第44話 肉料理と魚料理と…

釣りに行っていた、校長を筆頭に仁・怜雄・聡汰・健吾先輩らが帰ってきた…。


ものすごく会話が弾んでいることから、俺の予想に反して釣れたようだ。特に校長の鼻息が荒い、そういえば校長の竿は普通のてんから竿ではないようだ。

仁の竿もすごく高そうなルアーロッドである。

これは俺以外の連中は知っていたな…。


後で聞いた話では、校長は釣りマニアで釣りの話をすると止まらなくなるらしい。仁と怜雄と聡汰は小・中と一緒に釣りに行ってたようだ。

健吾先輩以外はみんな釣りの猛者だったらしい。

健吾先輩もなんだかんだで釣っていたようだが…。

恐るべし。


思いがけずやってきた魚たちの処理を仁たちに任せ、肉用の串を急遽魚用にチェンジ!塩を振り串を打ち炭火にかけていき、何匹かは先生のリクエストでバターソテーにする。


先に魚が焼けた為、魚料理で乾杯をした。


「旨いな!串焼きのマスは初めて食べたけどすっごく美味しい!ありがとう仁君!愛してるっ!」

久美が、仁に抱き着いていた。仁は照れて大変なことになっていた。


「先生!おいしいですね。自分も釣りに行けばよかったですよ!」

と神田ティーチャーが校長に絡みだし、石井先生はこっちに逃げてきた。

「あそこで釣りの話を振ってしまうとは、恐ろしいわ。お酒が入っていなくても1時間は語るわよ…。」

うぇ、それはきついな。

でも、釣りの話を聞いてみたい気がすると思っていたら、怜雄がこっちを見てにやりと笑っている…。

スルーして肉の様子を見に行く。


「萌君、お疲れ様です。美味しいお料理ありがとうございます。お魚のムニエルとっても美味しかったです。」


女子グループから抜けてきた萌香が俺に寄り添ってきた。


「萌香が作ってくれたサラダもおいしかったぞ。」


「もう、サラダは野菜を切っただけなんですよ。ドレッシングは作りましたけど。」


「ドレッシングもレモンかな?すごくさっぱりしてて美味しかったよ。」


「うれしいですね。簡単なものでも美味しいって言ってらえたのは。」


腕を組んできて、俺の腕にとても柔らかなものがぁ あたってる!?。

「萌香さん当たってますよ…。」

「萌君、当ててるんですよ…。」


マジかぁ!これって漫画とかであるやつか!

割と悪くないな…。コレ。

体温を感じてむしろ落ち着いてきた。

隣にいる萌香の方に振り向き、


「萌香、俺さ、今すごく幸せだわ。」


「え?」


「俺、父さんのことがあって人間不信になっててさ、周りの人間のことも疑心暗鬼に見えてて、家族ですら信用できないほどになってさ、何をどう信用すればいいのかすらわからなくなってたんだよ…。」


「そう、なんですね…。」


「そう。でもな、高校に入ってからは嫌なこともあったけどさ、いい人たちに囲まれてさ。すごく幸せだよ。形はあんなんだったけど父さんとも再会できたし…。」


「私もあなたと再会できたことが何よりうれしかったです。あなたを傍で支えていきたいと、そればかり考えていましたから…。」


「そっか。ありがとう…本当に。萌香と再会してさ、付き合うことになった時は人生の運をすべて使い果たしたかもって思ったもの。」


「これからもっと幸せになるんだから、その運はきっとまだ続いてますよ。」


「俺さ、萌香に一生恋していたい。愛してるよ。」


「私も同じ気持ちですよ。愛してます。」


目をそっと閉じた萌香と口づけを交わした。


父さん俺今幸せだ!










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