色をいただく

第21話 私のための書類

　西城さんのことがあってから、あまり気分が良くない。胃の痛みがずっとある。便秘も続いて下剤を飲むと今度はお腹ぎ痛くなる。五十嵐さんにも会いたくない。部屋に引きこもることが多くなってきた。八木さんは、穏やかな日が続いているが、いつスイッチが入るかわからない。でも、日中はほとんど部屋には来ないから助かる。

　朝日が見える部屋。

　いつも日は登って沈んでいく。

　時間はもとには戻らない。

　部屋で過ごしていると、戸田さんがやってきた。

「リハビリの同意書になります。こちらの書類に同意いただけましたら、サインをお願い致します。」

　戸田さんから渡された書類を見てみる。

【ご本人】

　ここの生活にはまだ慣れていません。戸惑いがあります。でも食事が形のある物が出てくるようになってよかったです。でも、これからのことを考えてしまいます。

【ご家族】

　ご飯を食べて元気に生活して欲しいです。車いす生活のため家でみるのは難しいです。

【リハビリ】

　徐々に、歩行距離は伸びており、平行棒内2往復程度。また、歩行器での歩行も練習中です。認知機能良好ですが、考え込みやすく胃痛が出やすいようです。嚥下機能良好で食形態は一口大にし経口摂取のみで経過を追っています。

【看護】

　以前いた病院で腹痛・胃部不快の訴えあり。入所時より同様の訴えあり。プウラセボで様子をみることを検討中。本人の希望にて米飯一口台で摂食良好。

【介護】

　居室で寝ていることが増えています。声かけをして、食席に行くことができるようにしていきます。食席の人と会話をよくされており、コミュニケーション能力があります。今後は、体操やレクリエーションなどで活動性を高められるようにしていきます。

【栄養課】

　お食事はばらつきがありますが５割程度の摂取量です。

　140㎝、31.6㎏、BMI16.1 、リスク中

　最初は、不足分を胃瘻管理でご飯40ｇ＋粥80ｇにて検討していましたが、経口摂取良好のため、常食ごはん／一口台おかず、糖尿病食、牛乳・肉禁止で食事提供しています。魚料理を好まれています。水分摂取量が少なめですので、ゼリーなどで補っていきます。

　栄養状態は中リスク判定になっております。引き続き、食事摂取と体重の管理を行い、栄養状態の維持改善と血糖コントロールの改善を支援させていただきます。

　まあ、私のために色々な人がかかわっているのね。申し訳ないわね。