第8話 出会い

「すみません、ロバンの奴が迷惑を掛けちゃって……」


 盗賊に立ち向かっていった彼の傷を癒やしてあげていると、もうひとり別の青年が近寄ってきた。そして彼は謝った。どうやら、私が傷を回復した男性はロバンという名前らしい。謝ってきた青年は、ロバンの仲間だろうか。


「おい、何だよダイロン! せっかく皆を助けようと思って頑張ったのに」

「お前が無茶して盗賊に突撃していったのを、この娘に後始末してもらったんだぞ。しかも、傷まで回復してもらって。迷惑以外の何物でもないよ」

「うっ!? そ、それは確かにそうだけど……」


 仲間の青年に叱られたロバンという男は、気まずそうな表情で言葉を詰まらせる。私は、それほど気にしていないけれど。後始末した、というつもりはない。むしろ、一緒に協力して盗賊連中をやっつけた。そんな感じだと思った。少なくとも、迷惑に感じていない。


 しかし、その青年は非常に申し訳ないというような表情だった。


「改めて、すまなかった。ロバンの奴が、君にとても迷惑をかけてしまって」

「いいえ、そんな。ロバンさんが盗賊達の注目を集めてくれたおかげで、私が魔法を使うタイミングも生まれました。それで、乗客にも被害が出なくて、皆が無事だったのです。彼が勇敢に行動してくれたおかげですよ」

「へへっ! 彼女も、こう言ってくれてる。俺が勇敢だって!」


 謝罪して頭を下げる、ダイロンと呼ばれた青年。しかし、私も助けられたのは事実だった。彼が行動してくれたおかげで、上手くいったのは本当だろう。


 ただ、私の一言でロバンという青年が調子に乗ってしまった。そんな彼の態度に、私は苦笑するしかない。しかし、彼の仲間は怒ったようだ。


「コイツに、そんな気を使わなくても結構ですよ」

「なんだと? おい!」


 一見すると険悪そうな雰囲気だが、実は仲が良さそうな二人だった。その後、私は彼らに自己紹介をした。彼らも、名前と旅の目的を教えてくれた。


「俺達は冒険者になるために、ローハタの平原に向かってるんだ」

「あそこにはダンジョンがあるので、そこで冒険者になって一旗揚げるんですよ」

「そうなのですか。実は私も、冒険者になろうと思って旅をしていました」


 ここに偶然、三人の冒険者志望が集まっていた。少し会話をして彼らが良い人だと感じた私は、ローハタの平原まで同行することに決めた。


「もしよければ、一緒に行きませんか?」

「いいのか? 俺は、別に構わないが」

「君が一緒に来てくれるのなら、とても心強いよ。よろしく頼む」


 一緒に行かないかと誘ってみると、二人はすぐに了承してくれた。こうして私は、ロバンさん達と一緒に国境を超えた先にあるローハタの平原へ向かうことになった。

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