第2話 陽キャは私にけしかける

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ありとあらゆるコンテンツがこの世に存在する中においても、

多くの人を魅了してやまないコンテンツがある。


スポーツ・美容・ゲームなどというカタログの中で爆発的ヒットを生むものがあり、

さらに細分化された中でも爆発的に評価を得るコンテンツがある。

近年のインターネットの拡散力はすさまじく、コンテンツの境界を破壊して、

多くの界隈を騒がせるほどのミームが数々誕生しているのだった。

これを私達は"バズる"と呼んでいた。


                 2025年 わたしの回顧禄 

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「う、うん。この動画みてすごいなって・・・」


小声で私は返事をする。


「へぇー!リンちゃんこういう系の動画見るんだ!

ちょっと意外かも!」


なにせ私は誰とも話さず、ただスマートフォンを見ているか

ちょっとエッチめな小説をカバーつけて読んでいるか。


「ほかにどんな人見てるの??

リンちゃんの好みとかもっと知りたいな!」


屈託のない笑顔をこちらに振りまいてくる。


「え、えーと・・・アイドル配信者のルウちゃんとか、あと」


「お!ルウちゃん知ってる!!

最近でてきた新人さんだよね!へぇ!私と好み似てるかも!!」


うんうんと肯定してくる彼女は私には眩しすぎる。


「涼香、朝からテンション高すぎだよ~」


周りにいた彼女の友人っぽい人が苦笑いをしている。


「じゃあさじゃあさ!ルウちゃんの妹のルカちゃん知ってる??

あの子もすっごいかわいいの!化粧品のモデル役に最近なったんだって!」


やや早口でしゃべる涼香に私はついていくので精一杯だった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


気がついたら、朝のホームルームの5分前になっていた。


私の前の座席の人の椅子を借りて、まだ私と話していた。


「私達、気が合うかも!

もしよかったら、今日か明日うちにこない??」


唐突なお誘いに私はびっくりした。


(日陰者の私なんかを・・・!?それともただの社交辞令??

今まで何度失敗したのだろう。

陽キャの人は優しいからぼっちも誘うけど、なにも面白い話もできず

気が付けばリストラされて、周りも気まずい雰囲気になってしまう。)


「ほんとうに遊んでもらっていいの、、、?」


今までのトラウマがよぎって少しでも明るくふるまうはずが、

やや、顔を訝しめて質問してしまった。


「ん??遊ぼうよ!家にいっぱいお菓子があってもう困っちゃう!

それ食べながらでも一緒にしゃべろうよ!

あ、教室で言えないようなことも話しちゃう??」


最後は耳もとで囁いてきて、わりとドキっとしたのだった、


「じゃ、じゃあ明日良かったら遊んでくれませんか・・・琴峯さん?」


「わかった!じゃあ明日ね!

あ、そうそう!私のことは"涼香"って呼んでくれればいいよ!」


なんて呼べばいいのか頭の中で混濁していたことに気づいたのか、


彼女は最後に付け足してくれた。


(彼女なら私の悩みにヒントを教えてくれるかも・・・)


コミュニケーションは苦手だけど、目立ちたい。


一回でいいから、インターネットで有名になりたいという茫然とした希望。


この『学校に属している自分』でありながら『どこか遠くで学校の皆が知らないような自分』に憧れているのであった。


その日の授業はペンの走りが少しばかり早かったことは覚えている。

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