亜人を登場させる時は毎回服装の設定に困ってます。
困ったら金属。これが人類発展のポイントです。テストに出ますよ、メモしておくように。
もういっそのこと複合鎧にしましょう。討伐隊が使っているシリーズを買おう。「こより‐五四」だっけか。基本的に分厚い布で覆い、急所を薄い金属で強度を上げる方式。着用者の魔力と連動する魔法でコーティングするから意外と防御力が高いってやつ。あれだ。
お金がないのですぐには買えないけど、貯めて買い換えよう!!
さて目標を設定したので何か儲け話が無いか聞いて回るか。やっぱり商人ギルドで聞くのが一番だよね。
「お前さんかわいいんだから夜の商売でもやったらどうだ? キャバクラとか」
ギルドのお兄ちゃんに開口一番そんなことを言われてしまう。
「いやいや、やりませんよ! こんなかわいい子がキャバクラに来たら客全部取っちゃいますよ!」
強気である。
「そうかいそうかい。それじゃあ巨熊殺しのモナカと言われているんだから行商でもやったらどうだ?」
「なんで強い人が行商やるんですか? 商才ある人がやるものでは?」
「あー、どちらかというと輸送だな。ここは男爵領で僻地に近い。インフラが整っていない開拓村もたくさんある。そういう地域に物資を運んで、帰りに開拓村の特産物を積んで運ぶんだ。リスクはあるが金になるぜ」
ほーん、そういうのがあるのか。分厚い武道着くらいなら買えるし、ちょっと投資してそういうのやってみようかな。
「どれくらい儲かるんですか?」
「三回もやればお望みの防具が手に入ると思うぜ」
「わかった、やります」
やると言ってちょっと誤算だったのが、運ぶための道具は自分でそろえないといけないらしい。
荷積みができて私も運べる道具と言ったら馬しか無いね。ポニーを借りよう。元気かなー元気かなーポニーちゃんハァハァ。
「え!? 売られた!?!?」
馬屋にいって驚愕の事実を知る。
どうやら男爵領に住んでる弱小貴族野郎がかわいい我が子のために訓練用として購入していったらしい。男爵の下に位置する貴族って騎士くらいだよな……くそっただの小金持ちだ。
許せねぇよなぁ!!
といっても馬を買うお金は無い。ポニーレベルでもさすがに。しかも買われた後だから買い戻すならもっとお金が必要だろう。ちょっと無理だ……。
くう、ポニーちゃん……。グスングスン。
ここで止まっては駄目だ。ポニーちゃんのためにも前を見なくては。
そういうわけで自転車や原付バイクにくっつけるようなサイズのリアカーを使って、自分を動力にして運ぶことにした。リアカーは安いので買い取った。三〇ユロルなり。
「じゃあこれに積めるだけ積んで運んでいきます。引っ張れるかどうかは置いておいて、一五〇キログラムは積めるかな」
「じゃあ五〇キロの物資をチョコザイナ
「お、特産品は貰えるんですか?」
「ああ、配達者の資産になる。重要なのは開拓村に物資を届けることだからな」
よし、リアカーにスコップやノコギリ、小麦やトウモロコシ(っぽいもの)の種などの開拓物資を積み込んで出発! 勿論空いている場所に到達までの食料を積み込んであるよ。あまり服装は無いけど……。
そもそもこの世界の服装ってかならず調整するから高くて……。「いわゆる」普通の服装(女子高生制服を想定)だとスカートからどどーんと尻尾が出ちゃってお尻見えちゃうんだよね。制服の後ろ側に尻尾が出る穴を開けないと。
この獣人亜人が多い異世界、もう既に穴が開いていてちょっと調整すればいい、「既製品及びそれに準ずる服装」はもちろんあるんだけど、私みたいなでかでか尻尾ポヨヨンポヨンを持ってる希少種族だとそんなもの無くて、本当の本当に特別に作ってもらうしか無いのだ。
あと狐族の平均と著しくズレてるんですよ、私。
種族によって一般的な身長とかはある程度決まる。トラ族はデカいしリス族は小さい。でもある程度のバリューに収まってる。凄く小さなトラ族とかトラ並みにデカいリスなんかはほぼほぼ生まれないのだ。だから種族のうち八割程度の人物が装着できる洋服とかは存在するわけよ。あとは調整とかサイズ変更とかで何とかなる。これで世界は回ってる。くるくるくる。
でも私は狐族じゃぁなくて白狐族(仮)なんだよね。狐族の服が合わないの。オンリーワンな種族なの。だから既製品とかなくて全部特注、オーダーメイドするしかないの。
だから、冬服以外は基本的に自分で裁縫して作ったという経緯がある。きつね、どうも手先が器用みたいで作るのに苦労はしなかったよ。何度も針を指に刺しちゃったけどね。イタタタ。
さすがに冬は作ってもらった。耐寒装備はちょっとキツかった。
この星のせいか、今居る場所が悪いのか、四季も激しいしね。あ、そう、四季はあったのでこの星の地軸は傾いてる。
まあそんなわけで洋服関連はあまり数が有るわけでは無いのだ。
お洋服のことを考えながらオール金属製のリアカーを引く。といっても車輪には魔石を利用したゴムっぽいものが貼り付けられているので引くのに不便は無い。乗せてるものもそんなに重くないしね。
ぐんぐんと進んで三日くらい。開拓村までの道が森の中に入ってきた。ここら辺からは警戒しないとモンスターに襲われちゃいそうだ。
耳を澄ませながら進んでいくと、犬系のうなり声と、ブタのオークかな、豚っぽいうなり声が聞こえてきた。
戦闘をしているのか。
一応ブタのオークが負けるように補助しておこう。犬の方は普通の犬っぽいけど、ブタのオークはモンスターだ。動物とモンスターの違いは、魔石を動力源としているかどうかが違いの分かれ目だ。モンスターは魔石で生きている。
ブタのオークは一メートル三〇センチくらいで恰幅が良く、ある程度の知能があり、武装をしている。拠点を持っていることが多い、と、本に書いてあった。
しかし、本の通り鳴き声が本当にブタだね。ぶひぃ。
モンスターとしては珍しく、食用肉になるらしい。
リアカーを体から外し、声のする方向へと歩む。犬系が一匹ブタのオークが三匹くらいかな?
借りてきた棒を握りしめて視認できる範囲まで歩みを進める。
そこには真っ黒なオオカミとやはりブタのオークが威嚇し合いをしていた。
オオカミはめちゃくちゃ巨大で、普通に戦えばブタのオークなんて一噛みで殺せそうなんだけど、威嚇するだけで場所を動かない。
なんでだ?
ん、オオカミの側から小さくて甲高い声も聞こえる。子持ちか。
複数相手をすると相手をしていないやつが子供をさらってしまう可能性があるな。だから攻撃に出られないのか。
まあブタのオークはモンスターだし、私が加勢して倒しちゃいましょう。
巨大熊を殺した私ならブタのオークに負けるなんてことも無く、あっさりと三匹を撃破。
オオカミさんに近づいて挨拶をする。
「やあやあ、大変だったね。今日はブタのオークで晩餐会といこうじゃないか」
「バウ!」
あら、従順。まあ私が倒したもんね。
「わんわん!」
「くぅーん」
今まで後ろに隠れていた二匹の子供オオカミが私に近づいて這い上ってくる。……懐かれた?
「こらこら、お父さんが困ってるでしょ。びゃー私の顔を舐めるんじゃ無い。ちょっとお父さん助けて」
「バウ!」
「お前まですり寄るなー!!」
なんかすっごい懐かれた。とりあえずブタのオークを処理してこの子達の食料とし、開拓地まで行きますか。
……この一家、どこまで付いてくるんだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます