそのまま相手の急所を打ち抜いて相手の背後までまわってました。体術だけならニーアとクリスタと同等ともいえますね」
「ラーメンクィーン恐るべきアンノウン、SSSレベルの体術とはいったい何者なんだ!さぁ武舞台が整いました!ミニャ選手はあまりにつき自然と第二回戦へ!第五試合、アーサー対メフィストフェレスの試合が始まります!」
武舞台の上で向かい合う二人、お互いが貴族でありながら力ある者として対峙している。
「では、遠慮なく先手を取らせてもらう。騎士殿」
鎧姿のアーサーとは変わって、コートを羽織り、目には右目には眼鏡をかけ帽子をかぶっているメフィストフェレス。
コートから缶状の物を出すと武舞台に投げた。
「おーっとメフィスト選手煙幕だぁ!アーサー選手を煙の中に押し込めた!」
「では、遠慮なく」
コートを広げると、マシンガンの数々が空中に飛び出し、アーサー向けての一斉射撃が始まった。
中にはバズーカやカバンからは大きめのミサイルなども飛び出し、ファウストは指揮者の様にタクトをふるうと鉛玉の雨あられに爆発は10分程続いた。
「これは軍採用の魔道アーマー用兵器達の雨あられ!物凄い爆炎だぁ!」
「ふむ、魔法で補ってはいるが、やはり物足りないな・・・・そうはおもいませんかな?アーサー殿」
爆炎が晴れると、剣を地面に刺し仁王立ちで堂々と立っているアーサーの姿が現れた。
「流石は薬の申し子、ファウスト家が次に手を出す商売は兵器産業か、確かに高レベルの魔術師や剣士には届かないかもしれない、だがこうもレベルの高い攻撃を農民や老人、子供が簡単に放てるようになるという事は、一種の脅威だ。民と触れ合う時の一瞬の隙で私の命に届く一撃を放てる。なんて恐ろしい物を作る事か」
「お褒めに預かり光栄ですが。それでも一流の戦士達には届かない、これらの兵器が一般に回る事で見える未来は小競り合いや暗殺の未来、故に法をもって厳重に管理しなければいけない物です。これにより新たな猟師達をギルドで免許を発行して、危険なく今より安全に魔物を狩れる様になれば、病人やけが人も減る事だろう。いざ魔物の被害が起こった時に冒険者ギルドの力を借りるには迂遠すぎると、かねてから思っていてね。この力により民達も魔物から自衛出来ると言うもの、冒険者や傭兵の仕事は減るが、貧乏農村の依頼など好き者以外受けまい?」
「なるほどなぁ、魔物相手ならこれ以上のものはないかもしれないな。私で機能テストするつもりかね?」
「ふっどれだけ強力でも妖精の加護に守られている卿には効果はあるまい、どうれ私も本気で行かせてもらおう!!!」
数十の鋭いメスがアーサー向かって放たれる。
「ふぅううううはっ!!!」
あえてメス如き正面から受け止めるかと思ったが、アーサーの剣によってすべてのメスは叩き落とされた。
「おや・・・・慢心して正面から受けると思ったのだがね騎士殿」
「ぬかせ、私の加護や鎧を貫く攻撃を、私が見抜けぬとでも思っているのか・・・・・そして毒もな」
ファウストがメスを武舞台に落としてみせると、スーっと地面に滑る様に滑らかに刺さってしまうメス、すっぱりと切れた特注の武舞台は簡単に切り裂かれ、奥の方からごぼごぼと音をたて溶けるかの様に何かがあふれ出した。
「次は君から来てみればいい、動けるものならだがね」
アーサーが動こうとすると、無数の透明な糸に手も足も胴体に首さえも囚われている事に気が付く。
「これは!?クラウス殿の絶糸術!!」
「私は医師でもあるからね。繰り返し繰り返し同じ事をやって真似るのは得意な方なんだ。蜘蛛のように粘り気があり、切断力もある糸だが中々なものだろ?」
ファウストが指をはじくと、アーサーの喉が切れ血が出る。
「なんとファウスト選手!従者部隊の序列3位絶指のクラウスの技を真似してみせたああああああああ!アーサー選手抜け出す事は可能なのか!?」
「その糸から抜け出せたら、貴公の勝利だ」
「なるほど・・・・・・下に面白い!!」
アーサーの整った清廉で紳士然とした甘い顔が、闘争の狂気の笑みによって歪む。
「我が名はアーサー!すべての騎士の王にして英雄たちの王!頂にある玉座にてただ一人!全ての人種の守護者にて罪をも断罪する者!」
「アーサー選手何か言い始めた!これはいったい!?」
「絶唱宣誓!神との契約を詠唱する事で発動する絶対なる技の一つ!!」
「故に我が身は傷つかず!侵されず!全てを切り裂くただ一振りの剣となる!貴様の罪を数えろ!そして刻め!ペイン・オブ・カリバーン!!!」
動くと体が切り裂かれる糸に包まれながらも、その糸を断ち切り剣を上段に構えると、剣からでる光輝く斬撃に吹き飛ばされファウストは壁にたたきつけられた。
「ファウスト選手気絶!勝者アーサー・フォン・ドラゴン!!」
「誇れ、本気ではないとは言え、この技を食らって生きている重みを知れ!!」
「確殺の技をあえて殺さない様に放ち、相手の命を逆に救ったアーサー選手!アーサー選手にその技を使わせなきゃいけない程追い込んだファウスト選手!両者共にすさまじい攻防でした!」
盛大な拍手により送られる選手2名、共に大貴族として恥じない戦いだった事をウェールズの住人達はもちろん、この試合を観戦した者達は忘れないだろう。
誇り高い貴族たちによって民の生活は守られている事が強く印象ずけられた試合だった。
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