予感
悪い予感ってのはだいたい現実になる。
一昨日は「なんかカラスがいっぱい飛んでて不気味だな」と怖々自宅を出た途端、肩に糞を落とされた。次の瞬間、道ばたに放置されていた犬の糞を踏みつけて転び、日向で寝ていた猫が驚いて俺に蹴りかかってきた。まさに踏んだり蹴ったりである。
昨日は職場の上司がやけに不機嫌で、貧乏ゆすりが尋常じゃなかった。そこに空気の読めない新人がやってきて、上司にくだらない世間話なんかしたものだから最悪だ。新人の教育係は俺だったから、絶対怒られると思っていたら、案の定上司に呼びだされて日が暮れるまで怒鳴られた。
どうしてこうも、悪い予感ばかりが当たるのだろう。たまには良い予感の方が当たってもいいと思うのだけれど。
今日も今日とて悪い予感しかしない。ベランダから空を見上げれば、黒く重たそうな雲が広がっている。天気予報は快晴を伝えていたはずなのに。
寒気がして何度も腕を擦る。風邪を理由に欠勤しようとしたけれど、念のため熱を測ったら普通に平熱だった。
外を歩きながら何度も空を仰いで、ああ、今にも雨が降ってきそうだとため息をつく。
いや、もしかすると雨以外のものが降ってくるかもしれない。鳥の糞ならまだしも、蛙とか魚だったら嫌すぎる。
その時、べちゃ、と濡れた音とともに肩になにかが落ちてきた。
また予感が現実になったらしい。己の想像力を呪いながら肩に触れて、思わず悲鳴を上げた。
俺の肩に、動物の腸と思しきものが乗っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます