第9話 型破りな勝利

第9話 型破りな勝利 Part1

<風の国>


青充は自分の考えを話し始めた。


「俺は、このゲーム事態が奴の目的なのではないかと思っている」


「ゲーム事態が?

ここに世界中の人間を呼ぶことがか?」


「ああ。

厳密には、参加者に五仕旗をさせること」


「どういうこと?」


青充はカバンの中からタブレットを取り出した。


「これを見ろ…」


画面には設計図のようなものが映し出されている。


「これ、起動聳スターターカク?」


「そうだ。

起動聳スターターカクは五仕旗におけるシステムの起動や管理、数値計算などを行う機能がある。

様々な機能の一つとして、威力調整機能があることは知っているよな?」


「ああ。

危なくないようにモンスターの攻撃の威力を変えられるんだよな。

PARSKRパースクルって、エンターテイメント施設だから極力ダメージを抑えるようにできてるけど」


「子ども向けのエリアとかは危なくないように、もっと高く設定されてるんだっけ?」


「類清。お前がここまで戦ってきて、威力調整機能はどうだった?」


「いつもとあんま変わらなかったと思うぞ。

王とか、ある程度ボスっぽい奴とかは衝撃が強かったかな」


「やはりそうか。

俺も戦っている中で、その点に違和感を抱いた」


「違和感?」


瞳彩アイリスはこれをゲームと呼んで楽しむような奴だ。

それならば威力調整機能を最大限に弱め、俺達を痛ぶる方が奴にとっては面白いのではないか?」


「言われてみればそうだ」


「しかし、奴はパーク内の起動聳スターターカクに細工せず、そのまま使用している。

PARSKRパースクルを掌握している奴なら、機能をいじるくらい大したことではないはず。

だが、奴はそれをしない。

その理由はおそらくこれだ…」


青充が別の画像を表示する。

そこには二種類の起動聳スターターカクが映し出されていた。


「片方が一般的な起動聳スターターカク

世の中のどこにでもあるもの。

そして、もう片方がPARSKR IIパースクル・ツー起動聳スターターカク


「同じじゃん」


「一見な。

しかし、PARSKRパースクルの方には、他とは大きく違う部分がある。

それは…」


青充が説明すると皆は驚いた。


「えっ!? そんな機能が!?」


「奴がこれを利用していると考えれば、説明がつく」


「それでは我々は、ずっと奴のために戦ってきたというのか。

しかし、奴はこれを何に使うつもりだ?」


「そこまでは分からない」


「でも青充。

お前よくこんな資料見つけたな」


「俺の立場を使えば難しくはない。

俺もこの事実を知った時は驚いたよ。

この施設の起動聳スターターカクに、こんな仕掛けがあったなんて知らなかった」


「だけど青充君、大丈夫なの?

もしこのことが上に分かったら…」


「俺は知らなくてもいいことを知ったとして、処分されるかもな。

だがそんなことはどうでもいい。

俺は瞳彩アイリスを許すことができないが、こんな事実を大勢の人間に黙って利用しようとする、上を許すこともできない。

瞳彩アイリスがこれを利用しようとしているなら、奴らの陰謀が今回の事件を起こしたことにもなる。

これ以上好き勝手させるか」


**********


それから数週間。

襲いくる敵を倒しながら、何とか風の国の王を見つけ出した。


王はボクサーのような格好をした男。

彼の挑発的な態度につられ、類清が相手をすることになった。


「五仕旗…」


Media=II Generationメディア・ジェネレーション!」

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