シン・異世界ラーメン無双奇譚 〜山形次郎と愉快な仲間たち∠( 。ÒㅅÓ)/ まぁ、ラーメンは素人が作っても魂込めてれば旨い筈だと思いながら、ダンジョン攻略してやるぜ!〜
酸化酸素 @skryth
第1話 宇宙の神秘はパンツから始まる
「大丈夫。問題無い」
俺の名前は山形次郎、41歳。そんなこんなのなんじゃねかんじゃねの、うんちゃらかんちゃらで今に至る。
人よりも多少、思い込みが激しいのは理解してる。理解してるが、三つ子の魂、百までって言うだろ?俺は一人っ子だから三つ子じゃねぇが、それでも魂は永久不変っていうか、思い込んだら一気に駆け抜けるのが俺の生き方だし、変わりたくてもやめたくても、やっぱりやめられねぇよ。
考え方は変われても、思い込みの激しさってどうやったら変われんのか、見当も付かねぇモン直せる訳ねぇだろ?ってのが俺の主張さ。
だから、俺は俺らしく今を生きてるし、これからも生き続けるだろう。
-・-・-・-・-・-・-
「なぁ、オバサン誰?」
「おっ、オバ?!アテクシの事を忘れたと言うのですか?あんなに濃密な時間を過ごしたアテクシの事を?アテクシの事は遊びだったのですか?」
「なぁ、もっかい聞くけどオバサン一体誰よ?俺は濃密でも三密でも蜂蜜でも壇蜜でも何でもいいが、サッパリ知らねぇんだわ。日本で会った事あったっけ?それとも、こっちに来てからか?まぁ、日本で会ったなら、この姿じゃねぇから分かるわきゃねぇとは思うんだけどよ?それに、俺は遊びじゃヤらねぇんだわ」
「はぁ……全く……それでこそ山形次郎と言うか、相変わらずですね。でも、もう少し付き合いが良くてもいいと思いますよ?」
「ん?俺の名前を知ってるって事は、日本で会ったのか?それだとしたら、よく俺だって分かったな?オバサンまさか、超能力者ってヤツか?目からビームとか出せんのか?」
「ふふふ。やっぱり山形次郎、貴方は面白いですね。それでこそ、山形次郎と言えます。まぁそれなので、オバサン呼ばわりはいつも通り許してあげます」
「いや、勝手に納得されても許されても意味が分からねぇよ……。で、俺になんか用なのか?とは言っても、俺は夢で見たり聞いたりした事は、起きたらサッパリ覚えてねぇから、今ここで何を言われても覚えてられねぇ自信しかねぇぞ?」
「えぇ、そうでしょうね。
「渡す物?夢の中で貰っても、意味なんてなくないか?」
「それはただの夢ならそうでしょうけど、残念ながらこれはただの夢ではないのですよ。さ、これを受け取りなさい」
「おいおい、幼女のパンツなんていらねぇよ。それに俺には幼女趣味は無ぇんだ」
「流石、山形次郎ね。アテクシの想像の斜め上を行く珍回答に驚きを隠せません。ですが、貴方はこれが幼女のパンツだとしたら、履く事が出来るのですか?ほら、よく見てごらんなさい。脚を入れる穴が無いのに、パンツなワケがないでしょう?」
「確かに……。脚を入れられねぇパンツはパンツじゃねぇな。でも、飛べねぇ筈の豚が飛んでたんだから、穴が無ぇパンツだって履ける……わきゃねぇな。じゃあ、見た目が幼女のパンツそっくりなそりゃ一体何なんだ?」
「これは、アテクシが貴方の為に作った、貴方の為のご褒美です」
「俺へのご褒美が穴なし幼女パンツだってのか?俺は……」
「幼女趣味は無いのでしょう?だから先ず、幼女パンツっていう思い込みをやめるべきでわ?」
「ぐっ、痛ぇ所を突かれたぜ」
「貴方は覚えてないでしょうけど、大体いつもこんな感じの遣り取りをやらせられれば、仕舞いには覚えてしまうものですよ」
「そ、そうなのか?なんか……」
「「申し訳無ぇ」でしょ?」
「よし、分かった。オバサンは俺に会った事があって、俺はそれを覚えて無ぇってのは、よおっく分かった。で、そしたらそのご褒美ってのは、一体何なんだ?」
「でも、言った所で、起きたら覚えてないのですから、教えてあげません。だけど、これはご褒美なので渡しておきます。有り難く受け取りなさい」
「わ、分かった。有り難いかどうかは置いといて、受け取っておくぜ」
「貴方には必要なモノですから、有り難がってもいいのですよ?」
「じゃあ、何に使うモノなのか教えてくれたって……」
「教えません。それでは、そろそろ貴方は起きる時間みたいですから、また健やかにラーメン作りに邁進して下さいね。それでは、お元気で」
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあんッ」
びくっびくっ
「ママ平気?」 / 「まま大丈夫?」 / 「大丈夫母さん?」 / 「お袋!しっかりしろ」
「あ……俺、一体……?みんな、おはよう」
俺はいつも通りみんなに食べられていたようで、全裸になっていた。
俺はそれ以前に何か夢を見ていた気がするが、何も覚えていなかった。
「ママ、それどうしたの?」
「それ?それって何だ?ん?何か握り締めてるな……おわぁ!なんだこれ?幼女パンツか?」
「かあさん、それが幼女用のパンツなら、この中に履けるのは誰もいないけど、見た所それはパンツじゃないみたいだよ?」
「そうなのか?ん?確かに脚を入れる穴が無ぇな……。じゃ、なんだこれ?」
俺は全裸のまま、右手に握り締めていた幼女パンツみたいな布切れをまじまじと見詰めていた。ってかさ、この光景って普通に考えたら異常だよな?部屋の中に全裸の俺を取り囲むように、半裸の3人と喋る蔓があるんだからさ。
まぁ、誰にも見られる事がないダンジョン内の家の中だから……
こんこん
「クレア!大丈夫かい?何か、凄い悲鳴が聞こえたけど?何かあったのかい?」
って、違った。ここはダンジョン内の家じゃなくて、
ヤバいヤバいヤバい!こんな状況をおっさんに見られでもしたら、激おこプンプン丸になるのは目に見えてる以前に、半裸の3人が、おっさんに見られるって事だよな?
流石にそれはマズい。
嫁入り前の娘達の半裸を、おっさんに見られる訳にはいかねぇだろ?まぁ、俺は全裸だけどな……ってそうじゃない!俺の全裸を、おっさんに見られるのもアウトだよな。
流石に近親相姦はヤベぇって……いやだから、そうじゃない!そんな事を言いたい訳じゃねぇし、そもそも俺は男だ。いや、身体は女だけど、他のムスコに興味は無ぇ。
あぁ、なんか混乱しまくってるな。なんか今の言い方だと、扉の向こうに全裸のおっさんがいるみてぇだよな?
「大丈夫だ、パパさん。問題無ぇ。ちょっと寝惚けて叫んじまったんだ。だから開けるなよ?開けるなよ?絶対に開けるなよ!」
「クレア……何かを隠してるんじゃないかい?」
「いいか、もしもあの扉を開けようとしたら、遠慮はいらねぇ。気を失わせていいからな。殺さない程度に半殺しにしていいからな」
「「「「分かった」」」」
「この中じゃ、
「あ、あの、クレア?何か聞こえるけど、中に誰かいるのかい?」
「大丈夫。問題無い」
「そうか……問題無いってそこまで言うなら、パパは戻るよ」
「行った……のか?」
「母さん、まだ扉の向こうにいるよ?様子を伺ってるみたい」
「流石、
こうしてガサゴソと部屋の中で大運動会が始まったのさ。俺も必死に、脱がされて散らかされた服を着た訳だ。こうして完全に準備が整った所で、まだ扉の向こうにおっさんがいるか確認したが、
ってかさ、なんで俺達がここに出戻っているのか不思議だろ?ダンジョン内の家がどうなったのか、不思議なんじゃねぇかって思ったから聞いてみたんだけど……。えっ?不思議じゃねぇの?……ならいいや。
「しっかしコレ、何なんだろうな?」
俺は両手でぐいーんと伸ばしながら、幼女パンツもどきを眺めていた。一応手触りは布っポイけど、俺が両手で引っ張ると意外と伸びるから、布じゃねぇのかもしんねぇ。この世界に来てからこんな布は見た事がねぇから、多分違うんだろう。
そして不思議なのはその中身だ……。ちなみに、部屋の中には俺一人しかいねぇ。
本来のパンツならお腹が包み込まれる辺り……要するにパンツの内側の部分が真っ黒なんだ。いや、パンツが黒いって話しじゃねぇ。パンツ自体は白いんだ。
だからなんて言えば伝わるか難しいんだけどよ、パンツの中に宇宙が広がってる……みたいな感じだな。
「宇宙パンツ……とでも名付けてみるか……。ってか本当にコレ何なんだろうな?」
俺は独り言を呟きながらパンツをまじまじと見詰めていた訳さ。傍から見たら変態だよな?いや、一応俺は見た目は女だから通報される事はないだろうが、もしも日本で山形次郎の時にこんな事をやってたら、即通報間違い無しってヤツだ。
自分の娘のパンツだって、ここまでまじまじと見た事は無ぇ。いや、だから幼女趣味は無ぇからだよ?そこん所はちゃあんと分かってくれてるよな?
でもま、今の俺は女だ。見た目だけは……だけどな。俺が
そんな事を考え始めていた俺は、宇宙パンツの中に何かが見えた気がした。何かが見えた以上は気になっちまうのが、俺の
だから俺は、宇宙パンツの中に手を入れてみたんだ。
「何か……ある。何だこれ?意外と硬くて柔らかくて温かい……掴めるって事は引っ張り出せるのかな?」
ずりゅ
ぱっぱらぱっぱぱーっぱっぱーん♪
「おわッ!?何だこれ?」
俺が宇宙パンツの中で掴んで、引っ張り出したのは、小さいおっさんならぬ、小さな子供の頭だったのさ。だから、手っ取り早く言えば、パンツから生首が生えてるって言えるな。
簡単に言っちゃえば、ちょっとしたホラーでしかねぇよな。
ぼわんッ
「うわっ?!なんだなんだ!パンツが爆発した」
生首がパンツから生えた瞬間、ファンファーレみたいな音が聞こえた気がしたのは確かだ。昔テレビで見た、どっかの青狸が道具を取り出した時に鳴ってたような音みたいなヤツだった。
まぁ、それはどうでもいいんだが、その音が鳴った後に、宇宙パンツは白い煙になって消えちまった。
そして煙が消えると、部屋の床には一人の子供が寝ていた。服は着てるから全裸じゃねぇ。子供だから男か女かは分からねぇが、服がヒラヒラしてるから女の子かもしれねぇ。
背中には羽が生えてるみたいだから、俺が知ってるどんな生物とも違うのは当たり前だった。
「う、うぅん……」
ゴロゴロゴロ
「どうやら生きてるみてぇだな。パンツから出て来たのが生首だけだったから焦ったけど、こうして見ると……なんなんだコレ?どっから来たんだ?」
「ううぅん」
ゴロゴロゴロ
「それにしても寝相悪いな、コイツ……。さっきからぐるぐる動き回ってやがる。これは寝返りってレベルじゃねぇぞ。ん?あれは
床に寝ている子供はゴロゴロと転がりながら、うなされているようにも見えた。そして、ゴロゴロと転がるモンだから、着ている服が捲れ上がって、苺柄のパンツが丸見えだった。
ってかさ、この世界に苺なんてなかったよな?少なくとも俺が日本で見た事のある食べ物なんて、一切無かった筈だ。でも履いてるのは苺柄……。通称イチゴパンツって呼ばれるんだっけか?
これは、謎……だな。
「まぁ、いつまでも床に寝かせておいても可哀想だし、ベッドに寝かせてやるか……。よっこらせっと」
ぱちッ
「「えっ?!」」
「何で、私がいるの?」
「おっ?目覚めたか?」
「えっ?やっぱり私……よね?」
「ん?どうした?俺の顔に何か付いてるか?」
「俺?私よね?いや、私の身体よね?アナタは誰?」
「私の身体?いやいやいや、そうかお前……まさかとは思うが、クレアなのか?」
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