ここまで悩まないのに ◆

 ──どうしましょう。


 間もなくおじい様がこの工場に来る。

 初めて私の朗読を聞いてもらえるとなれば、作品は絶対にアレしかない。

 ただ、結末が悲しいのよね。たまに読むけれどあまり好きになれない。

 でもおじい様がおばあ様に恋をしたきっかけになった作品ですし……。


 もう! もっと甘いお話だったなら!


◆◆◆


『亡き妻へ捧げる復讐』より、アースラ・モンテクリスト。

 工場で朗読するちょっと前であり、チャックと出会う寸前の一幕。踞る彼女に話し掛けたことで、彼の運命は狂った(のかもしれない)。


 現在十三歳の彼女。その容姿は母や祖母に瓜二つであり、共に暮らすおじい様ことルース・ヴィリアーズからはかなり溺愛されている、ちょっぴり食いしん坊な乙女。

 もしも彼女が男孫で、容姿が母方の祖父に似ていたなら……ルースの態度は冷たく、何かと当たりが強くなっていた、かもしれない。

 たとえば、襟首掴まれ、至近距離で鬼の形相を目にする羽目になったりとか。



 アースラの名前は、リチャード三世の妹から(ウルスラとも書かれているのあるけれど、ツイステの推し寮オクタヴィネルだからこっちに。ちなみに未プレイ、友達がやってる)。

 祖母のメアリーは、吸血鬼の嫁になるからと、血塗ブラッディれメアリーことメアリー・チューダーより。母のロザリーは、メアリーと字面似てたのと薔薇にハマってたのと流れでこれに。

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