火炎に飲まれて

お釜のね フタの下でね 煮込まれる

亡者がいるの

ぐつぐつぐつと 泡立ってるの


たおれたいけど

たおれると もっと苦しいから

ふんばってる


どうしてそんなに がんばるの?

きいてみた

みんながたっているからさ

おれだけしぬのはいやだから

弱虫って いわれたくない


でもでもさ それってくるしみ

ひきのばしてるだけ でしょ?

ちょっとたえれば らくになるのに

それこそ 弱虫なんじゃないの?

きいてみる

それじゃ なんのために

うまれてきたのか

わかんないだろ


なんのために うまれたの?

そのこたえを さがしてる


それに くるしみ だけじゃないし

しあわせだって あるんだよ


どこにあるのと ききました

煮えたつお釜と くるしむニンゲン

それしかみえない


さがしてみろ セイレイ



さがした さがした

逃げ場のない 苦しみの

中できらめく 幸福を


あ!


いま 笑った!


あ!


あそこで ささえあってる!


どうして?


セイレイよ パチパチはじける

タキギの精よ

ニンゲンは 永劫苦しむ

宿命だ

でもな 苦しみ わかちあえば

なんだか 可笑おかしくなってくる

ああおまえもか おまえもか

つれえな

そういって わらいあえる

それが ニンゲンだ


どうだ すげえだろ

ニンゲンは どんなにあつい

火炎の中でも

ささえあえば

やっていけるんだ

すげえだろ?





火炎の中で

タキギのせいれい

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