第65話 着想とイメージ-作品の風味編-
さてさて自己分析する作品考察の巻。明らかにそれを目指した立ち位置、ポジションという作品が僕にはいくつかある。持ち味が大切なので、そこは隠すより知ってもらって読んで頂くのが一番だ。書き手なら誰にでもある、影響を受けた作品、いわば作品のランドマークだ。プロットや作品背景は全く違うけど、ねらいやコンセプトがそれというヤツ。
『ねらわれた学園』、『時をかける少女』。両者とも多くの人が知っている、何度も映画やドラマ、アニメーションにてリメイクされたスタンダードなSF作品である。眉村さんと筒井さんの名作だ。僕の作品全体の中で、これらの雰囲気、ポジションを目指したのが、『「メビウスの帯」がつくるミラクル』である。
ピアニストを目指して挫折しかかったハイティーンの少女を、転生した父親とローマ神のアポロの命を受けた女神フォルトゥーナが助けるというある種の
そこに主人公の少女の正義感と世界の秩序を戻すというところが、先に挙げた名作の雰囲気と合致する部分でそれっぽい。即ち昭和のジュブナイルSF小説の新梱包を目指したモノである。友情を壊さずに怪奇現象
そういう意味ではもう一つの出汁、星新一さん。この作家の「秘密結社」や「カボチャの馬車」を幻想的にさせた立ち位置が『ショートショート・ワークス 恋慕譚集 超短編集』である。SF風のショートショート。星さん似の作品を目指している。星さんのオチは分かりやすくて、奇抜で、ウィットが効くものである。星さんほどの素晴らしさやキレは無いが、拙作をバッタ物の星新一風味として読んで頂ければ、なるほどとご納得だと思う。特に「口癖の切ない話-美女とほとけ-」は星さん風、「おとぎ話は表参道で-美女と言霊-」は星さんと眉村さんの混合かな? まあオススメです。自画自賛(笑)。
最後は半村良さんと平井さん。『戦国自衛隊』があまりにも有名だけど、僕はそっちではなく、幻想作品、あるいはある意味フォルクローレの幻想風味を足している半村さんの作品に惹かれる。「
飄々とした客観的な文体を覚えている。このジャンルの作家は山田風太郎さんや当該の平井和正さんも有名だが、半村さんや平井さんのものがSFの雰囲気をそのままにして伝奇ロマンと融合させている。
一方の平井さんは着想が僕と似ているな、って勝手に思っている。『エイトマン』、『幻魔大戦』の大作家先生の足下にも及ばないのだが。この作家はSF以外にマンガからの着想や鑑賞を大切にする人だった。『めぞん一刻』や『気まぐれオレンジロード』の大ファンで分析論考(いわゆる論文もどき)を書いてしまうほどの入れ込みようだ。僕は知らないけど、この辺りから着想した作品も存在するそうだ。
話を戻すと「伝奇ロマン」をややゆるい雰囲気で僕の世界観で仕上げてる作品が『「みはしらのうずのみこ」が願う帝都ものがたり』や『かんなづきの夜』(カクヨム未掲載作品・近日に移す予定)である。血なまぐさいのやグロイのは僕の趣味ではないので、そこを取り払っての「伝奇ロマン」風という少々軽めの感じにしたものだ。この手の物語は冒険や体験を重視する姿勢が作品の持ち味なので、そこは拙作にも受け入れたい。ただエスパーモノ、超能力は僕の分野ではないからそこは出せない。今度超能力の叙述表現会得やイメージ掴みに『バビル二世』でも読もうかな? エスパーヒーロー、この辺がゆるいので、僕は半村さんと平井さんの作品とは、眉村、筒井、星作品よりも、少しだけ縁遠かったのかも知れない。
でもお気に入りの眉村作品にはエスパー、そこそこ出てくるんだ。エスパーと未来人、結構眉村ワールドには必須なのだ。
今回、少しだけSF作品の時代の流れが分かる要素も加えながら僕の作品に影響を与えた作品と、その該当拙作をご紹介してみた。一九七〇年から一九八〇年代はSF作品の大開花時期だった。そんな僕の思いとSFの名著、大作家を絡めてご披露した今回、作家や作品の香り、持ち味って僕の中で大切なんですよね、ってことをご理解頂けると本日の主題、目的達成。
そんなわけで疲れた僕は役目をはたしたので寝ます。月曜日朝のアップで良いか(笑)。また次回まで。
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