第38話 伏線の話題

 先日、ようやく繁忙時期も一段落したので、そして世間もどうにかレジャーを楽しむ風潮が戻ってきたので、東京まで遊びに行ってきた。江口寿史さんの個展を拝見してきた。千葉美術館の個展にも行きたかったが、それは時期尚早だったので我慢した。目の調子も比較的良い時期に入った。春先は大変だ。

 なので、最近始まった有楽町でやっているやつに訪問だ。『少年ジャンプ』での『ストップ ひばりくん』やパイレーツなども少しだが原画が展示されていて嬉しかった。イヌイさんが見れなかったのが残念。でもイラストには、大滝さんの『ロング・バケーション』、大貫さんのアルバムジャケットが描かれているものもあり、ナイアガラ関連が好きな僕は興味深く鑑賞に浸れた。もはや伝説となっている「白いワニ」の原稿も見たかったなあ(笑)。


 さて本題。そんなこんなで少しネットサーフィン(この言葉、もはや使う人も少ないけど)をしていて、小説とマンガのサイトでちょっとした板を見つけて何気ない書き込みに目が行った。参考にしたいくらいそれぞれの作者びいきの温かい感想文の板だった。この手の書き込み板、僕は読み専だ。ほぼ参加しない。出来るほど知識がない。おバカがバレるので(笑)。


 マンガや物語で伏線の未回収を指摘するスレッドだった。ファンゆえのお言葉が多かった。おおよその意見は僕も同じで、小刻みな連載などの作品は未回収は仕方ないかなあ、と思う。連載というのは再構成できない行程作業である。物によっては単行本化のときにやっていらっしゃる作家さんも多い。星新一さんは重版のたびに推敲し直したというエッセイを昔読んだ。

 話を戻すと筋が面白ければそっちに人間の興味は行くし、筋を追っているうちにそっちは浅いまま深掘りや回収しないで本筋を楽しく読んでいきたい、と一読者の立場の僕は思う。そこにこだわり過ぎて、盛り上がりが欠けたら元も子もない。


 一話完結がほとんどの僕は、理由はひとつ、単純明快で、おバカで忘れっぽいので、あまりプロット中に置物を置かないようにしている(置物とは伏線のこと)。置いても一話完結なので、すぐにそのエピソードの最中に回収してしまうことも多い。痛いほど己の愚かさをわかっているのだ。出し忘れ防止策。


 でもプロの作家や漫画家の方々は、僕のような素人とは違って、日々たくさんの連載を抱えているし、ある程度の回収漏れは仕方ない。読者側が、これって伏線事項じゃないかな、と思っても作り手はそんな意図としていない場合もあるから本人が言わない限り分からないものもある。それを取り忘れにカウントなさるのも酷だ。

 それに職業作家さんはスタッフを抱えている人も多いし、多くの行程を踏んで制作過程で何人かの目を通るだろうから、どこかの段階で誰かの目について取り忘れ防止になっているはずなので、商業誌に連載のものはそれほど取り忘れはないんじゃないかな、というのが僕の感想である。


 人様の心配よりの自分の心配である。忙しさにかまけていくつかの媒体を放っておいたツケが回ってきそうだ。カクヨムさんもその一つ。まずはウォーミングアップで、一作品、神明社シリーズをアップして、ショートショートのネタがいくつか浮かんだのでそれを文字に起こし始めたい。そして留守中に読んでくださった皆さんにご返礼として、作品を読みに行きたい。もちろん義務ではなく、感謝を込めて拝読しに行くのである。


 そして来週はお彼岸に行けなかったので、故郷に旅に出る。佐野と栃木、小山に行く予定。両毛地区横断。祖父母のお墓参りに行って、ついでに好物の味噌まんじゅうを買って、できれば古印最中も買って、湘南に帰ってきたいものである。ラーメンは特に今回は考えていないのだが、桜あんぱんと芋串フライは気になる。ではまた。

 

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