第45話 オレンジとレモンと炭酸水

 久々に「春先ダウン」に至った。体力が落ちていると、春先に疲れでぐったりというのが何年かに一度ある。この春はその当たり年だった。四月初めから五月までどうも疲れが抜けずローペース。一昨日、はなっ風邪をひいた。先の週末に雨に当たったのがよくなかったかな? あるいは寒暖の差についていけなかったかな? 何れにせよ、一日半ほど鼻水と痰に悩まされたが、三日目の今日は普通の状態に戻る。けろっと治るところが僕らしい。でも数日はおとなしくしていよう。体力温存。ちょうど書きたい小説もあるので、週末は必要以上に家からは出ないでおこう。

 おじさんは疲れやすい。ポンコツという言い方が実に合う。身体能力の部分では、もうムリは出来ない年齢になりつつあることは自覚しているつもりだ。


 さて本題。僕は大滝詠一さんが選んだ歌姫の中で、太田裕美さんと竹内まりやさん、大貫妙子さんの楽曲を聴くことが多い。とりわけ太田裕美さんの曲は一番なじみ深い。たぶん松本隆さんの歌詞が好きで、初期の太田作品の文学テイストとイメージを支えていたためだろう。僕が小学生から中学生の時期だ。


 面白いのはこのお三方のCMソング。太田さんは「♪君は光のオレンジギャル~」というCM、まりやさんは「♪レモンライムの青い風、伝えて愛のドリームオブユー」、大貫さんは「♪胸にきらり、光のひと~」と昭和五〇年代、ほぼ同じ時代に清涼飲料水のCMソングを歌っている。太田さんはキリンオレンジ、まりやさんはキリンレモン、大貫さんは三ツ矢サイダーである。

 今回の記事タイトルはこれのことだ。まあ四十代以上の人はどれかしら記憶に残っているCMソングではないだろうか?


 圧倒的に太田さんの曲は好きすぎて(勿論ご本人の歌声も含めてデス)、一日中流していても飽きない。


「ドール」、「雨だれ」、「たんぽぽ」、「木綿のハンカチーフ」、「最後の一葉」、「失恋魔術師」、「恋愛遊戯」、「しあわせ未満」、「君と歩いた青春」、「恋のハーフムーン」などで、キリンオレンジの曲は「南風-southwind-」である。きっと北風だったら買わなかったろうな(笑)。寒いのは嫌なので。


 通なところでは、大滝詠一さんの『ロングバケーション』の収録曲、「FUNx4」に台詞ボーカルで入っている「散歩しない?」という歌声は太田裕美さんのものだ。


 昭和五十年代初め頃、スーパーカーブームに、およげたいやきくん、ピンクレディと後楽園ゆうえんち。マンガなら松本零士さん、鴨川ツバメさん、山上たつひこさん、いがらしゆみこさん、大和和紀さん、池田理代子さんあたりかな。映画は『八ッ墓村』、『エクソシスト』、『スターウォーズ』、『ジョーズ』、『オリエント急行殺人事件』あたりが売れていた。時代の風がまだわかりやすかった昭和、話題と娯楽が一体化していたわかりやすい社会現象の時代だった。


 反面、個人の嗜好性を重んじて、多様性や個々の自由を重んじる昨今の時代性も僕は好きである。他者の意見や生き方を許容範囲で十分なので尊重するのはしごく当然だ。人間は多くの価値観を有して生きているからこそアイデンティティが生まれるのである、などともっともらしいことを言って、わかっていないのに分かった風な言葉で締めてみる(笑)。ではまた。

 


 


 

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