死骸王のネクロ:《死霊使い》は迷宮攻略を進める

RichardRoe@書籍化&企画進行中

第一章:魔物を支配し、魔物を合成し、そして強くなる

第1話 ダンジョンもので従魔にモンスターを倒させて自分も勝手に強くなるやつ

 ある日、世界の各地に「位相の異なる黒い穴」が出現し、そこから大量の怪物が現れた。

 人々はやがてそれを【ダンジョン】と呼び始めた。


 そしてダンジョンの登場とほぼ同時に、人々に様々な不思議な能力【スキル】が宿りはじめた。


 次から次へと地上を侵略し、人々を襲う魔物の群れ。

 侵略された土地を奪還するため、日々魔物を狩り続ける探索者たち。


 これは、そんな現代を生きる冒険者の物語である――。






 ◇◇◇






『受付番号810番の方。素材の査定が終わったので、買取窓口までお越しください』


 機械音声に番号を呼ばれる。俺は電子端末を懐にしまって立ち上がった。

 探索者ギルドの素材買取価格は少々安いのだが、どんなに廉価な素材でも受け付けてくれるという利点がある。特に俺の場合はそれが大事だった。


 俺は、小柄な魔物を大量に狩ることで生計を立てていた。

 討伐報酬がほとんどなく、素材としても安い、そんな"狩るのが手間で割りに合わない小型の魔物"というのは結構な種類存在する。

 そんな『割に合わない魔物』を専門に狙っている変わり者の探索者――それが世間から見た俺への評価である。


『受付番号810番、カンザキ・ネクロ様ですね。大量の素材だったため査定価格が割引されております。こちらが買取金額になりますのでご確認ください』


 受付嬢がにこりともせずに、淡々と告げた。


 画面に表示された金額マナは、俺の一か月分の生活費を優に賄えるぐらいの金額マナだった。俺のような《F級探索者》には破格の報酬と言ってもいいだろう。

 一応言っておくとこの稼ぎは、たった一日で達成したわけではない。何日もかけてたくさん魔物を狩った成果である。

 それに今回は大量の素材売却に当たるため、買取価格も結構割引されてしまった。この稼ぎだって、武器防具の手入れ費用や消耗品の補充に大部分が飛ぶ。それら諸々の出費を考慮した上で一か月分の生活費が残るという計算ではあるのだが――。


 やはり大型魔物を狩って一山当てている他の探索者と比べると、少々見劣りする。


(まあでもソロ探索者にしては上手くやってるほうだよな、俺。これぐらいが目立たなくて丁度いい。もし下手に稼いで、他の探索者とかに"凄く割りのいいを隠しているに違いない"って目を付けられたら面倒だしな)


 そのまま金額マナが電子端末にチャージされる。報酬の一部は、電子決済が使えない時のために現物の魔力結晶体マナマテリアルで受け取る。巾着袋に詰められた魔力結晶体マナマテリアルはずっしりと重かった。


 パーティやクランに所属しない《F級探索者》、カンザキ・ネクロ。

 そんな木っ端の探索者がどうしてこれだけの稼ぎを叩き出しているのか。


 その理由は――俺が《死霊使いネクロマンサー》だからである。






 ◇◇◇






 ■カンザキ・ネクロ

【探索者ランク】

 F級探索者

【ジョブクラス】

《一般人Lv5》《死霊使いLv1》

【通常スキル】

「棍棒術3」「強靭な胃袋1」






 ◇◇◇






 自力で色々調べた結果、どうやら俺は魔物を使役できるらしい。

 恐らく、新しいジョブクラス《死霊使いネクロマンサー》を取得したおかげであろう。


 骨を集める。組み立てる。魂を分け与える。

 たったそれだけで、骸骨が自由に動き出すのだ。


 誰もいない街の外。ひとたび【解放区】の外に出れば、常に魔物に襲われる危険が付きまとう。

 周囲に人気ひとけがないことを確認してから、俺は骸骨に向かって命令を与えた。


「よし、骸骨三号、お前には迷宮遺骸物アーティファクトを探す仕事を与えよう。とにかく魔力を帯びている怪しいものがあったら拾ってくればいい」


 まだ検証は進んでいないが、今のところ分かっているのは、骸骨を組み立てて自由に操る能力ということぐらいである。骨に罅割れが入っていても大丈夫で、骸骨に魂を分ける際に黒い煙のようなものが出てきて罅割れ部分を治してくれた。原理は不明だが、恐らく多少の傷は自力で治せてしまうのだろう。

 それ以外にも色々なことができる気がするのだが、今は、俺のお手伝いさんの骸骨を操るだけの力と化している。


 骸骨一号は、骨を集める仕事。

 骸骨二号は、バッタの魔物とかネズミの魔物とかコウモリの魔物などの弱っちい魔物を始末する仕事。

 骸骨三号は、迷宮遺骸物アーティファクトを探す仕事。


 以上が骸骨に与えた任務である。

 この三匹には、俺が一緒にいるときは一緒に魔物狩りを手伝ってもらうが、俺が不在の間には淡々と与えた仕事をこなしてもらう予定だ。


(まあ、この調子でたくさん骸骨を増やせたら、きっと魔物を狩るのも楽になるんだろうな)


 今のところ増やせる骸骨は、一日一匹が限界である。

 とはいえ、自由に使役できる魔物がいるのはとても便利である。

 かさばる荷物を持ってもらえたり、魔物との戦闘で囮役になってもらえたり、魔物を解体する手伝いをしてもらったり、夜寝る時の周囲の哨戒まで任せたりできるのだ。


「さーて、今日も魔物をたくさん狩って、骸骨を組み立てるための骨集めといきますかね」


 金属バットを手に取りながら、俺は肩をこきこきと鳴らして軽く準備運動を始めた。今日も大量の魔物を狩ることが目的である。大物を狩らなくてもいい。とにかく小物をたくさん狩るのが狙いであった。












 ――――――――――

 リメイク版スタートです。どうぞよろしくお願いいたします。


 Q.この作品はどんな作品ですか? どんな面白さがありますか?

 A.魔物を支配しまくって、未知のダンジョンを踏破しまくったり、レア度の高いアーティファクトを集めたり、とんでもない成長をします。あと随所に作者の“好み”をたくさん詰め込んでます。


 現代ファンタジーのジャンルでは、現在だとモンスターパニックとダンジョンものが圧倒的にウケていると思います。自分だけ使えるスキルとか、自分だけ入れるダンジョンとか、それらを上手く活用して登場人物が「どんどん成長」していく面白さ。

 そう言った要素を、本作品では徹底的に拾い上げていきます。めちゃくちゃ面白くする予定です。


 乞うご期待!


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 これからもよろしくお願いいたします。

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