第3話:ダンジョン攻略開始
「ふぅ・・・スッキリしたぁ・・・」
休息期間に入って1週間。今日からダンジョン攻略していく。
・・・えっ?休息期間中何していたのかって?そりゃぁナニしてたのよ。言わせないでよ恥ずかしい。
それは置いといて、いよいよダンジョン攻略。外に出る前に隠密魔術を使用する。あ、隠密魔術ってのは
効果時間は6時間とそこそこあるが、時間が足りるかはわからない。まぁ足りなかったら効果が切れる前にかけ直せば問題ない。これで魔物の方から見つかることはないと思うので、早速ダンジョン探索に出向こう。
部屋から出て、ドーム状の大広場に出る。初日にドラゴンと巨大狼の戦闘があった場所だ。今は狼の魔物?が数匹うろついているが、こちらに気が付いた様子はない。試しに攻撃魔術を使ってみたいところだが、今はマッピングを優先する。相手の強さもわからないから、極力戦闘は避けていきたい。
大広場を探索した結果、左に二つ、右に二つ、正面に1つ通路があることがわかった。なんとなく左右の4つの通路を進んだ先に鍵があって、正面にボスがいる気がする。とりあえず右の手前から探索しようと思う。
道中、狼と時々すれ違うも、バレることもなく進んでいく。
「んー・・・?」
ある程度進むと、狼と蜘蛛が戦ったと思われる少し広い場所に出た。なぜそれがわかるかというと、狼の死体と狼並みにデカい蜘蛛の死体が転がっていたからだ。どちらの死体もボロボロで身体の至るところに傷が付いてる。
天上付近には糸が多く張られていて、一部切られたのか吊り下がっている糸もある。地面は雨でも降ったのかってくらいびちゃびちゃだ。水を出したのは狼っぽい?いやでも蜘蛛が使う可能性もあるのか?
「んー・・・何で狼に蜘蛛の糸が張り付いてないんだろう?少しくらい張り付いてていそうな気もするけど。」
糸は戦闘中に吐かないとかなら、”まぁ、そうなのかな”って感じだけど、狼には糸で絞められたような跡があるからそれはなさそう。それでなくても天上に張られた糸には一部切られたような個所もあるからその残骸が床に落ちていてもいいと思うんだけどな。
・・・もしかして水に対して非常に弱いとか?だから濡れている地面には糸がないとか?試してみよう。
「なるほど、蜘蛛の糸には水が有効と。バレないように気を付けつつ、邪魔な糸を水で溶かして進む感じかな。・・・足濡らしておけばいいか。」
糸は水にかなり弱いようなので、足を水で濡らして進んでいく。
慎重に進んだわりに通路に糸が張られているということもなく、巣と思われる大部屋についた。部屋全体に蜘蛛の糸が張られており、巣の中心には大きな繭があった。大部屋には大量の蜘蛛。繭の下には象みたいに大きな蜘蛛がいた。
これ・・・正面突破は無理だよね。隠密効いているからってこのまま探索して大丈夫かな?糸に毒が付いてたりしたら終わりだよね。あと糸で侵入者を感知する罠張られていても終わりだね。
とりあえず、今日はマッピングメインだから、一旦戻ろう。
そのまま来た道を戻り、次は大広場の右側奥にある通路を探索する。
罠がないか気を付けつつ、慎重に進んでいくとザ・貴族の舘という感じの場所にでた。
魔物がいないなら舘の探索する?それとも初志貫徹でマッピングを進めるか・・・。舘を探索しよう。まだ先があるかもしれないしね。
そして扉を開けると吹き抜けのエントランスに出る。両サイドには廊下があり、奥には2階に上がる階段が両サイドの壁から伸びている。そしてエントランス中央には謎のグニャグニャしたオシャレ?な黒いオブジェが設置されている。
中に入り数歩進むと、“バタン!!”という大きい音が後ろでなる。何かと思い振り返ると扉が閉まっていた。
カラカラカラ・・・・
続いてカラカラという不思議な音がなったので正面を向くと、謎のオブジェの前にメイド姿の小さな西洋人形がこちらを向いて立っていた。
「ヒッ!?」
そして服の中から鍵を取り出し、私に見せつけ、顔を大きく歪ませる。
ヒヒヒヒッ!
私に鍵を見せつけながら不気味な笑い声をあげたその人形は、手に持った鍵を口から呑み込んだ。そして姿を消した。
ヒヒヒヒヒ!!!!
どうやら私を見つけて鍵を奪ってみろといいたいらしい。
「・・・一旦帰っ『ザンッ』ヒィッ!?」
とりあえずマッピング優先させて出直そうと思い、玄関の扉を開けようとすると、後ろから槍が飛んできた。振り返ると先ほどのメイド人形が怒った表情をしている。どうやら外に出ることは許されないらしい。いまのは恐らく警告で、次逃げようとしたら殺されるのだろう。なんかそんな気がする。
「・・・あ、えっと。ごめんね。うん、ちゃんとやるから」
そういって家の中に入っていく。
すると人形は再び音もなく消えていった。どうもメイド人形からあの鍵を奪わない限り、ここから出ることは出来ないようだ。
よーしっ・・・って待って。隠密状態だったよね?なのに気が付かれた?いや、ドアを開けたからそりゃ気が付かれる?でも明らかに私の顔見てたよね??それに
とりあえず
魔法を発動し、銀色の球体が俺の周りに浮かぶ。これが私の魔法。名前は『
ただし、発動が速くなるとかそういう事はなく、あくまで追加で処理できるだけなので、発動までを早くしたいとか効率よくしたいなら鍛える必要がある。とはいえ、今となっては大抵の上級魔術は1秒あれば発動できるので、そこまで気にならないと思う。超級でも一番かかって3秒程度。パーティなら十分、ソロでもまぁ、組み合わせ次第で何とかって感じだと思う。実際に戦闘したことないからよくわからないけどね。
ちなみに魔法の名前も効果も、いままで私が使ってきた感覚から“きっとこうなんじゃないかなー”って感じで説明している。だから本来の効果ではないのかもしれないし、別の使い方もあるかもしれない。そこはまだ検証中。
まずは1階の右側から探索していく。廊下を進むと扉が2つあった。まずは手前の部屋から見ていこう。
入った部屋は高級ホテルのスイートという感じの部屋で、やたらデカいベッドに、謎にデカく豪華な装飾が施されたソファ。部屋に設置された大きな窓からは綺麗な庭が見えている。さらに風呂とトイレもついているようだ。ダンジョンでなければぜひとも泊りたいところだが、そんな場合ではないのでしっかりと探索しよう。
30分ほどかけて部屋の中をくまなく探したが、人形は見当たらなかった。
ゴーンゴーン
1部屋目の探索が終わったところでチャイムがなる。何のチャイムだろう・・・?ゲーム的に考えたら時間が経つごとに何かイベントある・・・とか・・そういう・・・
ギギギィ
チャイムについて考えていると部屋の扉がゆっくりと開き、奥から等身大の人形が入ってきた。その手には剣を持っている。そして問答無用で襲ってきた。
「ヒィッ!?」
私は必至に攻撃を避け、どうにか扉の方に抜け出そうとするが、20年間引き籠り続けた私にそんなことできる運動能力はなく、横を抜けて扉に走ったところで右腕を掴まれてしまう。そして
ザンッ!
「ギャアアアアアアアア!!?!?!?!」
痛い痛い痛い!!!腕!!腕があああ!!!ヒ・・
ヒィッ!?!?
痛みでパニックになりつつも必至に回復魔術をかけていると、私の頭をつかまれて人形の方を強制的に向かされる。まるで私から目を逸らすなと、そんなことを言っているようだ。そしてそのままの状態で、そいつは私に見せつけるように、切り落とした腕を食べ、ゆっくりと笑みを浮かべたあと、どこかへと消えていった。
気づけば右腕の傷は塞がっており、痛みも完全に消えていた。
「ヤヤヤヤバイ・・・。ここマジでヤバイ。次のチャイムが鳴るまでに見つけるかアレに対処できるようにしないと。」
折れかけた精神を何とか持ち直し、
「ふぅ・・・とりあえず落ち着いたかな。怖かった。」
チャイムが鳴る条件は恐らく時間経過。このゲームが始まった時からと考えるなら、大体30分くらい?次も変わらなければ30分でなるはず。その前になんとかしないと。
精神安定の魔術を使っておけば先ほどのようなパニックになることもないだろう。すぐさま魔術で攻撃すれば腕を落とされることもなかったかもしれないと考えると悔しいやら悲しいやら変な気持ちになる。
「ってそんなこと考えている場合じゃない。あのメイド人形を見つけないと。」
この部屋を出て隣の部屋に入るもこちらには何もなく、ただの空き室だった。隠し扉的なものがないかも探したがそれもなかった。
次は建物左側にある部屋を探索しよう。こちらは扉が一つあるだけのようだ。
中に入ると先ほどの客室よりも更に豪華な部屋になっていた。扉を開けてすぐリビングが広がり、奥には中庭が見える。部屋の中に入ると、リビングの奥には二つの扉があり、廊下側の扉がキッチンで、庭側の扉には風呂とトイレが設置されていた。部屋の構造はわかったので、リビングから探索していこう。
ゴーンゴーン
この部屋を探索している途中で再びチャイムがなった。
ギギギギ・・・とゆっくり扉が開き、先ほどのように剣を手に持った人型の人形が入ってくる。私は先手必勝で
「っ!
ガンッ!!
咄嗟に上級魔術の
ガンガンガン!
人形は障壁が見えてないのか、力押しで壊そうとしてくる。その隙に相手の足元から
これが思いのほか効き、今で足が壊れる。そして消えていった。
「・・・今のでいいんだ・・・ふぅ・・・なんとかなった。」
余りにもあっけなく終わったので、罠なのではと警戒していたが特に何もなかった。どうやら身体の一部を破壊すればそれで大丈夫っぽい。それなら何とかなるかもしれない。
引き続き部屋の中を探すが、メイド人形は見つからなかった。そういやキッチンあるけど、このダンジョンって火属性使えないんだよね。必然的に生で食べるしかないけど、その辺どうするんだろう?
・・・ダンジョンにツッコミしても意味ないか。実際に使われているわけではないだろうし。次は2Fの探索をしよう。
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