エジプト

風を吸い込み遡る雨の彼方確かに一瞬妖精を見た


線路からはみ出た季節マフラーが雑草の種抱き締めている


格上の君に通じる告白が載っていたのは『ギリシア語入門』


口づけの間息苦しくないのは幸福が時止めているから


寝言では知識自慢のソクラテスそんなところは愛されている


ただ一艘浮かぶは楔古き船祖父より父へ父より我へ


下関全て一度終着し執着のまま別のホームへ


末期的悲鳴を上げる洗濯機破れたズボン四回転半


必然で3等当てたロト6確定申告忘れた年に


光差すデパート一階店員に美人にされて遠くなる君


唇が髪が踵が直腸が心以外は愛おしい君


今宵こそ君は枕を濡らさない赤いシーツを用意したから


完全に魅力的な罠だけどバイアグラだけ足りなかった


突然に玄関の前泣いた君ガガガ文庫になかった展開


エジプトの壁画みたいなグラタンをただのんびりと食べている夏

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