第86話 日が暮れて夜が明けちゃう話Ⅲ
タマゴがようやく安価におさまってくれている。このままタマゴの相場は安定していて欲しい。タマゴ、それは夢、タマゴ、それは希望。って大袈裟に言ってみた。ここから「アイ・アム・ザ・ウォルラス」に話を強引に持っていきはしない。そんなマニアックな内容ではない。ここで笑ったあなた、結構なビートルマニアかな?
さて本題。レノンとマッカートニーの楽曲の違いって何かな? 僕が学生時代に良く友人に訊ねられたこと。僕は別に評論家でもないし、音楽家でもないので、鑑賞者として、ファンとしての感想や意見しか言えない。すなわち素人意見だ。
リスナーやオーディエンスとしての一意見で言えば、レノンは随筆家であり、マッカートニーは小説家なのかな? なんて思うときはある。勿論あえて
デビュー初期の頃のカワイ子ちゃんにむけたお洒落なラブソングを軽快に歌っていたあたりは両者の違い、差異はそれほどなかったのだろう。「抱きしめたい」とか「シー・ラブズ・ユー」なんてあたりかな。
僕の感じ方では、アルバムで言えば、『ヘルプ』や『ラバーソウル』あたりから個々のオリジナリティの形成が見える気がする。アルバム『ヘルプ』なら、この日常が忙しくて嫌だ、助けて、の「ヘルプ!」がレノン、メランコリックな歌詞に合う編曲と楽器を考えてみたいんだ、という「イエスタディ」のマッカートニー。
『ラバーソウル』なら、レノンの過去の友人たちがどんな風に僕と接してくれたんだろうな、と懐古感に浸り歌う「イン・マイ・ライフ」、一方、マッカートニーのアコースティック感が低音やリズム、アルペジオの分解和音で溢れているシャンソン風、ジャズ風の「ミッシェル」はメロディアスでお洒落なセンスの曲だなと僕は思った。
ソロ活動でそれぞれは違っていく。それは「イマジン」と「シリー・ラブソング(二人のラブソング)」で、時は僕が洋楽を聴き始めた頃、一九八〇年あたりの当時の音楽雑誌での話で、この二曲はこの時代に良く例えられていた。
「イマジン」は人類や社会が良い方向に行けたら良いなという夢を語るメッセージ。対してマッカートニーの立ち位置は、世の中は馬鹿げたラブソングに飽き飽きしているのが分からないのかと、ミュージシャンに言うけど、ラブソングだって捨てたもんじゃない、と歌っているのが面白い。
似たようなモノに『ダブルファンタジー』の「ウーマン」という曲と、『タッグ・オブ・ウォー』の「エボニー&アイボリー」の例えもある。
女性の社会進出や女性の社会的な役割を尊いものとして、女性とはどれだけ大切な存在かというのがレノンの歌詞。マッカートニーは人種の調和を求めたものが歌われている。とりわけ白人と黒人をピアノの鍵盤に例えながらである。
お分かりのようにレノンは「見直そうよ、考えてみようよ」というスタンス、マッカートニーは「仲良くしようよ、楽しく過ごそうよ」というスタンスだな、と僕には映るし感じ取れる。でもこれ僕の勝手な意見なので、個人の感想である。
レノンの曲は社会の一場面や問題意識を切り取ったスクラップ・ブックのように曲が構成される。対するマッカートニーは楽器やメロディで雰囲気、臨場感を演出して、皆が楽しむ、そして浸れる音楽を創作していくという風に僕には見えている。だから随筆家と小説家という例えなのだ。角度を変えて換言するなら哲学者とクリエーターとも思える。
勿論、両者ともに沢山の曲を書いているので、決してステレオタイプな決めつけは禁物である。レノンにも「真夜中を突っ走れ!」のようなマッカートニー風の曲もあるし、アイルランド関連の社会情勢を加味して平和の尊さを歌ったマッカートニーの曲もある。
でも世の中はレノンは社会派、マッカートニーは創作家という定義づけをしたいようだ。偉人としてレノンは、子ども向けのマンガになったり、伝記本になったりもしているが、「ロックンロールの詩人」と言われる言葉遊びが歌詞の中には多い。
対して「メロディメーカー」と言われるマッカートニーは楽器、アレンジ、録音方法などの編曲効果に着目しながら、美しい旋律を紡ぐというのも本当の話だ。
ほら、こう言う話をさせると僕、止まらなくなっちゃうでしょう? 僕は絶対にレノン=マッカートニーのサイトを立ち上げてはいけない人。だって小説そっちのけで書き始めそうだ(笑)。一時、馬鹿みたいに曲を聴き、本を読み、ライナノ―ツを眺めていたので、その時代のおつりだけで結構な角度からレノンとマッカートニーのことは書けちゃうのだ。ハリソンとスターに関してはあまり情報がないのが玉に瑕なのだ。なのでビートルズファンとは言い難いのかな? と常に自問自答しているのである。
くどいようだがここに記したモノはあくまで全ては僕の感想である。個人的な想いである。違う見解の人がいても全くもって良いと思う。
そんなわけで、この記事のタイトルに反するように、夜が明けては困るので僕は早めに寝るのだ(笑)。ではまた。
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