灰かぶりと吸血鬼 ◆

 本家も分家も黒髪な中、余所から移住してきた祖母譲りのこの髪は浮いている。

『灰かぶり』の二つ名は、きっと嫌がらせのつもりだったのかもしれない。


「お望みなら灰にしてあげる」


 燃え盛る炎の向こうにいる追っ手へと告げれば、耳障りな足音は聴こえなくなった。

「行きましょうスピカ」

「どこへでも」


◆◆◆


『うっかり婚姻しちゃった吸血鬼は、何があろうと物語を求める』より、アシュリー・シラーとスピカ・シェフィールド。

 彼女と彼女に遭遇しなければ、主人公は旅を続けられた。

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