銀板宇宙のアルストロメリア

流星未来

第1話 僕だけの花

壁の銀板に手を触れると変容して中に備え付けられたドールと目が合う


「僕のアルストロメリア、君だけは手放したりしないよ」

「了解です。マスター」


真っ暗な部屋の外からは不気味な低いサイレンが鳴り続いていた。

無精ひげを伸ばし、ぼさぼさの髪をした男は天井を見上げながら声をかける


「今から言う地域の解析をマザー、T8421CO831サード」

「接続不能領域75%、安全性は確保できません。マスター」

「なら、赤珊瑚亭の地下五階へコールすることはできるか?」

「はい」


ザザッという雑音の後に野太い男の声が出る。


「僕は今からそちらに向かって間に合うかな?」

「それは俺の知ったことじゃねぇよ」

「気持ちのいい言葉だね。それじゃあ今からそちらに向かうから」

「鍵なんてかかってねえよ」

「接続が遮断されました。マスター」

「マザー休眠して。

僕のアルストロメリア、いい返事がもらえたよ。

この遮断壁の解除をして僕と一緒にお出かけをしよう」

「了解しました。マスター」

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