異世界定食屋 八百万の日替わり定食日記 ー素人料理はじめましたー 幻想食材シリーズ
夜刀神一輝
第1話定食屋に引っ越しました。ケモミミの少女
定食屋 八百万、普通の定食屋で以前は生活するくらいには稼げていた定食屋、だが段々と人は減っていき街自体に人口が少なくなっていき、店を閉め、住んでいた人達は都会へと引っ越していった。
空き家になって格安で貸しに出されているのを、逆に都会の生活に疲れて田舎に引っ越してきた、俺、八意斗真が借りて住んでいる。
漁港近くの料理屋だったからか、厨房はでかく広い、巨大な魚も乗せて捌けるキッチンに業務用の冷凍庫やガス台、オーブンなどが付いてきた、自由に使っていいらしいが、電気代がなぁ。
これでも一人が長いから、それなりに料理もするが、本格的な定食屋や料理屋に比べて手際も良くない、素人の更に素人料理って感じの物なら、まぁなんとかってレベルの俺だ、でもそんな俺でも一時期料理人に憧れた事があった。
漫画の影響だったり、まぁ色々な考えの元、現実の調理場の厳しい世界をテレビのドキュメンタリーで知り、俺の夢は簡単に崩れた、高校にあがり飲食店でバイトするも、質の悪い客とヤンキーあがりの上司、日々すり減らされ、怒鳴られ委縮する毎日にミスも繋がり、散々な目に合い、仕事を辞め田舎に引っ込む事にした。
現代社会の日本は、インターネットさえあれば、近くのスーパーから食材を商品代+300円ちょっとの送料さえ出せば、自分で買い物にいく必要すらない、不便と言えば不便だろう、飲食店も選択肢がなくコンビニもない田舎、病気で困れば、医者まで一時間かけて車を出さなきゃいけない様な所だが、それらを我慢すれば、大声だそうが、友達呼んでパーティーしようが、誰からも咎められる事のない、まごう事なき田舎だ。
ガラガラと引き戸を開けて店の外に出る。
「んん~~解放感!何にもねぇなぁ」
あたりを見渡すけど、街の端っこで道しかないから、車でも通らない限り気が付かない。
さて初めての料理だ、鍋やフライパン、包丁なんかや食器類も種類豊富に置いてある、処分が面倒だったらしい、こちらとしては助かるんだが、中々使わない様なものまである。
食料も豊富に買い込んでいる、カレーのルーから面倒な時のレトルト、ホワイトシチューにビーフシチュー、ハヤシライス、缶詰から果物の缶詰、瓶、特に好きなのが麺類だ、乾麺のそうめんにうどん、そば、ラーメン、パスタ、ノーマル生めんに太麺、冷凍うどん、温めるだけで食べられるチャーハンにピラフ、チキンライス、ガーリックライス、冷凍唐揚げにトンカツ、ヒレカツ、コロッケ、メンチカツ、フライドポテトに水で解凍する枝豆、いざという時の冷凍野菜の数々に水を入れて10分待つだけで食べられるお米、これは非常用だけど、と大量に買い込んだけど、これでも流石業務用冷凍庫、まだ空きがある。
アイスなんかはカウントしてないけど、この冷凍庫、相当冷えるみたいなので、魚一匹買ってきて、捌いて、半分を冷凍して放置しても問題なく食べれるとか、0度で凍るから腐らないとか言ってた気がする。
これだけ厨房がでかいと、一度でいいから豚骨を買って出汁をとって本格的なラーメンなんか作ってみたいし、動画でやってるデカい魚を捌いてみるのも、一度でいいからやってみたい、やっぱ食いきれないとはわかっていても興味あるよね、あれ系の動画。
それに家から奥の方は森になっているので、木なんか切って、ブッシュクラフトとかも興味あったからやってみたくなるなぁ、焚火なんかしても怒られないだろうし、もちろん細心の注意を払ってだけどさ、そんなのにも憧れるなぁ。
おっと脱線した、飯だ飯!簡単で俺がハマっている、ネギうどん?普通の麺でも素麺でもいいけど、それを作ろう。
ネギを白い所から青い所まで、細かく切って、唐辛子のラー油漬けも細かく叩く!玉ねぎ半分もみじん切りにして、ボウルで混ぜる、醬油に砂糖少々、ニンニクチューブを好みで入れて、ウェイバーでもシャンタンの元でもそばつゆでもいいから、どれかを適当に入れる、あとは混ぜるだけで、万能ねぎダレ完成!
ゆで卵をつけてもいいし、黄身だけ漬けてもいい、もちろんご飯に乗せて食っても美味いし、麺類に絡めても美味い!面倒くさい時はカット済みのネギを多めに買って混ぜるだけで完成なんてのもありだ、唐辛子のラー油漬けは、滅茶苦茶辛いので俺は少なめにしてる。
ゆであがった生めんタイプのラーメンに、そばつゆを一回しかけて、万能ねぎダレを乗っけて混ぜる!最後に卵の卵黄を乗せて、あっという間に完成。
「いただきます!んんっ!うまっ!ズルズルズル」
すると店のすりガラスに影が映る、動物か?人影にも見えたけど?ありえないよな?。
「一応確認するか・・・」
ドアを開けると、そこには一人の少女らしき人がそこにはいた。
「は~~・・・だあれ?」
「否、こっちの台詞じゃい!?」
6~7歳くらいか?細かな年齢なんかわからないが、子供である事は確かだ、それはいいのだが、こいつ耳が・・・けもの耳と尻尾がついてやがる!?まてまてまて、ここはど田舎だ、狸が人間に変身する漫画あったよな、あれか!?実は実在してました的な!?
「なんか、いい匂いする」
「ああ、ネギのラーメン?的な物食ってたからな・・・お前も食うか?って狸か?狐か?ネギとかたまねぎ駄目なんだっけか?」
「いいの!?おネギも玉ねぎも食べれるよ!」
くえるのかよ!?都合いいなぁ、なんだか無下に帰したり、無視するのは良くないんじゃないかと思って声をかけてしまった。
幽霊にしては、はっきり見えるし、恐怖もおどろおどろした怨念めいたものも感じない、ザ・普通のけもみみ少女って感じだ、普通のケモミミ少女ってなんだよ!?いるかそんなもん!?目の前にいるのである。
麺を茹で、ついでに豚バラも茹でてやった、なんのサービスか自分でもわからんが、ネギだけの麺って俺はいいけど、子供はがっかりするかもしれないからだ。
「ほら、子供にはちょっと辛いかもしれないけど・・・」
「わぁ~」
フォーク渡してよかった、箸使えるかわかんないもんな。
「ちょっと辛いけど美味しいよ!」
「おっそうかい?簡単なもんだけど、そういってもらえると嬉しいね」
「うわぁ!お肉だぁ!あれ?このお肉全然臭くない!脂も甘くて美味しい!?」
ただの豚バラ肉なんだが、臭くなるって腐る前の肉かな?色が悪くなった肉も食った事あるけど、臭みはそんなに感じた事ないけどなぁ、イノシシとかだと違うのかな?
「もちもちしてう!美味しい!」
俺はそっと麦茶を出した。
ちなみに水は井戸から引いているので、ただである、電気代もソーラーパネルがあるのだが、全ては賄えていないと思う、まぁ色々と格安でほぼ食費代を稼げは、ここで生きていけるって話だ、医者にかかるのに苦労する分、薬や漢方類は多く確保してある、冬に向けて電気ストーブに薪ストーブ、灯油のストーブと外には灯油を溜めて置いておく、デカいタンクが置いてあるが、灯油には頼らない予定だ。
「この水も美味しい!」
「お茶ね、お茶」
「お茶も美味しい!?」
「そいつは、ようござんした」
「けぷっお腹いっぱい」
「そしたら、ご馳走様でした」
少女は首をかしげながら、俺の真似をする。
「ごちそうさまでした!」
「あいよ、おそまつさん」
「あっおねぇちゃんに何も言わずにきちゃった!」
おいおいおいおい!怖いよ!?俺誘拐犯とかにならないだろうな!?現代社会、そう言うの凄いデリケートなんだけど!まぁだから見て見ぬふりする人が増えたんだけどね。
「速く帰って、おねぇちゃん安心させてやんな」
「わかった!・・・おにいちゃん、またきてもいい?」
「いいぞ、腹減ったらまたきな、美味いかどうかはわからんけどな」
「やったぁ!またね!おにいちゃん」
そう言うと、少女は走って店を出ていった。
はて?狐か狸か、それとも神様か?奇妙な縁が出来たな、でも怖い感じじゃなくて、ほんわかした感じだ、なんか今日は気持ちよく寝れる気がする、そんな白昼夢・・・だったのかな?
「なんだこれ?十円玉か?う~ん日本語じゃないから海外の金かな?」
手の中でコインを遊ばせて、店に入る、カウンターにコインを置くと。
「ありゃ?百円玉?あれ?さっきまで外国のコインじゃなかったっけ?」
目でも悪くなったかな?まぁなんでもいいや、さっそくこの厨房使って飯でも作ろうかな
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