第9話

先生には使ってない部屋を用意した。布団は何枚かあるから平気だ。というのも、俺が倒れたりしたとき、さとし兄ちゃんが看病するときに使うものとして常にある。最近は体調いいし、新品である。

別の部屋だし、全然関わることない。先生は先にシャワーしてもらい、俺はお風呂に入ってすぐ自分の部屋のベットに寝よう。


そう思ってお風呂から上がってリビングへ行くと、ソファーで勝手に寝てる。なにしてんだよ…布団かけないと。


「足助くん?」


「先生、風邪ひいたら迷惑なんですけど」


目がバッチリあった。起きてるじゃん。


「布団かけましたよ」


そっと手が伸びてきて腕を掴まれた。


「足助くん、私のこと本当に覚えてた?」


「はい。授業の担当ではなかったのですが、話したことはありましたし」


なぜか頬を触られる。脈測りたいのか?


「あの、先生。起きてるなら、部屋でお休みに…」



「…え、なっ」


頬を両手で掴まれた、と思った一瞬だった。


「足助くん彼女いないんでしょ?」


「な、なにすんだよ…!」


先生にキスされるなんて。

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