第14話 ダンジョンの案内人

 翌日、ダンジョン攻略の準備を整えてから、ギルドに紹介してもらった案内人と顔合わせをする。そして、ダンジョンに入れることになった。


「俺の名前は、ゼノ。よろしく頼む」

「よろしくお願いします」


 ゼノさんという中年男性が、ギルドから紹介してもらった人物だった。顔の傷や、筋肉隆々の腕などを見ると歴戦の猛者という雰囲気があった。そんな彼と挨拶して、ダンジョンに関する話を聞く。


「それじゃあ、これからダンジョンに入る前の注意事項を説明するから、しっかりと聞いてくれ」

「「「はい」」」


 ゼノさんの言葉に、私達は素直に返事をして聞く態勢になる。そんな私達の反応を見て彼は頷くと、注意事項について説明してくれた。聞き逃さないように集中する。


「ダンジョン内では、これから俺が言う3つのことに従ってもらう」


 真剣な表情のゼノさんは指を三本立てて、ちゃんと聞いているかどうか確認しながら説明を続ける。これは、かなり大事な話のようだ。


「一つは、絶対に無理をしないこと。ちょっとでも危険を感じたら、すぐ帰還する。その指示は俺が出すから、しっかり従うように」

「はい」


 危なくなりそうだと感じた瞬間、すぐに地上へ帰還する。絶対に失敗しないようにするため、かなり余裕を持ってダンジョン内では行動するつもりのようだ。


 なるほど、とても大事な事だろう。


「一つは、戦闘中に俺を頼らないこと。あくまでも俺は案内人であり、モンスターと遭遇した時は3人で戦うように。苦戦して俺が手助けに入ったら、その時点で地上へ帰還する。覚えておくように」

「はい」


 自分は案内人で、戦闘員ではない。その事を肝に銘じておくようにと言われた。私達は、いつものように三人で戦闘する。彼に頼らないように、気をつけないと。


「そして最後の一つは、俺が指示を出した場合は必ず従うこと。ルートなどは案内をするが、それ以外で余計な口出しをしないようにする。だけど緊急の場合には、俺が指示を出す。その指示には、必ず従うように」

「わかりました」


 指を一つずつ折って、丁寧に説明してくれたゼノさん。彼のような人物が案内人を引く受けてくれて良かった。これだけ丁寧に、注意事項を説明してくれるのだから。


 無闇矢鱈と高圧的な態度をとったり、適当に案内をするだけで済ませたりはしないようで、安心できる人だった。


「それじゃあ、行ってみようか」

「よっしゃ! 行こうぜ!!」


 説明が終わって、ゼノさんが皆を促す。元気よく返事をしたのはロバン。初めてのダンジョン攻略に、かなり興奮しているようだった。その気持は、よく分かる。


 そんな彼の後に続いて、ゼノさんと私とダイロンが歩き出していた。私達は4人でダンジョン内に入っていく。


 初めて立ち入るダンジョンに私も、とても興奮していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る