フェニックス・エース

ピータ

第1話 心の中

2034年、この年のドラフト会議では、ある一人の高校生が中継を見つめていた。

彼の名は不動鳥勝(ふどうとりかつ)、

青森県は山手高校のエースとして

母校を始めて甲子園導き、甲子園でも快投を連発、見事に同校初の甲子園制覇を成し遂げた。

これにより東北地方に紅の錦旗が到来することになった。人々はこれを「津軽旋風」と呼んだ。

そして運命のドラフト会議、彼は「将来的にメジャーに行って憧れの選手を超えたい。なので、支配下登録でなければ野球をやめる」と公言していた。何故なら支配下登録でないと、1軍では投げれないからだ。


彼はテレビを見つめていた。しかし、全球団の指名を終えても不動の名は呼ばれることがなかった。

続いて行われた育成契約選手指名。

刻々と育成指名選手が呼ばれていく。


「第5次育成契約希望選手

川崎海堂ホエールズ 不動鳥勝投手

    山手高校」


呼ばれたのは最後だった。ドラフト会議後

彼は野球をやめる準備をしていた。

支配下登録ではない………なら野球をやめる

そう心に誓っていたからだ。


数日後、彼は急に校長室に呼び出された。

「何のことだ?俺何かしたっけ?」首を傾げながらそこにいくと…………………「えっ」

そこにいたのは校長とホエールズの監督

橋本昌俊(はしもとまさとし)だったのだ。

彼は驚きながらも椅子に座った。

「君が不動君かね?噂には聞いているよ」

不動は落ち着かなかった。何故なら

憧れの山本監督が目の前にいるのだから。

実は、彼が野球を始めたきっかけは、

5歳の頃テレビ中継で橋本選手のことを見て

橋本選手が投げている姿を見てその姿に憧れたからなのだ。


「さて、君をここへ呼んだのは他でもない

 是非うちのチームに入ってほしいんだ。

君が支配下登録されなくて失意に沈んでいるのはよく分かる。ただ、君にとって最初から一軍で投げることが全てなのか?目の前をよく見てみろ。俺だって最初は育成指名だったのはよく知っているよな?俺だって

最初は投げても投げても打たれてばかりで

ファンから「人数合わせ要員」と言われたことだってある。だが、何度も何度も結果を出していくうちにここまでのエースになれたんだ。最終的には君の意見を尊重するが、、、どうするんだ?」


「……………………やらせてください」

不動は即答した。

「よし、これからはチームの一員だ。

入団会見楽しみにしているよ。」


彼は嬉しかった。「絶対にあの人に追いつきたい」その事が彼を動かす原動力だった。


こうして、一人のプロ野球人生がスタートした。


ドラフト会議

→毎年10月に行われる新人選手の争奪戦 

プロに入る人の多くが通る道


支配下登録と育成契約

→支配下登録は、球団の選手として契約された状態のことを指す、1軍戦に参加することができる。


→育成契約は、球団の選手として契約されているが、正式には認められていない。

2軍戦には参加することができるが、

1軍戦には参加できない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る