夢の国
各地を転々と回り、問題を解決して早幾年。
そこそこ功績も認められて領主『ガンバッテモ・マダイガ・ツレナイ三世』に感謝状を頂いた。
結構頑張ったしそろそろ次の領地に行こうかな。まだいはつれたぜ。
問題を解決するお膳立てはシャルが行ってくれたんだけど、途中からしない方針に切り替えた。シャルがいないと何も出来なくなっちゃいそうだから。やっぱこいつ川流しの刑に処するか。
振り返ってみると、都市としての盛り上がりはヒゲソリ騎兵隊本部があった都市が一番あったかな。ソリノコ市だっけ。ここは、んー、首都でもあそこまで賑わっていなかった。ヒゲソリ領地が凄いんだね。国の端っこだけど、それでも隣国とも交易をしていたりして、辺境伯クラスの力があるんだろうな。
サキを連れ戻すために自由都市サキへと向かう。
この三年でどこまで自由都市は発展したんだろうね。
「え、入都するための列が並んでるよ」
「サキちゃ……サキ様曰く、『制限しないと人であふれかえっちゃうの』とのことです」
「え、シャルとサキで
「ええ、秘書とメイドなので」
「悪魔と神族なのに?」
「どちらも最中様の下僕であることには変わりませんから。仲良くやってますよ」
しらんかったー。主人の影に隠れてそんなことしてたなんて。ぽちは知ってたのかな? とぽちをじっと見つめると、そっと目線を外された。グルか。私だけ蚊帳の外か。私だけ蚊に食われていれば良いんだな、うう……。
優先入都権がある私たちは列を横目にサクッと入都。
中は完全に遊園地のアトラクションな世界が広がっていた。
師匠、サキは都市レベルの遊園地を作ったみたいです。
事務所という名のお城を訪問した私たちはサキと再会。
「ご主人様、シャルちゃん、お帰りなさいませ」
「なんか凄いことになってるね」
「ふふ、サキュバスともあればこれくらいのことは。楽しい心を食らうのも快楽と同じような効果をもたらしますしね」
ふふっと笑うサキ。なんか数年前より色っぽくなってるな。おっぱいもでかくなってる。ヒップの位置も高い。良い生活しやがって!!
「サキちゃん、出発の準備は済んでますか。あ、大豆様に小豆様、お初にお目にかかります、作者教の天使サクシャルと申します。ちょ、いきなりペロペロはやめてください」
大豆に小豆も本当に生長してぽちに負けないくらい大きくなった。馬並の大きさのオオカミさん。
「わたくし、小豆様ならもう怖くありません。大豆様はまだびっくりしますけれども。小豆様の背に乗って移動することも可能でございますわ」
ほー、でもカート引かないと荷物を輸送できないな。
「サキ様によると、この夢の国なら何でも手に入るそうです。マジックチェストなど、無限収納の品々も」
「ここは賭け事も出来るのですが、負けた貴族や冒険者達が借金のカタに置いていくのですよ。一年放置で権利がこちらに移るので、じゃんじゃか高級な品が入ってきますわ」
「じゃあ、私とサキは乗馬出来るからマジックチェストなどを良い感じにポチたちにくくりつければ身軽に行動できるね。乗馬出来ない秘書は簀巻きにして連れ回すか」
天使、乗馬とか出来ないんだよね。運動能力がゼロ。
「殺生なー簀巻きにされたら死んじゃいますよー」
「うそうそ、ぽちが十分大きいから二人乗りの鞍を作って私の後ろに乗りなよ」
「そんなことさせません。わたくしサキがその場所を選ばせていただきます」
「なんでぇ?」
「いや! 私は乗馬出来ないから! そこしかないから!」
「大豆様に一人用馬車引っ張ってもらえばよろしいでしょう!?」
「やーだーやーだーあるじさまのうしろがいいー!」
「バウ!!」
突然私の横でゴロゴロしていたぽちが一吠え。たちまちサキは気絶してしまった。
「わんわん」
「なるほどね、これじゃ後ろは無理だ。たまにモンスター追い払うためにぽちは吠えるもんね」
「というかあの吠えにビビらないんですか主様。私も失神しそうになりましたけれども。おちっこちびりましたよ」
「いやあ? ぜんぜんまったく?」
どこが怖いんだろう??
乗る場所も確定したので荷物をそろえる。
私の装備は魔法の伸縮式薙刀になった。短くすれば短剣や長剣、長くすればポールウェポンである。刃は収納できる。二つ用意していた武器を一つに出来るし、刃物を扱えるようになるし、今まで棒を扱ってきた経験も生きるね。
借金のカタになっている防具も豊富にあるので、ミニスカ衣装を変えるチャンス! と思ったんだけど、サキが上質なミニスカ衣装を作成しておりニコニコしながらそれを受け取るしかなかった。ミニスカ衣装、こいつからは逃げ切れないのか。
「ちなみに『地上の楽園サキ』は国や領地から独立した都市になってます」
「え、領土奪い取ったの?」
「いえ、国王からのご命令で。一つの爵位領主が管理するには危険すぎる額の資金資産がありますからね。都市の長はご主人様なので、どうぞよろしくお願いします」
「え、まじ?」
「まじ。アンコ特級伯爵の爵位ももらってます」
ぎょえー爵位まで。最中・アンコ特級伯爵になってもうた。
まあ、今から伯爵市長旅に出ちゃうけどね。サキが集めた優秀な人材がここを支えるってんだし運営に問題はないよね。
国王に会いに行った方が良いな、そっち向かおう。
それじゃあ行ってきまーす。
たまには帰ってこようっと。
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