第127話 あらためて湘南の話

 今密かに僕はこのエッセイを百三十話で終わりにしようと目論んでいる。そのため百二十九話までは今月に仕上げて、最後の一話を十二月にと考えている。

 そんなどうでも良い目論見は上手くいかなくても別に問題ないのである。


 さて本題。湘南の三都市、平塚、茅ヶ崎、藤沢の東海道線の発車チャイムが既製のものだったのは藤沢駅だけだった。ずっとハンプティダンプティのナーサリーライムスが流れていた。

 平塚駅はいち早く七夕の歌、茅ヶ崎駅はサザンの希望の轍と、なんとも皆に馴染みのある佳曲が流れていた。つい先日、藤沢駅もメロディが変わって、独自のモノになったのだが、さて全く聞き慣れない曲であるし、なんか童謡にも唱歌にも聞こえるものだった。

 暫くして告知のインフォメーションを読んでビックリ。藤沢市民の歌。行政の歌である(大爆笑)。このおかしさは、さすが僕の住む街だと勝手に納得した。そして密かに思った、バカマジメだわ。本当、僕にピッタリ。

 発車チャイムだけで言うなら、風流な平塚、ポップな茅ヶ崎、くそまじめな藤沢、団子三兄弟のように思ってしまった。三色団子なら黄色と紅色は平塚と茅ヶ崎、藤沢はきっと白い団子だな(笑)。

 この三市で観光や人口などの面でひとつ抜けているのが藤沢なのだが、その内訳、微妙なのは北側、すなわちこの地域では山側というのだが、そっちはおしゃれなニュータウンで全く観光とは無縁である。南側、通称海側は江の島や片瀬海岸、湘南海岸と江ノ電という観光客の多い地域だ。

 温暖な気候はこの三市はほぼ一緒で、首都圏の避寒地や保養地として明治の頃より開発されてきた経緯もある。

 この三市に大磯町という風光明媚な漁村も加えると湘南地域の完成である。大磯はロングビーチでも有名だし、吉田茂の別荘や鴫立庵しぎたつあんでも有名である。そして湘南という名称の発祥の地ともいわれている。


 さて藤沢の話。三市で交通網が発達しているのは藤沢市だ。東海道線、小田急線、江ノ電、横浜市営地下鉄、湘南モノレール、相鉄いずみの線などが市内に乗り入れている。中心となる駅は藤沢駅と湘南台駅で、前述の海側の中心駅が藤沢駅、山側のが湘南台駅となる。

 僕が大学生の頃は湘南台駅は小さな駅で急行も止まらない駅だった。長後駅との逆転劇がすさまじい。

 そして商圏エリアとしては辻堂駅周辺が巨大なパーキングを有したショッピングセンターをいくつも持っている。これはアウトレットなどを持つ平塚と互角に発展している感じだ。両市とも商業都市としての性質を持つ。

 ちなみに僕は平塚十年、藤沢十二年と二十年以上湘南エリアに住み続けているのだが、この適度な都市の感じと田舎の感じがゆるく入り交じった特徴、好きだ。そう、時間のゆっくりながれる生活感は長年住んでみた人は、みなその地域性を実感できるのである。

 あと二ヶ月もすると箱根駅伝の看板が町中に立ち始める。そして春のシラス漁の解禁、一年はあっという間だ。そんな季節の流れの中で発信されたこのエッセイを読んでくれた多くの人たちに感謝だ。

 湘南と両毛と音楽とマンガ、そして小説のご案内、とても楽しく文章に興じた。またどこかの媒体でも余裕が出来たら始めたい、と思う昨今である。まあ当分は無理っぽい。忙しい。

 なにより心地よいこの街に暮らせていることに感謝である。シメまであと三話分、月の後半にもう一話アップする予定。今回は頑張って二話連投である。ではまた。


 


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