迷子


気付いて!

少女は心の中で叫びます

道に迷っているの、お願い、助けて!

さっきまで肩にとまっていたハトはどこへ行ったのでしょう

道をおしえてくれると約束したのに!


本当は 道に迷って おびえている

先が見えずに おびえている

なのに

道ゆく人に それを言わないのだ!あわれな少女は!

口元に 微笑みさえ もうけて

大丈夫です、なんて言っているのです

ああ なんて あわれで こっけいな姿だろうか


さあ、そろそろ限界が近付いているようです

彼女の口元から笑みが 消えていく

日の光も暮れて 消えていく

少女の不安はつのるばかり


ああ、ハトよ、戻って来ておくれ、少女の肩に

そしてまた 道を教えてやっておくれ

この あわれで こっけいな少女に

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