第11話 三人の旅
ロバンとダイロン、そして私の三人組で旅をしている。目的地は、修行の地として知られていて、有名なダンジョンがあるローハタの平原という場所。
旅は、とても順調だった。予定通りのルートを進んで、遭遇する出来事も対処してきた。
「あんた達、助けてくれ!」
「どうしたんだ、じいさん?」
立ち寄った村で、いきなり老人に助けを求められた。すぐにロバンが応じる。
「モンスターに襲われたんだ! 頼む、ワシの息子を助けてやってくれ!」
「わかった! 任せてくれ!」
話を聞いた瞬間に、私達は駆け出した。そして、モンスターに襲われていた村民達を発見して、助けに入る。
戦いは一瞬で終わった。最初に私が魔法を放ち、続けてダイロンが矢を撃って、最後にロバンが剣でトドメを刺していく。これで、敵を圧倒した。
「ありがとう! 本当に助かったよ!」
「治療しますね」
「本当にすまない。恩に着る」
モンスターを全て討伐した後、私は回復魔法を使って怪我人を治療した。
「マリアンヌさん、こっちもお願いできますか? かなり重症のようだ」
「はい! 任せて下さい」
「これは、軽症だな。彼女が必ず治療してくれるから、少し待っててくれ」
「わかりました。お願いします」
ダイロンに呼ばれて、次々と怪我をした村人を治療する。二人も協力してくれて、治療する順番を整理したり、先に怪我の状態や症状を聞き出し、それを私に報告してくれて、スムーズに対処をすることが出来た。
私が回復魔法の腕を磨くために怪我人の治療を任せてほしいという考えを、二人は理解してくれていた。
そんな事があったり、他にも商人の護衛をしながら次の街へ向かう仕事を引き受けることもあった。
「君たちの活躍は、アレンから聞いているよ。アレンって、盗賊に襲われたところを助けてもらった、乗合馬車の商人だ」
「あぁ、あの人から」
「アイツから、とても優秀だと聞いているよ。だから、君たちに護衛を頼みたい」
「わかりました。任せて下さい!」
商人達の間で、私達のことが噂になっているらしい。そんな評判を聞いたロバンが喜んで、護衛の仕事を引き受けた。予定していたルートと一緒だったので、その仕事を引き受けても、問題なかった。
そして、モンスターや盗賊などに遭遇することもなく、無事に仕事は完了した。私達は、報酬だけ頂けることになった。
「俺達、そんなに仕事していませんが、こんなに貰って大丈夫なんですか?」
「もちろん! 依頼した通り、街に辿り着くことが出来た。商品も無事だ。だから、正当な報酬を渡しているだけだよ」
「わかりました。ありがたく頂戴します」
仕事を終えた後、ロバンが報酬を受け取っていいのか心配になって依頼してくれた商人に尋ねると、そう答えてくれた。そう言われると納得して、素直に感謝の言葉を伝えた。
実家を出てから、数週間ほど経っていた。とても濃密な時間を過ごしてきた。特にロバンたちと出会ってから、色々な出来事があった。
旅をする目的の一つ、回復魔法の腕を磨くことも出来ている。これから、どんどん実力を伸ばしていくことが出来るだろう。そう考えるだけで、ワクワクしてくる。
ローハタの平原に到着したら、冒険者の登録をする。そしたら、もっと経験を積めると思う。それに、ダンジョンにも挑戦したいと考えている。今まで見たことがないような、凄い光景を見ることが出来るかもしれない。
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