表裏の守り人

オレハ・ショウ

第1話表の世界と裏の世界

ここは、とある田舎の一軒家 その地下には、表の世界と裏の世界を繋ぐ門があり、その門を隔てて、妖が住む裏の世界、人が住む表の世界がある。

私は、この門を管理する守り人をやっている、結翔ゆいとというものだ。

管理といっても、開かないように守るわけではない、むしろ妖はよく出入りをしている。

妖はみなが悪者というわけではなく、大きく分けて三つに分類ができる。人に陥れられ、恨みから妖になったもの、人に崇められ、妖になったもの、自らの意思で妖になったものがいる。

この中の、恨みから妖になったものが悪さをする。もちろん、他の妖も悪さをすることがあるが、たいていの場合、小さないたずら程度だ。

そんな、表の世界に来て悪さをしようとする妖をこちら側に来させないようにするのが、私の仕事だ。


「はーい 前に行ってくださーい」

門の入り口で妖が列を作っている。表の世界の夜は、妖が活発になる時間だ。

「次の方ー」

「あーー」

「では、まず身体検査はお済ですね」

「あーーー」

「では次に、荷物をチェックしていきます」

「あーーーーー」

妖の身体検査と荷物チェックは必須だ。大妖怪と呼ばれるものは別だが、基本妖は、表の世界ではほとんど力を持たない。妖が力を持っていた時代は闇が深く夜が長かった。だが、昨今技術が進歩し、街中では人が寝ず夜なのに明かりが消えないというなんとも、妖が住みにくい世の中になっているのだ。

だが、妖が住む裏の世界でも人間の干渉で、進歩があった。夜の力を秘めた薬を人間が作ってしまったのだ。それにより、表の世界でも力を使えるようになった妖は、人に悪さをするようになった。

悠久の時を生きる妖の中でも、恨みで妖になったものは、人に害をもたらすことを生きがいにしている。人に害をなすと、人に畏れられ力が増す。そういった妖はたいていの場合、祓い屋と呼ばれる者たちに、祓われたりする。

「依り代となる人形に、えっとこれは、裏の生物ですよね」

「あー」

「これは没収です 裏の世界の食べ物は持ち出し禁止です」

指が七本あり毛むくじゃらの足らしき物が入っていた

「ん?これは何ですか?開けますね?」

瓶に紙が巻いてあり中が見えないようになっている。

瓶のふたを開け中を確認すると、紫色した粉末状の物がはいっている。

検査キットに入れ確認する。案の定結果は陽性、夜の力を秘めた薬だ。

「ちょっとこちらに来てもらっていいですか?」

「あーーー」

妖は素直に応じ、ついてくる

「はあ~またですか?最近多いですよね」

「まったくだ まあ今回はおとなしくしているし、マシな方だけどな」

「この前はひどかったですもんね~ 結構けが人も出て、おかげでめちゃくちゃ忙しいですよ」

「一番に逃げたやつが何言ってるんだ~」

話しかけてきたのは新人のなぎ俺に初めてできた女の子の後輩だ。

今回はどういう経路で、薬を手に入れたかを聞いて10年間、表の世界には来れないという罰でこの妖は裏の世界に強制送還された

妖の世界に法律はない、あるのは弱肉強食の世界のみ、だが人の世は違う、この薬を作り、所持するのは普通の人が知らない裏の法律で禁止されている。

別に、この薬をなくすのが俺の仕事ではない、持ち込ませないのが俺の仕事なのだ。裏の仕事は種類が多い薬をなくすのは、その人たちに任せよう。

まだまだ、長い夜は始まったばかりだ。

はあ~今日も頑張りますか~

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