トマトジュース

幼い頃、祖父母がよく

フレッシュ・トマトジュースを作っていた

畑のトマトと塩だけの

なんともいえない味だった


「からだにいいから飲みなさい」

私と弟は 祖父に飲まされた

コップに入った赤い汁を

複雑な思いで見ていたあの頃


ちびちびと嫌そうに飲む弟を前に

私は祖父の顔をうかがう

そして一気に飲み干すのだ すると

祖父は喜んで コップにつぎ足す


私は昔から そんな子だった

祖父はきっと 嫌と言っても笑っただろうに

私はいつも 下手くそだった

ただ 口にすれば よかったのに


月日が流れ、こんなふうに

昔を思って ほほえむ自分がいる

私は今日も 祖母が作った

恐ろしく茶色くて しょうゆ辛い おかゆを食べた


私は今も 下手くそなのだ

おいしいなんて 言えないけれど

それでも口に運ぶのは

それが愛情だと知っているから


だから ありがとう

口に出せない

薄情な娘


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