腕の温もりはベッドに勝る ◆
「メアリー? 寝ているのかい?」
目が疲れて瞼を閉じていただけだが、彼女の夫はそう判断したらしい。
何となく黙っていると、「きちんと横になった方がいい」と身体を軽々抱き抱えられ、寝室へと運ばれる。
密着した彼の胸板は程好く温かく、鼓動が子守唄となって、辿り着いた頃には寝息を立てていた。
◆◆◆
『亡き主へ捧げた感情』より、メアリーとルース・ヴィリアーズ。
それなりに親密になってきた、とある日の一幕。
亡き主ではメアリー・スネイプと名乗っていますが、あれはあくまで芸名であり、本名はメアリー・モンテクリストになります。
この世界線では、他に息子がいても長子であれば、女性でも普通に爵位を継ぐことができますが(その場合、頭に女とか付かない)、一人娘であるメアリーが爵位を継ぐことに後ろ向きだったのと、もっと彼女の芝居を見たかったこともあり、ルースが次のモンテクリスト子爵になることに。
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