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周平がいる和室の隣にスタッフ達は向かう。
今度は結花の義理両親がいる洋室だ。
ショートのグレイヘアにまんまるとした顔立ちで眼鏡をかけている女性――
来客があるからなのか、緑のブラウスに青のジーンズを着ている。
隣にいるのは、白髪の丸い金縁の眼鏡で少し角張った顔の男性――
こちらはライトグレーのスーツに薄い水色のシャツを着ている。
先に口を開いたのは登美子だった。
「私達の友人である
「まぁ、でもそれはほんの最初だけで、蓋を開けてみれば、あの態度です。生活態度はだらしないわ、私達にもため口、専業主婦の約束を理由に仕事をしない、かといって家のことも全然やってないんです」
俊美は大げさなため息をついて「もう無理です」と呟いた。
「彼女の離婚原因となった元ご主人に追い出された話、瀬ノ上さんと私達に嘘ついてましたね。自分で原因作って勝手に被害者になってるだけでした。私達は、彼女のお兄さんと仕事で関わりがあって、お話することが多いんです。息子との再婚の時に、本当のことを話してくれました」
『うちの馬鹿妹は、義弟と結婚の際に専業主婦で働かせないことを約束したんです。他にも実家びいきする、義理家族とは関わらせないとか意味わからんことをほざいてました。離婚の原因も、元ご主人が倒れたにも関わらず、病院に駆けつけず、相談と称して、マッチングアプリで出会った男性と遊んでたんですよ。その男性も、あいつが既婚者であることを知らずに付き合ってたみたいで、慰謝料請求されました』
『離婚回避のために生活改善と働くことを提案してみましたが、勤務先でトラブル起こしてクビ。解雇前からちょくちょくパパ活していたんです。その中の1人が瀬ノ上和子さんのご主人の
『家族でまたやり直そうかと言う時に、訳分からんことやって、自滅しただけです。追い出されてから、瀬ノ上さんとこにお世話になったそうで、そこで嘘ついてたんですよ』
『中学時代から異性トラブル起こして、親が何回も頭下げてます。一時期婚約者がいる教師と関係持ってました』
『異性トラブル起こした同級生の1人が、うちの姪の担任で、昔のことを知っているのか、色々教えては嫌がらせを受けていました。追い打ちをかけるかのように、部活の部長にもいじめられていて。部長のお父様が、かつてあいつがいじめてた同級生だったんです』
『あいつは自分が世界一可愛いと思っていて、ちやほやされるのが当たり前。何でもやってくれるのが当たり前で育ちました。結婚なんか無理だと思ってましたし、夫となる義弟や娘である姪が可哀想でした。家でコーヒー1つも自分で入れずに、家族や実家のお手伝いさん呼んで、うちの母と豪遊してました。一方義弟は中学生レベルのお小遣いで、毎月馬鹿妹のカードの支払いをしていました。名義は義弟です』
『あいつは顔だけしか取り柄ないやつで、中身は空っぽの人です。その取り柄も若いうちはいいですが、もうあの年となれば、通用しません。中身を磨かなかったツケが回ってるんです。だからどうかあいつを一切甘やかさず、容赦なくやってください』
「正直そこまで世間知らずな人初めて見ました。義理の家族にため口っていますかね? 例えば本当に仲良くやってるのならともかく、私達は全くそうじゃないし、一方的に敵意むき出しで見下した言動するので、とてもじゃないけど、気分悪いです。瀬ノ上さんとこにいたときも、陰では仕事さぼったり、ちょくちょく反抗していたそうです」
「――はっきり言ってハズレ嫁ですね。厳しくしても、被害者になるので、正直私達は付き合いきれません」
スタッフ達も聞いていくうちに同情したくなる顔をしていた。
「彼女、実家が
スタッフの1人が「家の名前で威張ってるってことですか」と尋ねる。
「まぁ、そういうことになります。諸悪の根源である、彼女のお母さんも昔から性格悪いことで有名でしたし、その血を受け継いでるのでしょう」
登美子はバサッと切り捨てるような口調で答えた。
「見た目だけはいいとはいえ、もうそういうのが通用しない年であることや、自分が今までやった行いが返ってきてることに未だに分かってないみたいですね。そうじゃないと被害者口調で話しませんから」
因果応報ですよと俊美は含み笑いを浮かべて、話が終了した。
終始義理家族から、結花のことを”彼女”呼ばわりしている時点で、関係がよくないのだとスタッフ達は察した。
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